序章
ここは、不思議な国。
澄んだ青空、眩しい太陽、白く透明感のある月、
そびえ立つビル、住宅街、行き交う車、
優しい人たち、悲しむ人たち、明るい人たち、沈む人たち、
きみの知る世界と何も変わらないかもしれないけれど、どこか違う。
何が違うのかは誰もわからない。
だって、本当は何も違わないから。
僕はエリオス。
この国の、ある街に住んでいる。
何歳なのか…よくわからない。
気づいたらここにいたんだ。
記憶がないわけじゃないんだよ。
お父さんもお母さんも、妹も友人もわかる。
学校に通っていて、毎日楽しく過ごしている。
でも、何か違和感があるんだ。
僕は本当に僕なのかな。
いつからこんなことを考えていたのか、覚えていない。
ここにいる僕は、本当の僕?
本当の僕って何だろう。
友達と笑っている僕?
妹にとって頼りになるお兄さんの僕?
お父さんやお母さんの可愛い息子の僕?
ときどきひとりになりたい僕?
全部僕で、
全部僕じゃない。
僕は何をしにここに来たんだろう。
僕は何のためにここにいるんだろう。
僕は、何をするべきなんだろう。
こんなことを考える僕はおかしいのかな?
ここは想像の世界?
違う、きっときみのいる世界。
僕は僕だけの僕?
違う、きっと僕はきみ。
僕の世界は、きみの世界。
きみの世界は、僕の世界。




