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水中戦闘


 話を聞いたところマーメイド達が活動しているのは浅瀬・中域・深瀬の三つのエリアらしく、彼女達を困らせているクラーケンは四つ目の海底エリアの魔物である。


 なのでリリィに案内をしてもらい深瀬のあたりまで潜ってから、ゆっくりと辺りを窺いながら進んでいく。

 まずは肩慣らしがてら、深層の魔物との戦いで水中戦闘に慣れさせてもらうとしよう。


「お、あれは……マーマンの上位個体達か」


「マーマンマジシャンにマーマンソルジャー、そしてマーマンリーダー……あれだけ数がいるとなかなかの強敵です」


「ふむ、肩慣らしにはちょうど良かろうて」


 現れたのは魚の顔と人の特徴を持つ魚人であるマーマン系の魔物達だった。

 深瀬となると出てくるのはマーマンの上位個体達になる。


 マーマンリーダーにマーマンマジシャンが二体、そしてマーマンソルジャーが三体の六体構成だ。

 リーダーを頂点として、しっかりと群れの形が出来上がっているのだろう。


「よし、まずは俺が――ライトニングボルト・オーバーライド!」


「GYAAAAAASU!!」


 アクティブスキルのオーバーライドで威力を強化したライトニングボルトを発動させる。

 ちなみに一昨日試したので、海の中で雷魔法を使っても魔法に当たった者を除いて感電が起こらないことは確認済みだ。


 俺が放った魔法は、群れの最後尾にいたマーマンリーダーに命中する。

 威力が高すぎたらしく、マーマンリーダーは悲鳴を上げてそのまま一撃で絶滅してしまった。


 残ったマーマン達がこちらに向かってくる。

 水中でも問題なく魔法が使えることは確認できたので、次は接近戦だ。


「泳ぎながらだと……やりづらいなっ!」


 やってきたマーマンソルジャーの銛の攻撃を、身体を大きく捻って避ける。

 陸での動きと比べると緩慢なので、まるでスローモーションを見ているかのようだ。


 そのまま剣を振り下ろすが、マーマンソルジャーはその一撃を難なくするりとかわしてしまった。

 そのまま追撃をしようとするが、あちらの泳ぐ速度の方が早い。


 水中で呼吸ができるようになったとはいえ、こちらは自分で泳がなければ前に進めない。

 接近戦をするのも一苦労だ。


 そのまま相手の攻撃を避けながら、なんとか攻撃を加えていく。

 前世の記憶があるので泳ぐこと自体は問題ないが、踏ん張りが利かないのが厄介だ。


 だが戦っているうちに、徐々にだがコツが掴めてきた。

 とりあえず柄を長めに持ち、攻撃は水の抵抗を少なくするために斬撃よりも突きを主体に。


 攻撃はあまり身体を大きく動かさず、最低限の捻りと腕力だけで行った方が威力と速度が上がる。


「~~♪」


 水中戦闘に慣れようと動いていると、背後から鈴の音のように美しい歌が聞こえてくる。

 そして同時に全身が淡く光り始め、先ほどよりも明らかに動きが素早くなった。


 これが敏捷を上げる颯々の歌か。

 そのまま曲調がアップテンポに変わったかと思うと今度は腕力が上がる。

 となると新たに流れてきたこのスローダウンした後のチルい曲が、防御を上げる魚鱗の歌か。


 バフによる体調変化を意識しながら剣を振るううちに、水中戦にもある程度慣れてきた。

 魚のように機敏に動くことはできずとも、ステータスの暴力で強引に泳げば水中機動自体は問題なくできそうだ。


 ちらっと横目で見たところ、カーミラは戦いに慣れているらしく槍を使って既にマーマンを仕留めてみせた。

 ベルトは土魔法で足場を作る形で、地上とさほど変わらぬほどの速度でマーマンを翻弄していた。


 仲間の様子を確認してから肩慣らしを終え、俺もマーマンソルジャーにトドメをさす。

 見れば既にリリィとララがそれぞれマーマンマジシャンを魔法で仕留めてみせていた。


「ここはひょっとすると、私にとってボーナスステージかもしれません」


 どうやらララの水魔法はこの海の中でかなりの効果を発揮するらしい。

 土・風・火の三属性は水の中だと大きく威力が下がるのだが、水魔法であれば周囲に大量の水があることもあり普段より少ない魔力で使うことができるんだとか。


 多少の戦いづらさはあるものの、海のマップの相性は俺達とそう悪いものでもなさそうだ。

 この調子だと、俺も近接戦闘はサブにして魔法戦をメインにして戦った方がやりやすそうだ。


 その後もララの水魔法やリリィのスキルなどの使い勝手を確認しつつ、数度ほどの戦闘を経て問題ないことを確認してから、一度クラ―ケンの情報を得るためにマーメイド達が暮らしているという海の村へ向かうことになった。


 海の中に棲んでいるというマーメイド達……一体どんな暮らしぶりをしているのか、好奇心が疼くな。

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