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本番


「BUU……」


 まず目に入ってきたのは、通常個体と比べて一回りほど大きなトロル達だった。

 恐らく高レベル帯のトロルと思われる。


 数は八体で、それぞれがしっかりとした武器を使い武装している。

 倒した人間から奪ったものなのか、錆びた剣や槍などが多い。


 トロル達はしっかりとした隊列を組みながら、こちらに目掛けて油断なく得物を構えていた。


 道中血祭りに上げてきたトロル達と比べると明らかに知能が高そうなのは、一体どういうわけだろう。レベルアップに伴う知能(INT)の上昇が原因だろうか。


「……」


 巨大なトロル達の後ろにいるのは、彼らより更に大きな、見上げるほどの巨体を持つトロルだ。

 縦だけでなく横にもめちゃくちゃにデカい。


 骨で作られた不気味な玉座のようなものに腰掛けており、そこには一体何で作られたのかわからない巨大な骨の塊が置かれている。


 恐らくだがあれを棍棒のようにして振り回すのだろう。


「あれが……トロルキングなのかぇ」


「ああ、間違いない」


 トロルキング――本来であれば終盤からクリア後に解放されるダンジョンでのみ出現する、強力な魔物だ。

 単体でも高い能力を持ち、その上で配下へバフをかけるためにその討伐難易度は非常に高くなる。


 トロルキングの連戦とかになるとMPが先に切れたり運良くクリティカルが入ったりするとパーティーメンバーがやられたりしてしまうこともあったりする、なかなかに厄介なタイプの魔物だったと記憶している。


「まず周りのトロル……大トロル達から落とそう。とりあえずあいつらを倒せば、残りは雑魚トロル達だけだろうからな」


「おぬし……ネーミングセンスないのぉ」


 『スペル・シンフォニア』では戦う際にはまずトロルキングから落とさなければならなかった。


 トロルキングには仲間を呼ぶコマンドがありそれによって呼び出されたトロル達を統率スキルで強化されてしまうため、放置していると画面いっぱいにトロルが映し出される地獄絵図になってしまうのだ。


 だが実際に戦うのであれば、やり方を変えた方がいいだろう。

 トロルキングと戦っている間に、あの大トロル達の方にも注意を向ける余裕はない気がする。


 あの巨大なトロル達は他にはいなかったことを考えれば、あいつらはトロルキングからしても虎の子に違いない。


 であればまず側近達の大トロル達から潰して、その後にトロルキングと集中して戦うべきだろう。


「ララとベルトはまずは援護に徹しながら、次にやってくるトロル達を引き受けてくれ。トロルキングは俺とカーミラでやってみせる」


「了解した」


「わかりました」


「わふっ」


 言葉を交わし、即座に駆ける。トロルキングが座っているうちに可能な限り削っておきたい。


 先頭をゆくカーミラの数歩後につきながら、魔法発動の準備を整えるために疾風迅雷を発動させる。

 当然今回は最初から手加減無し、本気で行かせてもらう。


「アクセルスマッシュ!」


 俺が魔法発動の準備を終えている間に、カーミラもスキルを発動させていた。


 彼女が振り切って放った一撃が横に伸び、白い帯となって大トロル達へと襲いかかる。

 アマゾネスはスキルを使えないはずだが……女王はその例外ということなのだろう。


「俺もまだまだ、知らないことだらけだな……チェインライトニング・オーバーライド!」


 俺が放った雷が、カーミラが技を放ち生まれた隙から、後列にいる大トロル達目掛けて放たれる。


「「「GOAAAA!!」」」


 一撃で仕留めることはできなかったが、しっかりとダメージを与えることはできたようだ。

 今使ったのは、アクティブスキルのオーバーライド。

 追加で魔力を込めることで魔法の威力を上げることができるスキルである。


 基本的に魔法は魔法ごとに固定の威力だが、それを底上げしてくれるものだと思えばわかりやすい。


 現在俺が持っている二つのパッシブスキルのうちの一つは、魔力回復(大)。

 このスキルによって常時魔力が回復し続けているため、俺は大魔法を連発しない限り魔力切れを起こすことはない。


 オーバーライドは本来であれば早々に息切れしてしまう外れスキルなのだが、魔力回復(大)とのシナジーのおかげで強力なスキルに化けている。

 この組み合わせの素晴らしさも、大器晩成型故のことか。


「GOAAA!!」


 だがカーミラのスキルと俺の魔法を食らっても、大トロル達は未だピンピンとしている。


 カーミラと目配せをしながら、頷き合う。

 そして共に駆けながら、魔法を食らって動きを止めている後列の大トロル達の方へと向かっていく。


「しっ!」


「はあああああっっ!!」


 カーミラの振り下ろしが大トロルの身体を唐竹に割ろうとして、胸の辺りで剣が止まる。


 痛みによるショックで麻痺から脱した大トロルが、技後硬直で動けなくなっているカーミラへ向けた槍を、剣をかち上げる形で逸らす。


 そのまま身体を前に入れながら、裏拳の要領で回転斬り。


「ライトニング!」


 斬撃を入れてから、至近距離からの雷魔法。

 再度の斬撃を入れて横っ飛びに飛べば、即座にカーミラの追撃が入る。

 そして彼女の一撃が入ったところで、大トロルがようやくその動きを止める。


「結構体力あるな……」


「じゃが妾とお主なら、倒せない相手ではないようじゃのう」


「ああ、まあな」


 フフッと互いに笑いながら、大トロル達相手に切り結んでいく。

 さすがに知能が高くこちらを囲んで相手取ろうとする大トロル達の動きは、ララがしっかりと牽制してくれた。


「させませんっ! テラアクアシールド!」


 彼女が生み出した巨大な水の盾が二体の大トロルを押しとどめてくれた。

 包囲が緩んだところに切り込む形で包囲をこじ開ける。


「ライトニング・オーバーライド!」


 そして同時に雷魔法を、オーバーライドを使用する形で発動。

 水盾に触れていた二体の大トロルが水を伝播して伝わった雷魔法を食らう。


 こうして援護を受けながらこちらも惜しみなくスキルと魔法を駆使することで、大トロル八体を見事討ち取ることに成功する。


「BUO……」


 その様子を見つめていたトロルキングが、立てかけた獲物をゆっくりと手に取った。

 さあ、ここからが本番だ。

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