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つうかあ


 カーミラがその手に大剣を握り、駆ける。

 向かう先はトロル達がやってきている森の奥。恐らくだがそこに、トロル達に命令を下しているトロルキングがいるはずだ。


 カーミラの進む速度は、俺やベルトと比べればさほど速いわけではない。

 けれど彼女は今この戦場で、最も強烈な存在感を放っていた。


「GYAAAAAAA!!」


 カーミラが剣を振る度に、トロル達が千切れ飛んでいく。

 頭が弾け飛び、胴体が真っ二つに裂かれ、上半身と下半身が泣き別れする。

 その勢いは、斬撃という言葉が生ぬるく感じてしまうほど。


 俺でさえ魔法と斬撃の二回で屠っていたにもかかわらず、彼女は一撃で着実にトロルを仕留めてみせる。

 いっそすがすがしさすら感じるほどに圧倒的な、純然たる暴力。

 力こそパワー。


 彼女の前ではどんなものも等しく、破壊を免れることはできない。

 なんだかカーミラの背中が、先ほどまでより一回りも二回りも大きく見えた。


「ふうぅ……どうじゃ?」


「なかなかやるな」


「……ふふっ、そうじゃろうそうじゃろう」


 ただこうして無双ゲーのように一撃で敵を吹き飛ばして倒すのはなかなかに体力を使うらしく、少し息を切らしている。


 また防御などせずに思い切り攻撃だけを繰り返すため、既にいくつか傷ができている。

 だが彼女のそのパフォーマンスの効果は絶大だった。


「あんた達、カーミラ様の前で恥ずかしいところを見せるんじゃないよ!」


「「「おおおおおおおっっ!!」」」


 女王の圧倒的な戦果を前にして、アマゾネス達の志気が目に見えて上がる。

 その様子を見たカーミラが、満足げな笑みを浮かべているのが、妙に印象的だった。


「よし、ここからは共闘といこう。打ち漏らしは俺が仕留める、派手にやってくれて構わない」


「それじゃあお言葉に甘えさせてもらうとしようか……のっ!」


 そして俺はカーミラと並ぶ形で、トロル達の群れへと突っ込んでいく。

 並んでいるトロル達をカーミラが吹っ飛ばし、その大ぶりな一撃の隙を俺が埋める。


 彼女の一撃でトドメをさしきれなかった個体を処理しながら、少し離れたところにいるトロル達は魔法できっちりと足止めをするか、個別に仕留めていく。


 一歩進む度にトロルの密度が上がっていき、一度では仕留めきれないことも増え始める。

 だが力を合わせて戦えば、ただのトロル程度ではなんら問題にもならなかった。


「ふっ!」


「GURAAA!!」


 カーミラの横薙ぎが、三体のトロルをまとめて薙ぎ払う。

 一番右側にいた個体は一撃で仕留めることができたが、残る二体にはしっかりと息がある。

「ライトニング!」


 すかさず一体を剣で、もう一体を魔法で仕留めさせてもらう。

 カーミラがぴゅうと口笛を吹きながらこちらに笑う。


「やるのぅ」


「カーミラこそ」


 彼女がほとんど息の根を止めるほどのダメージを与えているからこそ、初級魔法だけで相手を仕留めることができる。

 二人で入れ替わり立ち替わり、攻撃を続けていく。


 最初にカーミラが叩き切り、そこに即座に俺が二撃目を放つ。時には手番が入れ替わり、俺が最初に攻撃を放つ。


 何度も連撃を続けるうちに、相手とこちらの呼吸がしっかりと合っていくのを感じる。

 大量にいるトロル達を目に見えるほどに減らした時には、ぴったりと息を合わせた攻撃ができるようになっていた。 


 カーミラが振るう剣は正に剛剣だが、大剣を軽々しく振り回す彼女の技には円熟を感じさせる。

 そして女王として乱戦にも慣れているからか、とにかく視野が広い。


 近くにいる魔物を的確に仕留めながらも、離れたところにいる魔物達の射線を切らないようにわずかに首を動かしてみせる。


 とにかく魔法が使いやすく、彼女が切り結んでいるところにもつうかあでしっかりと魔法を打つことができる。


 ちなみに俺達がゴリゴリに戦っている間、ララはベルトに乗りながらトロル達が仕掛けてくる投石を魔法で防いでくれている。


 また後ろ側から挟撃を仕掛けてこようとするトロル達に対応し、俺達が囲まれないよう水魔法を使って進路に沿う形で防壁を築いてくれていた。


 ベルトの俊敏さであればトロル達の攻撃を躱しながらこちらとの距離を維持するのも難しいことではなく、トロル達相手に切り結びながら進むことができる。


「どうやら、そろそろみたいだな」


「そのようじゃのう」


 トロル達を削りながら駆けていると、一気に個体数がガクッと減った。

 更に進んでいくと、どしどしという巨大な足音が聞こえてくる。


 構えながらゆっくりと進んでいけば、そこには通常の個体より一回りほど大きな体躯をしたトロルと、彼らの背後に控える巨大なトロルの姿があった――。

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