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雨_test

作者: 伏鳥羽袖

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雨はいい。


溢れ出る思いを、その音と温度と共に心に浸してくれるから。

留まる気持ちを流してくれるから。


外を眺めてどのくらい経っただろうか。

昨晩からの雨が今も降り続いている。

風もなくただしとしとと。止み間も無く地面に弾み続ける。


2階の自室の窓枠に足を伸ばし、朝夕ともわからない外を眺めている。

吹き込んではこないが、寄りかかる窓枠も肩も腕も、脚もすっかり雨が染み込んでいる。

時折り通り過ぎゆく人々だけが、時間の流れを映すが、それも雨と共に降り去っていく。


家族に、窓から落ちそうだと注意されるなと浮かぶ気持ちもこの気だるい身体を動かせない。

すっかり服に染み込み続ける雨を感じながらも、いつまでこうしているのかという自問も答えを出せそうにない。


頭に振りたまった雨粒が、前髪を伝って瞼へ流れてきた。


ーーーー 泣いているみたいじゃない。


そう思うと、思わず手で拭っていた。



ふと、外からバシャバシャと音が聞こえた。

「わぁーーー、雨ーーー。」

そう叫びながら眼下を走る人。

濡れない様にだろうか、何かを掲げながら走り去ったが、豪快に泥が跳ねているその後ろ姿は、雨に濡れるその比にならないくらい絶叫を生みそうだ。


…何故、ずっと雨なのに、あたかも今降り出したみたいな反応なのだろう。


ーーー変なの。


そう思うと、濡れていない袖で顔を拭いていた。

雨を拭き取った顔は冷んやりと感じた。

なんだかどんどん身体に纏わりつく雨が鬱陶しくなってくる。


「着替えよ」


窓枠から降りて、重さも温度も変わった両手は、勢いよく雨の窓を閉めた。





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