第6話:肌の謎...
キャニオンの風のように低くゆったりと、背後で火がはぜる音がした。
部族のほとんどは静まり返り、時折テントの間を抜ける人影や、崖に掘られた小さな石の住居に消えていく姿が見えるだけだった。絵に描いたような、原始的で、誰も読み終えない歴史書の一頁のようだ。
僕は松明の光が届きそうで届かない平らな岩の上に腰かけていた。
膝の上の拳銃はまだ温かく、布でさっきの試合でついた部族の女戦士の血と砂を拭いていた。
「ふふふふ~~ん!ふふ~~ん!」
足をぶらぶらさせ、文明とは程遠いこの赤い岩屑で汚れたブーツを見やる。祖国の古い酒場歌を鼻歌まじりに口ずさむ――ワインと馬とスキャンダルが題材の曲だ。ここには誰も知らない歌。だからこそ私のもの。
「夜はいつも一人か?」
タジリの声が絹に混ざった小石のように静寂を切り裂いた。
「......」
驚きはしなかった。
ただゆっくりと顔を上げた。僕の目は彼の目を捉えた――!落ち着いていて、冷静で、好奇心に満ち、そしてもちろん少し自信過剰な。
「星が好きでね」
ニヤリと笑いながら銃の手入れを続けた。
「馬鹿げたものすべてから遠く離れていると思い出させてくれるから」
彼はそうかと静かに頷き、僕の隣の岩に腰を下ろした。大胆すぎず、無関心でもない距離。部族の長にしては賢い。
「一つ…個人的なことを聞いてもいいか?」
彼は少し間を置いて言った。
横目で彼を見る。
「一人っきりだった僕の孤独感を邪魔したのはあんたよ、デザートボーイ~。どうぞー?」
「.....」
躊躇があったようだ。恐怖ではない――タジリは恐怖など感じない――しかし…計算していた。
......ただの部族の男にしては良く評価できる点だ。
「なぜそんなに肌が白い?」
ようやく彼は尋ねた。
「この強烈な太陽光の下でも、まったく焼けないなんて......」
「ふ」
僕は瞬きし、鼻で笑った。貴族の令嬢がするように金髪を優雅にかきあげた。
「これのこと?」
おどけた優雅さで僕自身の肌を指さす。
「魔法だよ。高級の。貴族用日焼け止め......。真昼に裸で寝転がっていても、威張った磁器のように白いままなんだ~」
彼は眉を上げた。僕が彼を、それとも世間全体をからかっているのか判断しかねている。
「誇りか?その...肌色は...」
目を細めながら聞いた。
「好みだよ」
岩の上に伸び、肘で体を支えた。
「白い肌が神のガラスのように崇められる上流社会で育った。個人的には?ばかげてると思う。でも認めるんだぞ?人々がじっと僕の白い肌を見るんだ。それが好き~」
そして彼の方に頭を傾け、唇を歪ませて切り返した。
「次はあんたの番ねー。なぜそんなに肌が黒いの?」
「ふーむ」
彼は瞬きした。不意を突かれた――しかし怒ってはいない。ただ…感心している。
「大胆だな」
「正直なだけだぞ?」
「......]
沈黙。男が次の言葉を慎重に選ぶような。
そして彼はゆっくりと小さく微笑んだ。
「太陽と神々が我々をこう創ったからだ。強く。我々を養う大地のように黒く。疑問に思うことなどない」
「ふゅ~」
僕は低く口笛を吹いた。
「見事な答えだぞ?詩的で、部族的で。本当に、...ドラマチックだこと、ふはは~!」
彼は僕を睨んだ。
「からかっているのかー?」
「決して...」
今回は本気でそう言った。
「羨ましいだけだぞ。そんな確信めいた返しができるなんて......真実はどうであれ、本当に科学的な原因知らな過ぎて部族って感じだけど、そのシンプルさには感心したくなるほどストレスフリーな生活ができると思うよ~?」
「............」
しばらく沈黙が続いた。しかし重苦しくはない。ただ…考え深い時間だ。
「...やはり、お前はここに属してはいない異物だ」
彼は静かに言った。
「前々からわかってるぞ、僕~?それでもここにいる」
「...均衡を乱し、人々を混乱させる。それでも図図しく居候してる...」
小石を拾い、キャニオンに向かって弾き飛ばした。
「それに関しては得意なんだよ。否定的に言ってる割に、あんたはまだ僕と普通に話しているのが全てを物語るけどね」
やっぱり、僕の存在をそんなふうに邪魔に思ってなくて、ツンデレ風に僕を認めてくれてるってだけの発言だったな。
「お前は炎のように戦うからだ」
彼は言った。
「そしてたじろがない」
僕は完全に彼の方に向き直り、拳銃を膝に抱えた。
笑みは消えていた。
「そしてあんたは」
僕は言った。
「部族の重々しい威厳を持ちながら、まだ僕を追い出していないね~?」
目が合った。
もう探り合いはない。
ただ…変化があった。
言葉にならない何かが、僕たちの間に広がる。
やがて彼は立ち上がり、手のひらの埃を払った。
「来い。明日は訓練だ。長老のオヤマがお前のルーンがきらめき以上のものか確かめたがっている」
僕は岩から飛び降り、拳銃を指で一回転させた。
「ああ、きっと眩惑させてあげるわ」
彼はその時笑った。冷笑でも、礼儀でもない。本当の笑いだ。静かで。正直な。
ほんの一瞬、それを楽しむ自分を愉快に思った。