巻末資料 23世紀の科学技術
・狂花帯手術
邇凝博士が開発した能力開発手術。特殊な植物細胞をベースとした移植施術によって被験者に超常的な能力を与える。成功した被験体は〈12人の怒れる男〉と呼ばれ、それぞれ不死を実現するための能力にそってデザインされている。
・贋作手術
邇凝博士が開発能力開発手術。〈12人〉の狂花帯の一部ないし細胞を移植することで同系統の能力を発現させる。現在邇凝博士、葎博士が施術可能。
・クローン技術
22世紀後半から各国で実用化が目指されてきた技術。Q‐真白雪のような成功体も僅かに存在するものの、再現性に乏しく実用化には至っていない。
・強化改造手術
博士の開発した技術。人工骨格を埋め込み肉体の強度と身体能力を強化する。もともとは狂花帯手術の安定化を目指し、その負荷に堪えられる人間を造るために研究されていた。その後軍事目的に応用され、エデンの戦力拡充に貢献する。現在博士、邇凝博士、葎博士、鴛原見などが施術可能。
・P－HEADs
日本の自衛隊が有する唯一の有人部隊。訓練された精鋭たちがそれぞれの科学武器を用いて戦う。5巻ではリーダーの「カメレオン」が殺され部隊を乗っ取られていた。責任を取って現在は伏魔殿に吸収されている。
・蒸気機関
22世紀中ごろから欧州・豪州を中心に研究が進んだ。ストレンジ弾頭など他の兵器に競争力で負けたため日の目を見ずに終わった。
・最終型熱核兵器
小型かつ安価に量産可能な最新鋭の熱核兵器。再生可能エネルギーを動力源としたクリーンな核兵器であり、放射能などの有害な物質を後に残さない「人道的な」兵器である。22世紀後半から使われはじめ第三次世界大戦の主力兵器として重宝されたが、後述する対空結界システムの普及により完全に廃れ後続機の開発が終了。事実上の最終型となった。
・対空結界システム
第三次大戦中頃にアフリカで開発された技術。エネルギー充分な場合物理的に破壊することはほぼ不可能とされており、核の連続や隕石の衝撃すら防ぐことのできる強力無比なシールド。当時利用されていたあらゆる兵器を無効化し、事実上世界大戦を終結に導いた。技術が共有され世界的に利用されている。
・迷宮結界
伏魔殿が煙草森鳰協力のもと製造した結界。霧のような形で踏み込んだ人間の認識に作用し道を迷わせる。事前に登録されたキーを持つ人間以外目的地に辿り着くことはできない。能力の遠隔発動技術の可能性をも拓いている。
・バイオソード
無機物に生物の細胞を融合させた武器。東南アジアを中心に大戦末期から研究されてきた。
・ティアドロップ
飲むと心身の疲労や苦痛が解消される錠剤。兵士たちの「負担軽減」のためにエデンで支給されている。依存性はないが容量を守らないと脳が委縮し、主体的な判断能力が低下するとされている。
・ネクロウィルス
21世紀終盤に南米のジャングルで見つかった新種のウィルス。人体に感染し生者・死者問わずゾンビ化させる。感染力は非常に小さく、基本的に傷口から直接侵入しないかぎり感染ることはない。エデンの生物兵器開発部・第九研究班によって変異株が製造されている。
・冷凍睡眠
エデンで研究が進められていた技術。技術上の困難を抱えていたが、御黒闇彦が自身の能力をもとに完成。試験段階をクリアする。現状御黒の能力ありきであり、量産化の見込みはない。
・光学迷彩
光情報を調節し周囲の景色溶け込む技術。以前から研究されていたが、スーツの内側が高温になってしまうことから実用化が困難とされていた。性質上、使用できるのは御黒闇彦とカメレオンのみ。
・アグリコラ・メソッド
22世紀末に提唱され、23世紀初頭から導入された教授法。脳の可塑性が高い幼少期からこれを行うことで学習能力が飛躍的に向上する。ほとんどの人間に対して効果があり、適合度の高い人間にはさらなる効果が認められることから、23世紀の若者はそれまでの時代の基準で「天才」と呼ばれるような人間が数多くいる。これによって23世紀は既にして「天才の世紀」と呼ばれている。ただしメソッドには一定の割合で適合しない人間もいる。彼らは前世代までの基準で言えば常人か優秀なレベルであるにもかかわらず、平均値が著しく向上した現代においては非常に肩身の狭い思いをすることになる。若者の暴徒化の一員となっており、23世紀の社会問題の一つである。
・自動拳銃……鉛の実弾を用いた旧式銃に対して現在主流となっている銃。弾丸の種類は様々あり、水蒸気や電気、熱線・熱光線などが挙げられる。大半はオートエイム付きであり、素人でも比較的当てやすい。
