表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある世界線にて  作者: 片口鰯
1/2

一 現実

ーーー2×××年。ここは、現実世界とは異なる日本。

いわゆる、「パラレルワールド」。

この日、パラレルワールドには危機が迫っていた。



チュンチュンチュン…

「朝が、来てしまった。」

鳥の囀る声が聞こえたら、朝を実感する。

早川 俊、17歳。彼は若くして、既に人生に苦痛を感じていた。家庭内や、学校での暴力、白い目、すべてが嫌になって、ついに俊は決断したのだ。

素早く支度を済ませ、親と目を合わせる暇もなく足早に家を出た後、今にも飛び出しそうなほどに暴れる心臓をぎゅっと押さえて歩き出した。


数分後、俊は立ち止まった。駅に着いたのだ。

ポケットをまさぐり、小銭を取り出す。切符を買うのも、これで最後である。そう考えると感慨深い…こともない。彼にそんな余裕があるはずもなかった。黙って切符を買い、改札口を抜ける。全身の毛穴から汗が吹き出ている。一方で体に力は入らない。そして何故か、どこか穏やかな心情だった。


ーーー2番ホーム、急行列車が通過いたします。危ないですから、黄色い線の内側まで、お下がりください。


ホームにいる疲れた表情の人間たちは、アナウンス通り、黄色い線の内側に立っている。

俊も普段通りならそうしていただろう。今日の彼は違っていた。アナウンスの声など聞こえていないかのように、黄色い線など見えていないかのように、徐々にホームの端へと前進する。

これまでの人生、ろくなことがなかった。

走馬灯なんて見たくもない。だからさっさと死んでやる。

周りの人間は、俊の挙動がおかしいことに気づき始めた。誰も動こうとする者はいない。

激しい音を立てて、急行列車が走ってきた。

「お、おい、君、まさか」

俊は体重を前に移し、軽く地面を蹴った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ