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ばけもの子供の物語

ばけもの図鑑を作る男

作者: リィズ・ブランディシュカ



 人間ならざる存在。


 かといって普通の動物でもないもの。


 強い力、異質な力を秘めているもの。


 ばけもの。


 その者たちの力は、ばけももでない者たちを脅かすことがある。


 しかし時に、ばけもものでない者たちに寄り添うこともある。







 とある一人の少年は、ばけものという存在に興味を持った。


 両親の仕事の関係で数回引っ越しを経験した少年は、自分が住んだ町や村で、それぞればけものの事を知った。


 強い雷撃をうみだすばけものは、発電所に勤めている事があった。


 大きくなるだけのばけものは討伐隊が、さしむけられることもあった。


 ただただ非力で見た目が異なるばけものは、邪魔者扱いされ、迫害されることもあった。


 そうかと思えば、同じ非力なものでも、ばけものでない者に愛されて、守られる者もいた。


 だから、異質なその存在に心惹かれた男は、図鑑を作ることにした。


「こんな多様な面を持っているばけものを図鑑にしたら、きっと面白いぞ。人間はみんな、似たり寄ったりだからなあ!」


 男は人の顔を覚えられない、声を聞き分けられない人間だった。


 だが、不思議とばけものの区別はついていたのだった。






 ばけものの姿をもとめて、男は世界中を旅する。


「人と違う生き物を見つけたいんです」


 鋼でできた荒野。


「だれか情報を知りませんか?」


 虹が消えない島。


「お話を聞かせてください」


 シャボン玉だらけの国。


「ふむふむなるほど、それは興味深い情報ですね」


 男は旅の各地で、いろいろな化け物に出会った。


 多くのばけものは、人と距離を置いていた。


 すすんで世間から離れてくらしているか、そうせざるを得ない環境におかれていた。


「俺たちにかかわらないでくれ!」

「迷惑なのよ目立つから、私たちを探さないで!」


 けれど、ばけものと共に生きる人間たちもいた。


「人と見た目が違うことくらいどうってことないよ」

「人間と同じ心を持っているんだから」


 ある程度、図鑑を完成させた男は、また興味を募らせる。


 ほんの少し昔より膨れた興味を。


「次はばけものと共に生きる人間の図鑑を作ろう」


 男は次の旅に出る。


 人でありながら、異質で奇怪に見える者たち。


 その存在に惹かれて。



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