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屋敷の使用人たちは復活できるのか?

お腹がいっぱいになったんで作業の続きをやるために使用人館に戻る。


地下の倉庫に降り積んであった中の比較的新しそうでキレイそうなテーブルをなんとか引っ張り出して配置。

持ってきた雑巾で天板表面の汚れなどを掃除し、教会からかっぱらった物の中で使えそうな白い布を広げる。

その上に、バッグから各人の骨を取り出し一人分づつ分けて並べる。

で錬金術の〝分解〟をかけ余分な汚れなどを除去しキレイな布で一人分づつ包む。

それらの包みを持って新しい地下室へ入る。


というわけで大いなる実験開始だ。

で、それぞれ用意してある魔素水の入ったでっかい器に、骨を放り込みよくかき混ぜてから蓋をして放置した。

…上手くいくといいな。


さてと、出掛けますか。


さっき母屋で気がついたんだけど、玄関ホールに〝時計〟があったのだ。

慌てて執事に

「これって合ってる?」

と聞いてみたところ

「はい。設置して50年。しっかりとその役目を果たしております」

と言っていた。

なんでも動力は〝魔素〟だそうで、セットした魔晶石のおかげで大体100年は持つはずだと言っていた。

更に

「20年ほど前に、懐中時計なるものが出回っておりました」

との発言。

ってことは、もしかしたら更に20年も経ったんだから巷にはもう〝腕時計〟くらいは売ってそうな気がする。

あとで探してみようっと。


そんなことを考えながら、昨日の公園へと歩く。

残念ながらお目当ての時計屋は見つからなかった。

と、公園に着いた。

時間は…あ、公園の向こう側にある塔に時計がある。

見ると時間は12時を少し過ぎたところだった。


辺りをキョロキョロと見回してみたが、見知った顔はなかった。

仕方がないので昨日の噴水の近くにあったベンチに腰掛け待ってみることにする。


……

来ないなぁ…なんて思っていたら

「よう」

と後ろから声を掛けられた。


振り向くと、昨日のガタイのいいあんちゃんが苦笑いを浮かべながら近づいてきていた。

「遅くなっちまったかな?」

そう言って彼は俺の横に座った。

「で?」

「ワリィ。俺は断るためにここに来たんだ」

あー…やっぱり。

「で、これは返しとくわ」

あんちゃんはそう言って握り拳を差し出してきた。

「?」

「手ぇ出せ」

言われるままに手を出すと彼は俺の手に何かを乗せた。

見てみるとそれは大金貨2枚だった。

「んじゃ」

男はそう言ってスッと立ち上がる。

俺は彼の手を掴み

「これは返さなくていいって。この後もいろいろと入り用だろ?」

と言って返された大金貨2枚を差し出した。

「……」

あんちゃんは一瞬固まっていたが、すぐに反応して差し出された大金貨を掴み

「あんた変わってんなぁ」

と言いながらニンマリを笑った。

「なんかあったら貴族街の幽霊屋敷を訪ねてきてくれ」

「あはは。わかった」

俺とあんちゃんはニンマリ笑い合いその場を後にした。


今、俺は商店街をウロウロしている。

使用人の目処が立たなかったんで自分で食材を買い揃えなくてはならないからだ。

でもまぁ、買い物は好きだし、しかもこの世界に来てから初めてのお使いだ。

楽しくってしょうがない!

見たことのない野菜や果物、聞いたことのない名前の魔物の肉。

どう見ても毒々しい色のキノコなど、金に物を言わせて買いまくってしまった。

だって、ねぇ。

金はたくさんあるし、物はバッグに入れれば全然嵩張らない。

もう夢のよう…

ネット通販でもこんなに気軽に買い物なんかしたことないもんな。

ホント、金があるってのはいいことだわ。


…あ、そういえば屋敷のみんなに使用人を連れてくるって言っちゃったっけ。

…どうしよう…嘘ついたことになるわ。

あー、こんな買い物する暇があったら〝奴隷〟を買いにいっても良かったんじゃね? 俺。

ま、とりあえずは飯にしよう。

俺は屋台でハンバーガーみたいなサンドイッチを買ってさっきのベンチに戻った。

ふうっと一息ついてサンドイッチを食べようと両手で持って顔に近づけた。

…と、自分の腕の細さに改めて気付かされた。


さっきテーブル一つ動かすのもえらい苦労したよね。

でもこうやって動けてるのって地下牢で飲んだ回復薬のおかげだったよね。

…この細ーい身体、白魔法を行使すればそれなりの太さに戻るんじゃ?


俺は辺りを見回してからゆっくりと両腕に魔法を行使した。筋肉の再生と強化の。

すると数秒で俺の両腕は普通の太さに戻っていった。

試しにバッグからさっき買った肉の塊を取り出してみた。

缶ビール6缶セットくらいの大きさと重さだ。

買った時に受け取ってはみたものの重くて落としそうになったやつだ。

仕方なく店主に直接バッグに入れてもらった。

でも今はなんともない。

片手で持てる。

上下に動かしても大丈夫だ。

よし!!

これは使えるぞ!

俺は肉の塊をバッグに戻し、今度は全身に向けて魔法を行使した。

……

よっしゃー!!

俺、復活!

これであの鬼師匠に文句を言わさねぇくらいの身体には戻ったぞ。

この間の稽古をあのガリッガリの身体でやらされたもんだから全然動けなくて全身の骨をバラバラにされたんだよ。

『テメェ! なに勝手に痩せてやがんだ!』

って怒鳴られたけど、ガリガリなのは俺のせいじゃねーって言い返したら更に秒でボキボキにされたわ。

マジ容赦ねぇの。

あとで庭で動きのチェックでもしないとな。


俺は、あの白い空間でクソ師匠の指導のもと、身体を鍛えた。

魔法もすんげー勉強した。

で、剣の腕も魔法もそこそこになった。

で、この世界にやってきた。

目的はない。

俺の自由にしていいと〝見習い〟は言った。

だから、隠居生活のような〝ノンビリゆったり生活〟を目指そうと、昨日思った。

この王国の貴族にはなったが領地をもらったわけでもなく、国のために何かをやってくれと頼まれてもいない。

でも、貴族なので王様に何か頼まれたら断れない。

…ま、よっぽど酷いことじゃない限りお願いされたらやってあげよう。

でも、嫌なことを強要された場合はこの国を出よう。

……

となれば、あまり身内を抱え込むのは得策ではないな。

幽霊屋敷のみんなを再生させて使用人として働いてもらえればそれ以外の人材はいらないか、な?


よし!

今の人員でなんとかしよう。

ダメだったらまたその時考えよう。

みんなも身体が元に戻れば喜んでくれるだろう。


さて、筋肉も戻ったし考えの整理がついた俺は、ようやくハンバーガーをガブリと齧る。

焼いた肉だと思って齧ったのだが、揚げた野菜?にたっぷりと甘辛いソースをかけた具だった。

まぁ思っていた味ではなかったが、結構いける。


ハンバーガーを食い終わった俺は辺りを見回し、立ち上がって軽くジャンプしてみる。

か、身体が軽い。


俺はルンルン気分で貴族街へと戻っていった。


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