改めて考えてみました。
俺は改めて四つん這いになっていい匂いのする方へと進んでいった。
と、牢の扉の横に木のトレイに乗った堅そうなパンと器に盛られたスープっぽいものがあった。
「……」
俺は無心で食った。
パンは硬く、スープはただのお湯のように味気なかったが、腹は膨れた。
気がつくと涙が頬を伝っていた。
人心地ついたところで石の壁を背にその場に座り込み考える。
これからどうしようかと。
この髪の毛……かなり長いな。
広げた親指と中指の長さがだいたい20センチだったから……
ひぃふぅみぃ……俺の背より長いっ!!
確か髪の毛って1年で10センチくらい伸びるんだっけ。
ってことは……元を知らないけど大雑把に20年は切ってないね。
……
20年。
……
俺、20年もここにいたのか?
なんの罪だ?
地獄っぽい牢獄だぞ?
てことは、かなりの重犯罪者ってことか? 俺。
……
逃げよう。
改めて宣言しよう。
ここから出ると。
……
で? どうやって、ここから抜け出そうか……
にしてもこの髪の毛、邪魔!!
しかも、重い!
……
切ろう!
さっきのやつの剣、意外と切れ味良さそうじゃん。
俺はUターンして自分の牢屋に戻り気絶したままの男の剣を使って髪の毛を半分くらいの長さに切ってみた。
……けうけげん……
ちっちゃいけうけげんが出来た……
じゃねぇよ!
なに、この量!!!
取っときたいわ、記念に!
……
なんの記念だ?
異世界転生記念か?
……
邪魔になるだけだわ。
俺は切った髪の毛を部屋の奥にある穴、多分トイレ、に放り込んだ。
ついでに髭も適当に切って捨てた。
髭は切るもんじゃない、剃るもんだ。
……鏡で確認したい!
このまま人に会っても大丈夫だろうか……
いやいや、人に会っちゃダメだわ。
うーん……
悩んだところでどうしようもないか……
仕方がないと諦めて、もう一度、牢から出ていく。
途中、男がしていたスカーフ?みたいな布を奪って髪の毛を縛る。
多分、これでかなりマシになったはずだ。
俺はそのまま四つん這いでメシを食った場所に戻り座り直した。
そして再び考え始める。
どうやってここから出るか……
……そっと階段を上っていって……
……誰かが来るのを待って入れ替わりに……
うん? 考えがまとまる前に頭の上になにか気配を感じた。