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屋敷、いただきました!


俺は宰相と別れてトボトボと元来た廊下を戻って行き、さっきの扉をノックして待った。


しばらくすると扉が開かれ、老執事が顔を出し恭しく頭を下げ

「おかえりなさいませ男爵様」と言われた。

一瞬、頭を下げそうになったのを抑え込み、ニッコリと笑って部屋に入った。

気付くと王子はおらずリックくんだけが暇そうに窓の外を眺めていた。

「おっ、ようやく戻ってきたな」

そんなリックくんはそう言って俺に笑いかける。


はぁ…、リックくんの屈託のない笑顔、癒されるわぁ…


「ただいま。で、こんなもん、貰っちゃったよ」

俺はそう言ってポケットから、さっき貰った鍵を出す。


「ん? なんの鍵だ?」


「屋敷だそうだ」


俺の答えを聞いたリックくんの目が大きく見開かれる。


「屋敷!?」


もうね、こういう素直な反応、好きだわ。マジ。

「どこの屋敷だ?」


…あれ? そういえば聞いてないな。

俺はそう思いながら手にした鍵をじっくりと見てみる。

……

おや? なんか書いてある…


「北? ゼロイチ、にーよん? これって住所か?」


「ドライフェルト様、それは北貴族街の住所だと思われます」

俺の声に老執事が反応する。

「ありがとう、と言うことは、このゼロイチのニーヨンっていうのが屋敷のある場所ってことね」

「はい。ゼロイチ区画の二十四番という住所になります」

「ふーん…」

「貴族街は城の東西南北にございまして、帝国領側が北貴族街になります」

「ゼロイチ区ってのは?」

「お城から遠い区画からゼロイチ、ゼロに、となりますのでゼロイチ区画は一番外側となります」

「二十四番は?」

「ゼロイチ区画は全部で40番までありますので大体真ん中あたりだと思われますので一般市民街との門がある近くだと思われます」


「ええっ!」


ここまで老執事と話していたら、今まで黙っていたリックくんが急に大声を上げる。


「何? 急に」


俺はリックくんの方に向き、怪訝な顔で聞いた。


「お前、そこ、有名な幽霊屋敷だぞ!」


幽霊屋敷? いるの?この世界でも、幽霊って。

いやいやいや、向こうの世界でも俺は幽霊ってやつには会った事がないんで何にも言えないけどさ。

こっちの世界だと魔法とかあるから、リッチとかゾンビとかが幽霊って位置付けでいるんか?

ってことは、こいつらも魔法でやっつけられるんじゃねーの?


「え、なんで退治とかされてないの?」


俺はそういうと、リックくんがサササッと近づいてきて

「…あくまで噂だけどよ、その屋敷の幽霊…っていうか、いるのはリッチらしいんだけどよ、強すぎて教会の除霊でも排除できなかったらしいぞ」

と耳打ちされた。

「え? そんな屋敷、いらないわ、リックくんにあげようか?」

「いるかっ! そもそも王様から貰ったんだろ? 断れないし他のやつにあげられるわけねーじゃん!」


うっ!!!

ごもっともです!

王様も言ってましたね、王命だから断れないって!

…クッソー!!!

何が報酬の前払いだっ!!

ただの厄介払いじゃねぇか!!

いや待て、味方にしたい俺に対してそんなこと…

多分、あわよくば、白魔法使いの俺に、リッチ討伐をやらせてみようって魂胆だろうな。

ダメだったらしょうがないくらいのノリだろう、きっと。

…うーん…イケる? 確か〝除霊〟も習ってるからそこそこイケるとは思う。


「そうね、ま、一応除霊、やってみるわ」


「が、がんばれよ……」


リックくん、完全に引いてるわ。


「一緒に行く?」

とりあえず社交辞令で聞いてみる。

いや、こういうのは社交辞令じゃねぇな、意地悪だな。

案の定リックくんは

「マジ無理!!! あーゆー剣で斬れないやつは無理!!」


あー、やっぱ基準はやれるかやれないか、なんですね。

わかりやすくていいですね。

…除霊か…

確かあの空間でも除霊の試し撃ちは何度かやってみたけど、いうほど強力な執着を持った霊には会えなかったなぁ。

こうゆう〝リッチ〟とかになるのは物凄い執着やら怨念やらがあるらしいって聞いたっけ。


コンコン


扉が誰かによってノックされた。

静かに執事が扉を開け何やら対応している。


「ドライフェルト様宛でございます」


そう言って老執事が扉の向こうの人から渡されたものを差し出してくる。

…何やらお盆の上にビロードっぽい布がかけられ、その上には金属っぽいものの筒と賞状のようなものが載っている。

賞状を読んでみると

〝北貴族街01区画24番の屋敷を正式にクルト・ドライフェルト男爵へ譲り渡す〟云々と書いてある。

最後の方には多分王様のサインと花王っぽいものがあり、これが本当に正式な書類であると言っているようである。


「このサインと花王は?」


「はい。オットー・アレウス・マウザー7世王本人のもので間違いありません」


俺はひとつ、大きくうなづく。


へぇー ここの王様ってオットー・アレウス・マウザー7世って名前なのね。

初めて知ったわ。

なんとかエーレシュタート何世とかいうのかと思ってたわ。

これで正式に〝除霊〟の依頼がなされたってことにもなるんだね。


はぁ…しんどそう。


俺は貰った賞状を丸めて金属の筒に仕舞い、それを鞄に入れると

「じゃ、お世話になりました」

と言ってリックくんと老執事にペコリとお辞儀をし、扉の取っ手に手をかけた。

リックくんは苦笑いを浮かべながら

「おう。またな」と言い

老執事はこれも苦笑いをし

「お気をつけて」

と言って深々とお辞儀をしてくれた。

俺は二人にニッコリと笑い、扉を開けて廊下に出た。


『まだ昼前か…どっかで昼飯食ってから屋敷に行きますか』

『そうねそうね。お腹が減っちゃっから何か美味しいものを食べようよ』

『お前、飯食えねーじゃん』

『き・も・ち! こーゆーのは気持ちの問題じゃん!』

『はいはい、そういうことにしておきますよ、で? オススメの店とか知ってっか?』

『無理無理無理! 知ってたとしても何十年も前の情報だって! まだあるかどうかも怪しいし、なんと言っても覚えてない!!』

『覚えてないって素直に言えって』


そんなくだらない念話をしているうちに気がつけばもう城門まで来ていた。

さてと、今日のランチは何を食べようか。

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