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聖職者も、偉くなりたい。

【エファンゲーリウム聖教会エーレシュタート王国支部教会長 ペーター・シラー枢機卿】


「では今日はこのまま部屋に篭って諸々の問題について考えたいと思う」

エファンゲーリウム聖教会エーレシュタート王国支部教会長 ペーター・シラー枢機卿はそう世話係の若い司教にそう言うとニッコリと笑った。

「わかりました。では本日の」

司教がそう言うと

「今日はいろいろな事が起きました。これらを整理する時間が欲しいのです。ですので明日の朝のミサの時間まで誰にも会いませんしここから出ません」

「わかりました!」

司教はビシリと背筋を伸ばし、直立不動の姿勢でそう答えるとクルリと身体を反転させ廊下の向こうにある扉の方へと小走りで移動して行った。


「…なんでこう、うまくいかないんだ…」


シラー枢機卿は自室の机に突っ伏した状態で独り言を吐露していた。


先代の勇者に金で古龍討伐をさせ、その古龍の持つ大量の魔素を使い異世界から勇者の召喚に成功した…


「のにっ!」


調べてみたら召喚した異世界人たちには何ら特別な能力はなく、とても勇者とは言えない者たちだった。

これはマズイと彼らの返還を画策するも、地下の儀式場の管理責任者のシェーリングが岩に潰された状態で発見されたのだ。

しかも肝心の古龍は消えており儀式場全体には荒らされた形跡が散見された。

何よりあの大量の魔晶石が全て消えたいたのだ!

しかも!

どこでどう情報が漏れたのか、今朝、本国から緊急の魔法伝信が届き

「勇者召喚に関する情報を求む。ついては教皇の名代として聖女を向かわせる。丁重にお迎えするように」

とのことだ。

早すぎる! この支部の誰が密告したのか?

いや! それよりも聖女が来る? あの〝真実の瞳〟を持つ聖女が?

…恐ろしい…

この支部の金の流れや召喚した勇者の価値など全てが白日の元に晒されてしまう!

……

いかんいかん!

このままでは破滅だ!!

この召喚で魔王討伐をでっち上げて本国への返り咲きを果たし、最終的には〝教皇〟へと上り詰めるはずがぁ。

…おかしい…

どこで狂った?


先代勇者の利用はうまくいった。

勇者召喚も王国魔術局のババアの言った通りに成功した。

……

わからんっ!

何がどう違ったのか?

どこまでが正しくてどこからが間違いだったのか!

いや待て!

これは…もしかして…神が私に与えた試練なのか?

だとすれば…この試練を乗り越えた先には〝教皇〟への道が開かれているのか?


シラーはそう、何度も考えを巡らせていたが、やがて窓から差し込む朝日を浴び、朝が来たことを知った。


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