お城なんて、あっちでも行った事ないってば!
案の定、お城へと続くデッカい門をくぐり城壁の中へと進んでいった。
最初の門をくぐるとちょっとした広場があり、その先には10段ほどの階段がある。
両脇は高い塀で塞がれている。
塀には大小様々な穴のようなものがいくつも設けられており、これは日本の城でいうところの〝狭間〟というやつであろう。
あそこから弓矢や魔法をぶっ放してくるんだろうね。
怖い怖い…
目の前の階段の先にはまたもやデッカい門が待ち構えている。
こちらは今潜ってきた門とは違い、扉は鉄で出来ているようだ。
その前にはしっかりと鎧を着込んだ兵士が6人、左右に分かれて立っている。
その影には小さな…と言っても普通に人一人が使うような大きさの…いや? ちょっと小さいか? そんな扉が見える。
…いや、扉というよりもまず鉄格子があって、その奥に鉄の扉が見える。
リックくんは迷わずその普通の扉の方に進んでいく。
そしてまたさっきの筒を取り出し中身を広げて見せている。
それを見た兵士が一つうなづくと、後ろの石の壁に手を当てた。
すると少しの間の後、ゴッツイ鉄格子がガラガラと音を立てて引き上げられ始めた。
…見るからに重そう…
やがて鉄格子が上がりきると兵士が鉄の扉をゴンゴンと2回叩いた。
キィッっと音がしたかと思うと、鉄の扉の一部が開いた。
「お願いします」
リックくんがそう言って手に持っていた筒を目の前の兵士に渡す。
兵士は頭を下げながら筒を両手で受け取り、鉄の扉の顔の高さくらいで開いている小さな扉に筒を差し入れた。
しばらく待つと向こう側からゴンゴンと扉を叩く音がし、すぐに鉄の扉がギッギィィと鳴りながら内側へと開く。
「通ってよろしい!」
兵士がいきなり大声でそう言い
「入ります!」
とリックくんが怒鳴り返しながら頭を下げた。
言われた兵士がギロリと俺を睨む。
……
おっと
……
慌てて俺も頭を下げる。
…聞いてないよ、こういう儀式があるって。
すぐにリックくんに脇腹を肘で突かれる。
ん? 何? なんかすんの?
「…俺と同じことを言って」
リックくんの囁きを聞き
「入ります!」
と声をあげる。
くぅ…なんか恥ずかしい…
「よし!」
兵士の肯定的な返事を聞きリックくんと同時に顔を上げた。
そのまま歩き出したリックくんを追う形で鉄の扉を潜る。
腰を屈め頭を下げた状態で扉の向こう側へと進む。
…この塀、意外と分厚い。
扉を潜るとそのままの高さの石の通路を進むことになるんだけど、これが思った以上に長い。
そりゃ城を守る塀だからそれなりの厚さがあるとは思っていたけどね。
…悠に5メートルはありそう。
しかも、その通路の中には誰もいない。
あれ? さっきこの扉を叩いたの、誰?
穴に入れた筒も誰が受け取ったんだ?
…魔法? 何らかの魔法が行使されたのか?
『多分だけどぉ、この扉と向こうの扉が空間を繋ぐ魔法か何かで繋がってるんだと思うよ』
おっと、解説、ありがとう!
さすが空間を司る精霊様!!!
『うふふ、そんなに褒めないでぇ。嬉しくなっちゃうからぁ』
うん! チョロい! こんな簡単に喜んでくれるのって、やっぱり何十年も人と喋っていなかったせいだろうな。
なんてことを考えながら短いトンネルを潜り終えると、目の前にはやたら広い空間が待っていた。
……
結構な広さだ。
サッカー場よりもはるかに広い!
あっ、そうか!
ここに人を集めてその先にあるバルコニーから王様とかが演説したりするんだろう。
広場の一番奥にお城。
その周りを壁のような建物がぐるりと囲んでいる。
正面のお城の5つの塔のてっぺんではカラフルな旗が風にたなびいている。
そんな状況をほけっと見ていたら
「こっち」
とリックくんに袖を引っ張られた。
いやん。
田舎者丸出しで恥ずかしい…
そのまま壁沿いに左に移動し、またもや兵士が守っている鉄の扉を潜る。
当然、さっきと同じようなことがここでも行われました。
…なかなか厳重だな。
扉の中はシンと静まりかえっており、空気すらとまっているかのようだ。
長い長い廊下には分厚い絨毯が敷かれ横の窓から差し込む日の光を浴びて真紅に輝いているように見える。
白い壁、太い大理石の柱、細かな装飾が施されたシャンデリアのようなもの。
これが見渡す限りずっと続いている。
……これ、造るのにどんだけの時間とお金が掛かったんだろう……
そんな異次元な高級廊下をズンズンと進んでいくリックくん。
なんか頼もしく感じてしまったのはしょうがないよね。
左に曲がり、右に曲がり、階段を昇りまた長い廊下を進む。
…どんだけ広いんだ?
軽く2キロメートルは歩いた感じがする。
そんな長旅は、3回目の階段を昇り切った先にあった、これまた高そうな木でできた扉の前でリックくんが止まったことで終わりを迎える。
コンコン
リックくんが心地よい音を立ててドアを叩く。
しばらくするとカチャリと軽い金属音がし、扉が内側へと開きメアさんがヌッと顔を見せた。
やっと目的地に着いたんですね。




