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変態魔導師、大活躍の巻。

「王国近衛兵団である! 抵抗をやめ大人しくしろっ!」


おっと……おそろの鎧隊が廊下に突っ込んできたわ。


「チッ!」


さっきの魔法使いが舌打ちしながら振り返っていろいろ攻撃している。

横のやつらも反転して剣を振っている。

でも、近衛兵団を名乗る集団には魔法は通じてない感じ。

持ってるデカイ盾がみんな弾いてる感じだわ。

剣も槍もみーんな防がれてるし……

あれって、いわゆる「魔道具」ってやつかねぇ。

おっと、この隙に治療に戻ろうっと。

その前に……俺の背後に分厚い壁を作っておこう。

「シルト」

よし、なかなかの出来栄え。これでいきなり背中を刺されることはない、と思いたい。


「お待たせ。治療にもどるよぉ」


さて……と……左目のキズは……うわぁ……目玉が潰れちゃってるわ……

まずは形を戻して……中の水晶体を増幅……うわぁ……視神経って細けぇよ……なんなん……生き物の神秘だねこりゃ

……よしっ目玉完成! これを頭蓋骨の中に戻して……骨も欠けてるわ……修復っと……はぁ……筋肉……神経……皮膚……

よしっ!


「前より男前にしといたから」


「本当か!?」


え? 想像以上の反応……ごめん……


「いや、すまん、冗談だ……あー、残りはその腕だな」


と言った瞬間、俺の横で何かがドサリと倒れ込んだ。


「変態魔導師、油断するな」


おっと馬乗り姐さんじゃないですか。


「ありがとう」


押さえ込まれている奴をジッとみる。

あ、さっき乱入してきた奴らの中にいた髭面の偉そうなやつのひとりじゃん。

髭面…人のこと、言えないか…

っと!

近衛兵団とか言ってた奴らが近づいてきたわ!

ヤベェって!

さっきの魔法使いは……ありゃりゃ、対抗集団の足元で血みどろで倒れこんでるのを仲間がこっちの方に引っ張ってるわ。

うーん、なんとか踏ん張ってはいるけど、突破されるのも時間の問題だろうね。

んじゃあ、しょうがない。

俺は顔を上げると近くにいた兄さんに声をかける。

「あの近衛とかいうやつらとこっちの間に壁作るんで、間開けてもらえませんかね」

声をかけられた兄さんは一瞬嫌な顔をし

「なかなかしんどいことをサラッと言うね」

「出来ません?」

俺はそう言ってにっこりと笑顔を向ける。

「出来んこともないが…なにかキッカケが欲しいな」

そう腕を組んで答える兄さんはガンガンやり合ってる方を見る。

キッカケ…ねぇ…

俺はうーんと考えて

「一瞬でいいんで全員しゃがんでもらってもいいですか?」

兄さん、俺の話を聞くと眉間にしわを寄せた顔を向けてきた。

「そうしてもらえば俺が頭の高さで石の礫を水平に廊下いっぱいの幅で叩きつけますから」

兄さんの顔がパッと明るくなる。

「で、その隙に後退してもらえれば隙間に壁をおっ立てますんで」

兄さん、今度はニヤリと笑い

「それならイケそうだな。…いやウチの奴ら以外はどうする?」

「関係ない人まで考慮する余裕はないですね」

と言い放って俺は片眉を上げる。

「はっ! そりゃそうだ! 了解した!」

兄さんは声を出して笑うと横にいた男に耳打ちした。

すると耳打ちされた一人は前線へと走り出し、もう一人は奥の部屋に走っていった。

「俺が合図を出していいのか?」

兄さんが確認するように俺にそう聞いたきたので

「お願いします」

と答える。

兄さんは大きくうなづき、前線の方へと視線を移す。

俺も前線の方を見ていると、さっき走っていった男が振り向き小さく手を振った。

と、兄さんが俺の肩をポンと叩き

「伏せろっ!!!」

と叫ぶ。

すかさず俺は

「フィーレシュタイン!」

と言って右手を左から右へ素早く横に振った。

ガガガガガガガガガガガガガッガッ!!!!!

途端にものすごい騒音が鳴り響く!

と同時に伏せたままの状態で器用に皆がこちらに向かって走ってきた。

まぁ中には後頭部に俺の石飛礫を食らって仰け反っている奴も結構いたけどね。

だが、ほぼ目論見通りに近衛兵団とやらは俺の石飛礫を食らって倒れこんだり盾の後ろに隠れてそのまま固まったりしている。

「ほいっフェルスヴァント」


なので、すかさず廊下いっぱいに石の壁を作ってやった。


「おぉ!」

「……やはりリックより使える」

「すげーな!」

「……」


馬乗り姉さんやみんなが褒めてくれてる。

気分が上がってきたのでついでに取り押さえられてるおっさんの腕と足に石の手枷と足枷を装着。

「フェッセル」

これで安心だね。


おっと、石の壁ができた途端、周りの人たちが隠し扉っぽい所から突入してきた奴らを取り囲んでは武装解除してるわ。

これはなかなか大したもんだ。

さっきの兄さんがここのボスだったのかね。

命令系統がしっかりしてるようだね。

……

あ、今気づいたけど、馬乗り女さん、素顔だわ。

慌ててて全然気づかんかったわ。


「なかなかの美人さんですね」


俺はそう言ってにっこりと笑顔を向けた。


が、馬乗り女さんはピョンと後ろに跳び退いてしまった。

あれ? お世辞が気に入らなかったのか?


「変態魔導師、両刀か?」


いつの間にかナイフを構えて臨戦態勢だ。

……

はぁ……下手なことは言えないわ……って彼女も結構な怪我してんじゃん!

あっちこっち血だらけだし……

右目は切られてのかどす黒く腫れ上がってるし、もう片目は額から落ちてくる血で塞がれてるし……

あんた、両目、ほとんど見えてないでしょ。

しかも背中になんか生えてますよ?

矢? 抜かなくて大丈夫?

よくそれであれだけ動けたね……すげーわ。尊敬。


うーん……そんだけ動ければまだ大丈夫だね。

悪いけどチョイ待ちね。

俺を避けた罰…ってわけじゃないけどさ。


ではっと、リック君の仕上げをしないとね。


腕は……骨を残してほぼ千切れちゃってるね。

残ってる骨も砕けてて……引っ張ったら抜けそう……


「さっきと一緒。繋がるように念じて」


まずは骨から……っと……

なかなか立派な骨だわ……しっかりくっつけて……

次は……血管……神経……筋肉……

……はぁ……スーパーのひき肉を思い出したわ。

ふぅ……なかなか魔素を持ってかれるね。

徐々に……徐々に……傷口が塞がって……しっかり腕が再生されてきたかな?

……

いい感じ……

……

よし! 繋がった!


ぷっはぁあぁ!!!

出来たぁ!!!

あとは……減った分の血を増やさないとね……これはさっき吸い取っておいたのが宙に浮いてるから戻すだけだわ。

え? バイキンとか大丈夫かって? 多分大丈夫なはず。まぁ、リック君の体力に期待だね。


「はいっ! 完了!」

俺はそう言ってリック君の額をピシッとデコピンした。


「イッテェ!」


リック君、涙目で起き上がるや否や

「うおぉっ!!!」

と雄たけびを上げズタボロだった左腕をブンブン振り回してる。

……

耳元で叫ばれるのは辛いっす……


さて、と。

次は……と思って顔を上げるとなんか周りの雰囲気が……変?

なんでしょうと辺りを見回すと……俺を見つめる目、目、目。

あれ? 俺、なんかやらかしちゃった?


「……神の奇跡……」


誰かがそう呟いた。

俺にもそう聞こえた。

が、そうじゃない。

これはれっきとした魔法だ。

この世界にある魔法の一つに過ぎない。

なんかリック君が俺の肩を掴んでガクガクと揺すり出した。

……コラ……気持ち悪いって……


「リック君……次……やるから……やめて……」


俺はしどろもどろになりながらもそう訴えて彼の手首を掴んだ。

「すげーよ! あんたすげーよ!!! 天才だよ!!!」


話を聞けって!

揺れる頭でなんとか使えそうな魔法を探す。

あ、これ……ウプッ…いや……無理……


魔法を諦めた俺は、ちょっと強めに彼の手首を指で両方から押した。


「うぉっ!」


ビクンと彼の動きが止まる。

俺はその手首をクリッと捻り両手で懐に引きつけ肘を使って彼を転ばせた。


「リック君。はしゃぐ暇があったら王子のとこにでも行ってて。彼女の治療もしないと」


「……お? おぉ……」

俺の下敷きになったリック君が呆気にとられて目をパチクリしている。

まぁ、これくらいはね。

って…あれ? なんでこんなこと出来るんだ? 俺。

そりゃあ子供の頃、護身術とかに興味があったんで、アメリカ軍のサバイバルなんちゃらって本やら護身術のなんとかって本を見たことはあった……けど。

とはいえ、実際に出来るとは思わなかったわー。

やってみたら……うまくいったね。って感じでいいのか?

これはきっと、死んだ彼の記憶のおかげか神様のくれたチートかも。

さて、馬乗りちゃんの治療もしないとね。

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