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龍の頭が出迎えてくれました。


周りを見ると、全員いた。


部屋は、かなり広い。

天井はドーム型で真ん中にぽっかりと穴が空いていた。が、空は見えない。

ぐるっと回って見たところ、部屋は完全な円形だ。

多分、東京ドーム一個分には足りない……ね。

テニスコート2面分くらいかな?

壁は……白いようだが灯りのせいか薄いオレンジ色に見える。

そしてその壁にはぐるりと等間隔に十数本の綺麗に装飾が施されている石の柱。

その柱にはランタンのような灯りが光り……

床にはなにやら幾何学的な模様のデッカい魔法陣がドーンと書き込まれており、それを囲むように宝石がこれまた綺麗に並べられている。

そしてなにより、この空間は噎せ返るほどの濃さの魔素に満たされている。


『で、お主ら、何もんじゃ?』


再び声が聞こえた。

なんとなく部屋の中央を見ると、デッカいワニの頭だけの剥製?のようなものが、キレイな絨毯のような布がかけられたマジでデッカイ台座の上に鎮座ましましていた。

だって……頭だけで……でっかいトラックくらいあるのよ、大きさ。


「! りゅ、龍……」


王子が息を飲む。

リックとメアはそれぞれ武器を手に身構える。

俺は……様子見だね。

うーむ、でっかいワニじゃなくてドラゴンの頭なんだ……

……っていうかドラゴンがいるってことは……やっぱ異世界なんですね。

あの顔の大きさから考えると……身長、何メートルだ?


ん? でもなんでこんなとこにいるんだ? しかも、頭だけで。

なんか訳ありっぽいね。

あ、だから、無理やり俺たち連れてこられたんだ……

なんにしても、こんなデッカイ顔、こんな奥まったところに運ぶだけでも一苦労だろうに。

何かの儀式のためにここに運ばれてきたんだろうね。きっと。

でも……なんだ? なんで頭だけしかないんだ?

うーん……わからん。

やっぱりここに来てもらうには身体全体だと入らないからかな?

にしたって首だけにしちゃったら死んじゃうかもしれないのにねぇ。

あ、それとも自主的に『頭だけ』になってるのか?

…そんか感じでは…なさそう…

てことは……こーんなデッカイドラゴンの、首ちょん切って持ってきた人がいるってこと?

……マジ?

巨人ですか? ロボですか? それともいわゆるドラゴンスレイヤーとかですか?

俺だったら億積まれたって嫌だけどね。


『儂の質問に応えよ』


おっと、お怒りモードに入っちゃうよ?

ってことは、やっぱり頭だけでここにいるってのは不本意なんだな。


「わ、私はエーレシュタート王国第三王子のワルター・ヨヒアム・ドライスと申します」


王子、脂汗、ダラダラ出てますよ。

大丈夫かな? リックもメアも小刻みに震えてるし……やっぱりドラゴンって恐怖の対象なんだね。


……

俺は……怖いっちゃ怖いけど、あんまり実感がわかないんだよねぇ。

それに直接的には関係なさそうだね。

王子とドラゴンヘッドさんが何やら会話してるみたいだけど、俺には聞こえない聞こえない。


……


おっと!

果物発見!

これは……お供え物かな?

……

誰も見てないし、食べちゃおうっと。


俺はササっと果物やらいろいろ飾られているテーブルに近づき、中の一つのりんごっぽいのを手に取った。


クンクンクン


甘い香り! 匂いはリンゴっじゃない……もっと甘いなにかだけど……いい香り。

これなら絶対美味しいに違いない!


俺は迷うことなくリンゴもどきを齧ってみた。


「あうぅ…… ジュゥシィィィィ」


さっきのメシの不味さを忘れさせてくれるほどの衝撃。


無我夢中で食いまくる。


あっという間にりんご一個を平らげる。

しかし、俺の腹は「もっと欲しい」と訴えているようだ。

俺はテーブルの上にある黄色い物体。

……バナナっぽい……いや、バナナだろ、これ。

バナナを手に取る。

匂いを嗅いでみると、完全にバナナだ。

なので皮を剥きかぶり付く。

……

これもうんまぁーーーい。

……

もう完全にこれはバナナです……


そしてあっという間にバナナも1本、売り切れた。


さてもう一個、と思った時、いいことを考えた。


果物をマジックバッグに入れて持って帰ろう。

……って、どこに帰るんだ? 俺。

ま、なんにせよ食料は確保しとかないとな。


俺は、つまみ食いしながら果物をポイポイとバッグに仕舞い始めた。

……バナナ、うめぇ……

あれ? そいえばさっきっからこいつ、あんま喋ってないけど……?

どした?

『……』

あれ? だんまりですか?

いや待て。

なんで黙ってんだ?

……

……

……あぁ……あれね?

あのドラゴンヘッドが怖いんだね?

『そ……』

やっぱり……この世界の住人にとってドラゴンってのはやっぱり恐怖の対象ってことなんだね。

でも……頭しかないよ?

『それでも……だ』

おや? 口調まで変わっちゃてるし。

心配しすぎなんじゃない?

いくらドラゴンが強いといっても空間魔法の精霊さまでしょ?

大丈夫なんじゃないの?

『無茶いうなヨォ……』

あ、口調、戻ったぽい。


パッと振り返ってみると、あちらではまだ話し合いが続いているようだ。


暇なんで辺りを見渡す。


……

いろいろある。

装飾が施された豪華そうな剣。

金ピカに光り輝く燭台や食器類。

複雑な模様が描かれたタペストリー。

皮袋いっぱいの宝石。

手当たり次第、バッグに放り込む。


途中、布袋の口を縛っていた紐で、髪を縛ってみた。

さっきのマルクのスカーフ、汚かったしね。

うん。 これなら臭くないだろうし、髪が邪魔にならないわ。


あぁ、それにしても……髪の毛が邪魔だと思う日が再び来るとは……


それにしても、目を引く床に並べられた大量の宝石。

……いや待て、これってもしかして……魔石ってやつか?

これも貰っとこうかな、と思ったが嫌な感じがしたんでやめといた。

あっ! さっきの宝石もそうかも……まぁそっちはもう入れちゃったしいいか。


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