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魔道具は、恐ろしいのです。


わしは大司教のオラクル。

5歳の時、7歳の姉と一緒に教会へ売られた男だ。

ただ、教会は天国だった。

食事はちゃんと食べられるし、怒られても殴られたりしなかったからな。

しかし、そんな教会も裏に回れば地獄だった。

わしが10歳になった時に急に姉が教会からいなくなった。

周りのやつに聞けば

「容姿の良い子は奴隷商や売春宿に売られる」そうだ。

……結局は、ここも、カネだ。

貧乏人から子供を買い、そこそこ育てて見栄えが良ければまた売る。

見栄えが悪くても教会で下働きさせれば良い。

わしは決意した。

カネを貯めようと。

教会に寄付されたお金の中から銀貨一枚だけ抜き取ったり、教会のバザーで売れ残った服などを古着屋などにこっそり持って行ったりしたのだ。

やがて周りの者たちの評判までもカネで買えることに気づいたわしは、さらにカネへの執着を深めていった。

そこからの20年間は、裏の仲間たちで治癒商売などを始め、結構な金額を手にしたものだった。

おかげで40歳には司祭、50歳を少し過ぎたころにはなんとか司教になれたのだ。

そして去年、十数年に渡る上司などへの貢ぎ物などが功を奏し、なんとかこの地位を手に入れたわけだが、どうも思っていたのとは違っていた。

大司教になれば、教会を任せられて、お布施や寄付金なんかを自分の裁量で扱えると聞いたはず、だったのだが……

なってみたらなんと、空いている教会がないとかでこの教会の枢機卿のお世話係にされてしまった。


……これでは元が取れんではないかっ!


そんな時だ、あの噂を耳にしたのは。

なんと、この教会の地下には人工的に魔道具を作ろうと実験をしている工房があるという噂を。

しかもだ。何個かは成功したものも保管されているそうだ。

さらにさらに、その工房はここの枢機卿の指示のもと運営されているらしく、教会本部には許可を取っていないそうだ。

しかし、今年の終わりには教皇様が視察に来られるという名誉をいただいたそうな。

で、もしこの工房の存在がバレてしまったら……

現教皇の後継者との声の高い、ここの枢機卿の出世は…いやいや…彼の存在自体が否定される恐れがあるのだ。

そのため、近々その工房を閉鎖するらしいという話だそうな。

わしはこれが最後のチャンスだと思った。

わしももう、いい歳だ。

ここからさらに上の枢機卿になるには膨大な資金と十年以上の時間がかかるとみている。なにせ上はもう飽和状態らしい。

足の引っ張り合いも激しいらしい。

だからこそ! ここの工房の存在はバレてはいけないのだろう。

なれば、閉鎖される工房からいくつかの魔道具をちょろまかしたところで誰も怒るものはおるまいて。

で、どこぞの貴族か大商人にでもその魔道具を売れば、確実に残りの人生、遊んで暮らせるくらいのお金は手に入るはずだ。

というわけで、なにやら幹部連中が地下の儀式ホールに集まっている隙を狙ってここへ侵入したのだが……まさか既に本部の手が!

さすがは教育局の人間だ。あっという間に床に叩きつけられてしまった。

しかも治癒魔法の行使もあっという間だ。

これはうちの枢機卿より実力は上だろう。

となれば、ここは逃げの一手だ!

よしよし、うまいこといくつかの魔道具は確保することができたようだ。

しめしめ……

なんとか自室まで辿り着けたわ。

……

? 確か…指輪をいくつか、ポケットに…おぉ! あったあった。

さて、どんな仕掛けの魔道具だ?

ちょろまかした鑑定機に載せてと。

……属性は…水か…

含有魔素量は少ないな。

これでは大した機能はなさそうだわ。

こっちのは…なんだ?

『鑑定不能』

これは恐ろしくいいものか、もしくは悪いものっぽいわ。


うーむ……とりあえず水属性の方を嵌めてみるか。

……

…うっ?

げっ!

しま……っ……た

こりゃ…付けたものから魔素やら水分やら勝手に吸い取るやつ……か…も…

うぉうっ! マズイマズイ! 早く外さんとっ!!


ち、力が……入らん。

手や腕が……みるみるうちにシワ……

干から……びて…しま……う……

……




『もしかしたらだけどぉ、あいつまだどっかになにか隠し持ってたのかもね』

え? どういうこと?

『つ・ま・り。いくつかちょろまかしたものがあって、君が取り上げたもの以外にもポケットとかに隠してたんじゃない?』

!!!!

やりやがったな! あのおっさん!!

…ってことは……

『今頃部屋でほくそ笑んでるかもヨォ』

くっそっ!!!

『あははっ でもさぁ、ここの魔道具、けっこう気合が入ってるの多いから、おっさん、逆に魔道具に取り込まれてるかもね』

え? どゆこと?

取り込まれるって?

『魔道具の中には、使用者の魔素を糧に動くものもあってさ。魔素量の少ない人が使うとあっという間にその人の魔素量を超えた量を吸い取られちゃったりするんだってぇ』

え? ってことは、魔素枯渇で倒れるってこと?

『倒れるだけならまだマシさ。きっちりゼロまでしか取らないって保証はないからね』

……ゼロを超えるってことは…マイナスになるんですよね? そうなると…どうなるんです?

『死にます』

やめてぇーーー!!!

『んで、消えます! 肉体が!』

ぎゃーーーーーー!!!!


……

大丈夫か? んなもの作ってるこの教会。

いや絶対ヤベェな! 教会!

でも……ここはもう破棄するとか言ってたな。

……

王子達には黙ってよう。

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