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目が覚めたら地獄でした。

夜、いつものようにベッドに入り

朝、いつものように目が覚めたら

……いつものよう……じゃない!!!


目だけを動かしてあたりの様子を窺う。

すると

そこにあったのは

いつもの見慣れた風景ではなかった。

そう

きっとここは……地獄だな。


息をすれば鼻をつく悪臭。

見渡せば寒々しい石っぽい壁や床。

天井は暗くて見えん。

腕を上げてみれば着古された服。

それに、ちょっと引っ張っただけで千切れてしまった布団っぽい布。

今、令和何年だっけ?

いやいやいや、年号とか関係ないわ。

今の俺の現状……


周りの風景やボロボロの服……それ以上に驚いたのは

自分の腕の細さだ。


ガリッガリだ。

しかも目の前に掲げるのも億劫だ。

……

てことは、身体全体がこんなカンジなんだろう。

……一晩で?

うっそだぁ……

メタボだ肥満だと散々言われ続けてきた俺なのに……


あ! ってことは……

どうやら俺は死んで地獄に落ちたんだな。


まあ、天国にはいけないとは思ってはいたが、実際に地獄に落とされてみると……

途方に暮れる。


ちょっとだけ頭を上げて見えた光景……

真っ暗な……?……あれ? 鉄格子?

え?

地獄イコール牢獄?


目の前に鉄格子があるんですけど……

鉄格子の外はほんのり明るい。

……

もう少しだけ上げて、さらに遠くの方を見てみた。

……

廊下……かね?

なんとなく電気っぽくない明かりだわ。

炎みたいな、ゆらゆら揺れてる明かりだ。

壁も天井も石っぽい。


……疲れた。

頭を元に戻した。


いやいやいや、俺の思ってる地獄とは全然違うぞ。

こう、針の筵に座らせられたり

地獄の釜で茹でられたり

極寒の中、裸で放り出されたり

……

そう考えると、ここはまだ普通だわ。


いや、普通じゃないけど……


ん?

ってことは、死んでなくて、俺は寝ている間に捕まって牢屋に入れられた?

何の罪で?

いや、でも、寝ているうちに逮捕されるってことはないか。

流石に起きるだろうし、俺。

それに、問答無用で捕まるような悪事を働いた記憶もないし……

そもそも日本の警察の留置所って感じじゃないし。


誘拐?


それこそありえねぇって。

こんなハゲのメタボジジィ誘拐して誰からお金取ろうってのさ?

親父が建てた築60年オーバーのボロボロの一戸建て。

貯金少々、小銭ならたくさんある。

あとは年金プラスちょっとしたバイトで生計立ててる身としてはねぇ……


愉快犯か?

見ず知らずの赤の他人を地下牢に閉じ込めて、そのリアクションを隠しカメラで撮って笑う

……面白いか?

それ以上にリスク、高すぎだろ!

テレビのドッキリか?

……

それこそありえねぇわ。

こんな大掛かりな鉄格子の牢屋を用意して……


鉄格子はいったん置いといて

……

どうしたら一晩でこんなにガリガリにダイエットできるのか?

出来たらとんでもなくバズるわ!

変な薬で……うーん……飲んだ記憶がない。


んじゃやっぱ、死んだんか。

ここんとこ、ずっと調子が悪かったしな。

嫌な咳も出てたし、倦怠感、半端なかったし。

年も年だしなぁ。

死んで……こんなとこに連れてこられて……

いやいや、こんなこと考えられる時点で死んでないでしょ!

これは……なんの冗談だ?


あっ!!!

「……ステータスオープン」


……あれ?

なにも起きない。


あわよくば「異世界転生」とか……

と思ったんだけどね。


違ったみたいだ。


……

「……火」


「あっちぃい!!!!」


いきなり指先が燃えた!


え?


……ってことは

魔法は使えるの か?……火だけか?

と思った途端、頭の中にメニューのようなものがデデンと浮かんできた。

これは……魔法の種類?

火魔法……あるわ……でも土魔法がメインっぽい……項目が多いし……白魔法? 治癒のこと?……えっ? 錬金術?……他にも風、水といろいろ使えるようだな。

あれ? ってことは、俺ってかなり優秀なんじゃね?

浮かんでくる魔法の量からすると、けっこう上級者っぽい感じなんですけど?


うーん……これはやっぱり異世界転生ってやつか?


……

……んじゃなんでこんなにガリガリなんだ?

起き上がるのも億劫なほど痩せこけて……

うーん……

転生ってのは赤ん坊からのスタートってわけじゃないのか?

……

てことは、この身体は他の誰かの身体ってことか?

……あ!

だから最初からこんな凄い魔法が使えるんだ。


……あれ?

じゃあ、なんでこっから出られないんだ?

ドーンと魔法を行使して脱出すればいいんじゃないの?

俺の前の俺。


んじゃまずこの鉄格子を火魔法で焼き切って……あれ?

行使されない……なぜ?


誰も応えてくれない。


じゃ、考えるしかないな。


ここは牢獄。

悪い人を閉じ込めておくところ。

悪い人が魔法を使って逃げようとするのを防ぐためにここは魔法が行使できない……

いや、小さな火は出せた。

ってことは、ある一定以上の威力の魔法を行使しようとすると安全装置が作動して魔法が行使できなくなるって感じ?

ちょっと喉を潤すくらいの水とか、暗いところを覗く程度の灯りとかならいいけど、相手に危害が及ぶような魔法は行使できないと考えるのが普通かな。


……


普通ってなんだよ!

普通は魔法なんか行使できないって!


じゃあやっぱしここは『異世界』ってことで考えをまとめよう。

じゃないと先に進まないしな。


ヒタ ザッ ヒタ ザッ ヒタ ザッ ヒタ ザッ


おっと、足音が聞こえる。

誰か来たようだ。

生まれて初めての小説です。

いろいろあるかと思いますが、よろしくお願いします。

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