99.過去の因縁~其ノ八~
==========第二部========
・過去の因縁の章:92話~
・潜入の章 :82話~
・New Face :75話~81話
・Who are you?:64話~74話
==========第一部========
・消失の章: 1話~12話
・悲哀の章:13話~26話
・裏切の章:27話~35話
・疑惑の章:36話~47話
・犠牲の章:48話~63話
2279年にダイブした4人は夜になるまで息を潜めた。
そして夜に5人の男たちが教会に入っていった。
レオンハルト『ターゲットが来たぞ。あの長身の眼鏡をかけた男だ。奴だけは確実に抹殺するんだ。いずれ幹部になる人物だ。』
ジャンヌ『BHBで殺るわけにはいかない?』
レオンハルト『万が一仕損じると、シミュレーションから仕切り直しになる。』
ゾーン『俺とマルコで潜入し、その男を抹殺しよう。BHBの準備だけはしておいてくれ。』
レオンハルト『分かった。見取り図は送ってあるし、セキュリティーもお前たちが近づけば自動解除されるようにしたから、まあ問題ないだろう。』
ゾーン『行こう。』そう言ってマルコと共に教会に堂々と入っていった。
当然こうなる。
男『誰だ。今日はもう閉めた…。』と言ったところで無言で倒れた。マルコに急所を一突きされたのだ。
マルコ『ゾーン、サングラスは?』
ゾーン『邪魔になるだけだ。』
マルコ『お前が言っていた地下にいるかもしれないぞ。案内なしに行けるのか?』
ゾーン『適当に暴れれば向こうから来るだろう。』と言って歩き出した。
通路に数人の子供がいた。
子供『誰?』と言ったのが最後の言葉だった。
床には、もう二度と目の覚めない子供たちが横たわっていた。
ゾーンもマルコも無言だった。
マルコが先頭で地下への入り口まで来た。
マルコ『ここから下に行けるが…。』
ゾーン『俺たちの侵入はバレてるのか。』
マルコ『そのへんは、レオンハルトがうまくしてくれてるからバレてないだろう。俺は目新しいものがないか見ていきたいからゆっくり行こうと思うが。』
ゾーン『好きにしろ。俺はとりあえず処理していこう。』
ゾーンが地下に入った。しばらくして少し騒ぎ声が聞こえたが、それもそのうち静かになった。
マルコ『さて、俺も行きますか。』と地下に入った。
マルコは転がっている死体を見た。3体だ。あの長身眼鏡男はいないようだ。
マルコは近くの部屋に入った。目ぼしいものはなにもない。
マルコ【まあ期待はしてなかったが、その期待を裏切らないからガッカリだ。】
マルコはいくつかの部屋を見て回ったが、特に欲しいものはなかった。
ゾーンは、歩く殺人マシーンと言ったところか。悠々と歩きながら人を殺していった。
そして
ゾーン【この部屋に…多いな。6人か。】
ゾーンが扉を開けた。ターゲットの男+4人+ここの施設の人間?1人がいた。
男A『!お前は誰だ。どうやって入った?』
ゾーンはターゲットの男にまっすぐに向かった。それを阻止しようとガタイのいい男が前に出た。だが、その男はすぐに崩れ落ちた。何が起きたか理解するよりも残った男たちは銃を取り出した。
ゾーン『面倒くさいな。』とつぶやき、長身眼鏡男の前に瞬間移動した。
長身眼鏡男『うおっ。』突然目の前に現れたので驚き逃げようとしたが、その場で崩れ落ちた。
他の男たちは銃を使えなかった。仲間との距離が近いせいだ。その躊躇が命取りだった。
しばらくしてゾーンが部屋から出ると、マルコが近づいてきた。
マルコ『終わったのか。』
ゾーン『ミッションクリアだ。お前は何かあったか。』
マルコ『外れだ。』
ゾーン『あと2箇所ある。戻ろう。』
ゾーンとマルコがレオンハルトとジャンヌに合流した。
4人が消えた数十秒後にその教会を中心に半径50m部分が消失した。
2277年岐阜県高山市
ここに黒衣の4人組が歩いている。
昔から外国人観光客が多かったせいもあり、服の色以外は、特に目立つことはなかった。
ジャンヌ『ちょっと待って。』と言って、団子を買ってきた。
ゾーン『おい。』
ジャンヌ『このくらいいいでしょ。』と団子はみんなに配った。
マルコ『なかなか美味しいな。』
ゾーン『……レオンハルト、ターゲットは?』
レオンハルト『そう急かすな。あれは?』と飛騨牛の串焼きを指さした。
ジャンヌ『食べてみる?』と言って、買ってきた。
レオンハルト『俺はやっぱり肉派だな。』
マルコ『俺は、両方だ。』
ゾーンは、無言だった。
ジャンヌ『そろそろ行きましょ。ゾーンが切・れ・る・前に!』
レオンハルト『こっちだ。』と歩き出した。
ある境内に着いた。
ゾーン『ここか。』
レオンハルト『そうだ。まあここはBHBで消滅させれば終わりだ。』
ジャンヌ『特定の人では無いのね。』
レオンハルト『そうだ。日本は世界から見ても比較的平和のせいもあり、セキュリティーも甘いから武器の開発や貯蔵にうってつけだからな。クリムゾンフォレストも然りだ。ここはその開発拠点だ。一気に消滅させて………。』
マルコ『ちょっと待て。武器だって!早まるな。まずは調査をしてからだ。』
ゾーンとジャンヌがレオンハルトを睨んだ。武器の話をしたからだ。
マルコ『レオンハルト、出入口はどこだ。』
レオンハルト『まあ待て、まだ明るいんだ。夜まで様子を見よう。』
マルコ『なんで夜にダイブしなかったんだよ。』
レオンハルト『いきなり夜だと周りの状況が見えにくいだろ。それに観光客も少なくなって俺たちが目立つだろうからだ。』
ジャンヌ『マルコ、少し冷静になって。』
ゾーン『目的は施設の破壊なんだな。』
レオンハルト『今回はそうだ。』
ゾーン『それなら、今から入ろう。多少の無関係者が巻き添えになっても問題ない。』
ジャンヌ『そうね。私たちにとっては今更よね。』
レオンハルト『分かった。入り口は、あの茶屋の裏手だ。』
目的の茶屋に近づき、裏に回ろうとすると
女店員『そっちは、違うわよ。日本語わかる?お店はこっちよ。それともトイレ?』
ゾーンが一歩前に出て始末しようとした。それをジャンヌが遮った。
ジャンヌ『(仏語)ごめんなさい。このお店の裏に用事があるの。行ってもいいかしら?』とフランス語で話した。
女店員『えーと、英語?早すぎて分からないわ。日・本・語・は?無理そうね。』
ジャンヌは女店員の手を握り、裏手に誘った。
女店員『えっ?ちょっと。』これが最後の言葉だった。心臓箇所を刺されて倒れたのだった。
ジャンヌ『しつこいわよ。』と冷酷な目で倒れた女店員を見下した。s-BHBで証拠隠滅をしてから
ジャンヌ『レオンハルト、入り口は?』
レオンハルト【ゾーンを制止した意味なくない?】『そこらへんだ。』
マルコ『それらしきものがないが……。』
レオンハルトがサングラスを人差し指でチョンとした。
マルコがサングラスをかけると『これは、ステルスか。』と言って消えた。
レオンハルト『俺たちも行こう。』
そして3人も消えたのだった。
次回は08/08 18:00 の予定
『過去の因縁~其ノ九~』 です。