98.過去の因縁~其ノ七~
==========第二部========
・過去の因縁の章:92話~
・潜入の章 :82話~
・New Face :75話~81話
・Who are you?:64話~74話
==========第一部========
・消失の章: 1話~12話
・悲哀の章:13話~26話
・裏切の章:27話~35話
・疑惑の章:36話~47話
・犠牲の章:48話~63話
別の日のモニター室
タケシ『これは?』手に小さなカプセルを持っている。周りには誰もいない。
ノア『それを飲んでください。タケシ様専用のナノマシンが入っております。』
タケシ『………。』
ノア『害はありません。』
タケシ『分かったよ。』そう言って口に入れ飲み込んだ。
ノアはこのことを誰にも知られたくなくて普段使われていない部屋にタケシを招いたのだった。
また、延ばし延ばしになっていたネオ・クリムゾンフォレストを壊滅させるために動き出すことにした。
メンバーは、ジャックと関係があったゾーンとジャンヌ
そしてセキュリティー懸念があるからレオンハルト
武器に精通しているマルコ
の4人となった。
マルコだけは、ウキウキ気分だった。大きい組織なので新武器があるかもしれないからだ。
レオンハルト『準備はいいか。分裂する前のクリムゾンフォレストを潰すから覚悟はいいか。』
罪もない人々を殺すという意味だ。
ゾーン『今更だ。ノープロブレムだ。』とみんなの顔を見る。
ジャンヌもマルコも頷く。
レオンハルト『ジャンヌ、お前はここに残った方がいいと思うぞ。それにタケシはいいのか?』
ジャンヌ『ジャック絡みだし行くわ。タケシのことは麻希やみんながいるから大丈夫よ。それにノアとよく話してるみたいだし。』
レオンハルト『止めといたほうがいいと思うぞ。あのな……。』ここでゾーンに遮られた。
ゾーン『本人が決めたことだ。よし!行くぞ!』
そして、4人はダイブした。
2269年ニューヨークのとある教会前
黒衣を纏った4人が立っていた。
マルコ『ここか。貧民街だな。いつの時代でも光あれば影ありということか。』
レオンハルト『ここの人間はまだましな方だ。ICチップが入っているから人間として扱われるからな。』
ジャンヌ『敷地内に子供たちがいるわ。』
レオンハルト『おそらく孤児だろう。残念だが………。』
ジャンヌ『そうね。悲しいけど仕方ないわ。マサムネがこの任務に入らなくて正解ね。』
ゾーン『ああ。この教会ごと抹消すればいいのか。それならBHBで足りるんだが。』
レオンハルト『最終的にはそうだが、主要人物を抹殺しないと。』
マルコ『今、いるのか。』
レオンハルト『今から調べる。あの教会のシステムに侵入して見てみるよ。クリムゾンフォレストだから監視カメラは設置されてるだろう。ハッキングに集中するから誰か見張っていてくれ。それ以外は、周りを見てきてもいいぞ。』
ジャンヌ『ゾーン、マルコ、二人は周りを見てきて。私が残るわ。』
ゾーンとマルコは頷いて二人から離れた。
レオンハルト『ジャンヌ、そろそろロキを受け入れたらどうだ。』と空中に向かって作業をしながら聞いた。
ジャンヌ『今、その話する?………そうね。私もそろそろ前に進もうと思ってるから。』と笑顔で応えた。
レオンハルト『いらぬお世話だったな。うーん、さすが一筋縄ではいかないな。時間を掛ければ何でもないんだが、時間を掛けたくない。』〈ノア、できるか?〉と文字を打つ。
〈対応します。〉という文字が浮かぶ。正確にはノアの分身だ。レオンハルトがノアと連携を取るにあたり、ノアの分身?(どれも本体だろう)を同行できるようにしたのだった。但し、ダイブしているのでノア同士の意思疎通はできない。
〈侵入しました。今からデータを送ります。〉
レオンハルト『さすが。』
ジャンヌ『すごいわね。』ジャンヌもサングラスを掛けているので画面が見えるのだ。
その頃
マルコは教会の周りを歩いていた。
教会や敷地もそれほど大きくはない。
裏手に来たところで、近くにベンチがあったので座り、持ってきたタコスを食べだした。あからさまに周りを歩けば怪しまれるので適当なところでカモフラージュとして食べようと周囲を見回るときに決めていた。
マルコ【教会からの視線を感じる。まあ、俺が見ても怪しいだろうからな。もう一つ食べてから一旦、離れるか。】と思い、タコスをもう一つ取り出した。
??A『政府の関係者かと思ったが、違ったか。』
??B『何かを食べてる段階で違うだろう。明後日は、幹部が来るから準備を急ぐぞ。』
??A『面倒くさいよな。他でやってくれ、だ。』
??B『そう言うな。少し我慢すればあとは好きに出来るんだからな。』
??A『そうだな。こんな割のいい仕事はないからな。俺らにとっては環境破壊がどうこうよりもお金だよ。』
??B『そうそう。』
??A『ん?もう一人いるな。墓地の方だ。仲間か。似たような服を着てるぞ。』
??B『墓参りだろ。黒服なのはそのせいだ。』
??A『確認しに行くか。』
??B『行かんよ。俺たちは見張ってた。あれは墓参りだ。そうだろ。』
??A『そうだったな。墓参りをしてるだけだ。特になにもなかった。あっちも食事してるだけということだよな。』
??B『そういうことだ。面倒ごとはいやだろ。聞きにいこうが無視しようが貰えるお金は同じだ。』
ゾーンは仲間から離れてから、教会横の墓地にいた。無言で墓地を歩き回った。そしてしばらく立ち止まってから仲間の元に戻ったのだった。
ゾーンとマルコが戻ってきて合流した。
ジャンヌ『何か言っておく情報はある?』
マルコ『特にないな。教会から玄人の視線を感じたぐらいか。』
ジャンヌ『タコスの食べ過ぎで動きが鈍くなったとか言わないでよ。』とマルコの口元を見て、自身の唇を人差し指で指した。
マルコ『ああ、口の周りを拭くのを忘れてたか。』
レオンハルト『口臭で分かるわ!』と小さく笑いながら言った。
ゾーン『墓地の下に人の気配がした。』
ジャンヌ『それ、本当?』
レオンハルト『本当だろう。教会とその周辺の見取り図だ。かなり広い地下施設があるようだ。幹部連中は明後日ここに来るようだが、まあ仕方がない。』
ジャンヌ『待たないの?』
レオンハルト『シミュレーションでは今日だ。正確には今夜だ。マルコ、俺たちの分は無いのか。』
マルコ『もちろんあるぞ。』
ゾーン『貰おう。』
ジャンヌ『頂くわ。』
とマルコは全員にタコスを配った。
その頃
タケシ『リリーおばさん、この触手動かないんだけど。』
リリー『こうすれば動くわよ。』とシリンダーを叩いた。するとうねうねと動き出した。
タケシ『面白―い。ねえ、名前はつけたの?』
リリー『名前?その発想はなかった。確かに生きてるから名前を付けるのもありね。』
タケシ『うーん。何がいいかなあ。』
リリー『見た目はオクトパスの足にも似てるかしら。』
タケシ『オクトパス……オックン…?』
ノア『オクトパスは日本語でタコです。』
タケシ『タコ…のあし。タコし…タコス……?』
リリー『マルコが怒るわよ。ノア、誘導したんでしょ。』
ノア『はい、タケシ、まだまだですね。』
タケシ『う~!タコスにする。』とふくれっ面で言った。
リリー『はあ~。まあいいでしょ。』
こっちでもタコスだった。
次回は08/01 18:00 の予定
『過去の因縁~其ノ八~』 です。