97.過去の因縁~其ノ六~
==========第二部========
・過去の因縁の章:92話~
・潜入の章 :82話~
・New Face :75話~81話
・Who are you?:64話~74話
==========第一部========
・消失の章: 1話~12話
・悲哀の章:13話~26話
・裏切の章:27話~35話
・疑惑の章:36話~47話
・犠牲の章:48話~63話
翌日、ゾーンが第3格納庫で体を鍛えていると、タケシが入ってきた。
タケシ『ゾーンおじさん。』
ゾーン『どうした?タケオのことか?』
タケシ『うん、今まで父さんのことを考えないようにしてたんだ。だってゾーンおじさんやみんないるから。でも昨日のを見てからどんな人だったんだろうと思って。母さんには聞かない方がいいような気がして…。』
ゾーン『タケオのことを知っているのは俺とジャンヌだけだ。面識だけならロキも会ってるがな。そうだな。タケオは…。』と話そうとした時
ノア『ゾーン様。折角なので皆さんにタケオ様のことをお話されてはどうでしょうか?』
ゾーン『…タケシはどうしたい?』
タケシ『…それでいいよ。』
ゾーン『ノア、男全員に連絡してくれ。』
ノア『言っておきます。大人の男性のみに。』と念押しした。
ゾーン『タケシ、来たついでに少し組手をしようか。』
タケシ『本当!やったー。』
しばらくしてメインルーム
ゾーン、タケシ、ロキ、ローランド、マルコ、イゾウ、レオンハルト、キーリング、マサムネがいる。
ゾーン『昨日のタケオの映像を見て、タケシが色々知りたくなったらしいんだ。だからついでにお前たちにもタケオのことを知ってもらおうと思って集めた。興味が無ければ退席してもいいぞ。強制ではない。何回も話すのが面倒だから集まってもらっただけだ。』
レオンハルト『俺は興味がある。なんといっても神父様が自分の後継者にしたいと言ってたくらいだからな。』
タケシ『そうなの?』
ローランド『本当だ。かなり頭が切れたらしい。』
マルコ『俺も会ってみたかった。色々な武器を作り出したらしいからな。』
ロキ『いざとなったら強い。この一言だ。』
タケシ【みんながこんなことを言うなんて俺の父さんは凄かったんだ。】と思った。
ロキ『チャンを倒し、ドジルを撃退したからな。』
マサムネ『チャン?ドジル?』
ロキ『チャンは強さで言ったらローランドより上でゾーンより下か。ドジルはまあ……強いが卑劣というか手段を択ばないタイプだった。だから俺が内密に監視役で同行していたんだがな。』
ローランド『チャンとは、直接戦ってないが見てた限りでは俺よりも強そうだったな。』
マサムネ『ローランドさんより強い。その人を倒した?』
ゾーン『チャンとは本気で戦ったことは無かったが、その時は俺でも苦戦しただろう。』
ノア『ロキ様。顔色が悪いようですね。熱もあるようですし、脈拍も早いです。その体内に残っているウイルスのせいですね。』
ロキ『俺のデータを見たのか。いや、そもそもお前には隠せないか。』
その時、扉が開いてリリーが入ってきた。
ノア『私が呼びました。』
リリー『男子会? まあ丁度いいわ。ノア、出して。』と言われて、ノアは空中に画像を映し出した。
リリー『これがロキの体内に残っているウイルスを分析したもの。そしてこちらを見て、部分的に一致してるわ。すなわち大元が同じ可能性が高いわ。』
キーリング『そっちはどこかの時代にあった生物兵器かなにかのデータか?』とちらっとレオンハルトを見た。
レオンハルト『俺は何もしてないぞ。』
リリー『違うわ。先日捕まえた触手を分析したらこういう結果が出たのよ。』
マサムネ『ということは………?』
リリー『?それだけよ。ロキ、とりあえず医務室に来て。点滴をするから。』
ロキ『分かった。俺は抜ける。』
ゾーン『ああ。』
リリーとロキが出て行った。
マサムネ『……………。』
ゾーン『ノア。お前には治せないのか?』
ノア『未知のウイルスですがウイルスというより未知の遺伝子です。未知なので今のところ治療不可です。あの触手を分析した結果、83%がクリオネと一致しました。あとは、いくつかの植物と融合しておりますがいずれも遺伝子データが一致しておりました。そして、不明な遺伝子が0.006%あります。私が保持しているデータには一切ありませんでした。』
ローランド『クリオネだと?あのクリオネか。』
ノア『あのとはどれを示すのか分かりませんが、私が言っているのは、比較的低温の海に生息している貝のことです。』
ローランド『すまない。そのことだ。』
ノア『ドンマイ。』
ローランド【なんかムカつくぞ】
キーリング『0.006%のせいであのような巨大化になったのか?それに凶暴性も。』
ノア『否定できません。リリーさんとともに更なる解析を進めております。』
ゾーン『そうか、頼む。話を戻そう。ノア、タケオがチャンに背負い投げを仕掛けた映像は残ってないのか?内緒で録画してたんだろう?』
ノア『内緒ではありません。艦内の全てのデータを録画するようにプログラミングされておりました。そのことは私の仕様に記載されております。幸いデータは残っておりますので今から流します。』
再生中
タケオ『ナンバー2から離れろ!』と言ってチャンに向かって行った。
その後、チャンがタケオに背負い投げで倒された。
マサムネ『油断しただけじゃないか。』
ローランド、レオンハルト、マルコ、イゾウは初めて見たが、それが分かった。【まさに初見殺し】だと。マサムネとキーリング以外は。
ローランド【マサムネに足りないものだが気付かないのか】と若干がっかりした。
ゾーン『見事としかいいようがない動きだった。タケシどうだった。』
ローランド【最近、ゾーンはタケシを意識しているがどうしてだ?】
タケシ『うーん、よく分からないや。』
ゾーン『…そうか。』
その後、タケオが開発した武器等についての話でも盛り上がった。
キーリングが、タケオの出身があのドラ○もん作者と同じ出身地だったことにすごく興奮したのは言うまでもなかった。
その日の夜。
ジャンヌ『今日は、お父さんの映像を見たんだって?どうだった?』
タケシ『うん、色々と凄かった。あと母さんを守るために戦ったんだね。』
ジャンヌ『!そんなことまで。そうよ。よく自分は脇役でいいと言ってたけど、常に私たちの中心にいたわ。タケシ、一つだけ言うと、使えるものは何でも使う人よ。聞いた話ではフライパンで敵をやっつける人だから。』
タケシ『え~?本当に?』
ジャンヌ『そうよ。』
食堂で酒を飲みながら…。
ローランド『ゾーン、最近やたらとタケシを気にしてるようだが。』
ゾーン『そうか? 今日、少し組手もしたぞ。』
レオンハルト『10歳まではそういうことを教えないルールだったはずだぞ。』
ゾーン『予定変更だ。少しずつ教えようと思う。』
ローランドとレオンハルトが顔を見合わせて
ローランド『まあ、次期リーダー候補だし、お前がそう言うなら俺たちも従おう。何か手伝うことはあるか。』
ゾーン『まだまだ助走だ。今は俺だけで十分だ。』
次回は07/25 18:00 の予定
『過去の因縁~其ノ七~』 です。