94.過去の因縁~其ノ三~
==========第二部========
・過去の因縁の章:92話~
・潜入の章 :82話~
・New Face :75話~81話
・Who are you?:64話~74話
==========第一部========
・消失の章: 1話~12話
・悲哀の章:13話~26話
・裏切の章:27話~35話
・疑惑の章:36話~47話
・犠牲の章:48話~63話
あの襲撃から数日が経った。
イゾウ『結局、あいつは以前俺たちを襲った奴の仲間だったのか、それともゾーン達が遭遇した奴の仲間だったのか?』
ローランド『地中から出てきたところを見ると、ゾーンが遭遇したほうの仲間かもな。』
イゾウ『でも、あの触手がまとまって攻撃するのは?』
ゾーン『触手ならではの攻撃なのかもしれん。』
イゾウ『なるほどね。』
ロキ『いずれにしても上空にいなくて良かったな。空では攻撃できなからな。』
ローランド『この際、開発したほうがいいんじゃないか、キーリング。できるんだろ。』
キーリング『飛ぶだけならな。理論上、自由に飛ぶには両手両足に推進力をそれぞれ持たせる必要がある。そうしないとヘリトンボを付けたような姿勢で飛ぶことになる。ちなみにヘリトンボは、その後タケコプターと呼ばれるように…。』
ジャンヌ『デジャヴだわ。そんな名称のことはどうでもいいわ。』
キーリング『そんなだと、どうでもいいわだと。あり得ん。これだから女は………。』とぶつぶつ言い出した。
ゾーン、ロキ、ローランド、イゾウ、マルコ、レオンハルト【男女関係なくどうでもいいことだぞ】と思った。
ローランド『飛べるけど、両手が塞がっているから攻撃できないということか。』
キーリング『そうだ。』
マサムネ『飛べるなら面白そうだな。』
ゾーン『マルコ、お前が協力したら攻撃できるようになるんじゃないか。』
マルコ『俺は武器以外興味が無い。だからやらない。』
ゾーン『そうだったな。実用的ではないなら意味が無いな。』とマサムネを見る。
ゾーン『趣味で開発するならいいんじゃないか。』とマサムネとキーリングを見た。
マサムネは、少し嬉しそうだった。
麻希『ねえ、何かあったの。最近なんだか嬉しそうなんだけど。』
ゾーン『いや、別に。』
麻希『そう。』
外では、子供たちが騒いでいた。あの生き物のせいで地面が抉られたのだ。大人にとってはそれだけの事柄なんだが、子供たちには新鮮な光景が広がっていたのだった。抉られた箇所に入り、そして子供達でも掘りやすくなっている地面を掘って穴を開けたりして遊んでいた。
監視役としてサクラが傍にいた。そこにマサムネが合流した。
サクラ『マサムネは穴掘りしなくてもいいの?』
マサムネ『俺をいつまでも子ども扱いするなよ。』
マサムネが来たのが分かったのか、タケシ『マサムネ兄ちゃん。ここに何かあるよ~。手伝ってよ~。』
マサムネ『あ~。分かったよ。』と言って穴に降りていった。そしてタケシたちと穴を掘り始めた。
それを見ていて、サクラ『まだまだ子供だわ。』
そのうち、マサムネが箱のような物を持って戻ってきた。大きさは約15cm四方の黒い箱だった。
サクラ『何かしら?』
マサムネ『うーん、ここに接続端子があるから、記録媒体とかかなあ。』
タケシ『ねえねえ。これってタイムカプセルっていうやつ?』
サクラ『フフフ。それに近いかもね。』
タケシ『じゃあ、壊してみようか。』
マサムネ『!ダメだ』&サクラ『!ダメよ』と同時に叫んでしまった。
サクラ『ごめんなさい。怒ったわけではないの。多分、中に物は入ってないタイプよ。きっと昔のデータとか入ってると思うの。レオンハルトさんに見てもらったほうがいいわ。』
タケシ『そうなんだ。じゃあ、要らないや。』と言って穴に戻っていった。
サクラがジーっとマサムネを見る。
マサムネ『分かったよ。俺がレオンハルトさんに届ければいいんだろ。』
サクラ「分かればよろしい。任せるわ。」
マサムネ『面倒くさかったんだろ。』と呟いてしまった。
サクラ『なんか言った?』
マサムネ『何も言ってないです。』と言って、ステーションに向かった。
レオンハルト『ブラックボックスの一種だな。』
マサムネ『動きます?』
レオンハルト『まあ、とりあえず繋いでみるか。』
遊びに来ていたロキ『おい、大丈夫か。ウイルスとか仕込まれてないか。』
レオンハルト『俺を誰だと思っているんだ。その辺の対策はばっちりだ。』
そう言って繋いだ瞬間、ステーション内が一瞬全ての電気が切れ、そして再び着いた。
レオンハルト『……まずっ!』その言葉の後は、無言になった。
マサムネ『レオンハルトさん?えーっと、どうでした。』
レオンハルト『……っ取られた。』
ロキ『何?』
レオンハルト『乗っ取られた。』
ロキ『PCがか。お前の上を行くものがあったんだな。』
レオンハルト『………。』
マサムネ『レオンハルトさん?かなりヤバい?』
レオンハルト『全て乗っ取られた。このステーションの機器も全て。』
ロキ『対策は?』
レオンハルト『無い。全ての機器が言うことを聞かない。お手上げ状態だ。こんなことは初めてだ。』
数時間後
ステーションのメインルーム。
ここに子供たちも含めて全員集合していた。
半強制的だった。
ステーション内の部屋の扉が開かなくなっていた。正確には、こちらの都合で開かず、否応なしにメインルームに集められるようにされたのだった。
ジャンヌ『レオンハルト、本当に打つ手が無いの?』
レオンハルト『ああ。』
キーリング『かなりヤバい状況みたいだな。』
ゾーン『レオンハルトがお手上げならどうしようもないな。タケシ、いい案はないか?』
全員【どうして、タケシに聞く?】
タケシ『うーん』と考えてるようだ。
マサムネ『ダイブまで封じられるなんて。』
レオンハルト『ダイブできれば新しい機器を持ってきて対抗できるんだがな。』
タイムベルトすら使用不可となっていたのだった。
タケシ『このステーションを壊せば、ダイブできるようになるかも。ダイブできないような妨害電波がでているのかも知れないから。』
ジャンヌがそれを聞いて笑った。『フフフ。』
ゾーンも笑っていた。
ジャンヌ『会ったこともないのに、そういう突拍子もない考え方がソックリね。』
タケシ『?』
ゾーン『お前の父親もそういうふうに考えるタイプだったんだ。』
タケシ『ふーん。』ピンと来ないのも無理はない。会ったことはおろか、写真もないから顔も知らないのだ。
ジャンヌ『多分、ここのデータベースを掌握したんだから知ってるでしょうけど。』と言った。
全員【誰に?】と思った。
ジャンヌ『この子がタケさんとの子供のタケシよ。ノア、あなたでしょ、こんないたずらをするのは。』
『………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………お久しぶりです。ジャンヌ様、ゾーン様…そして、初めましてタケシ様』と声がした。
2人には懐かしいノアの声だった。
次回は07/04 18:00 の予定
『過去の因縁~其ノ四~』 です。