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93.過去の因縁~其ノ二 触手再び~

==========第二部========

・過去の因縁の章:92話~

・潜入の章 :82話~

・New Face :75話~81話

・Who are you?:64話~74話


==========第一部========

・消失の章: 1話~12話

・悲哀の章:13話~26話

・裏切の章:27話~35話

・疑惑の章:36話~47話

・犠牲の章:48話~63話


ゾーン達が出入口に走り出したが、出入口の少し前で立ち止まった。

なぜか出入口から子供たちが中に入ってきたのだ。だが、

ジャンヌ『タケシがいない。』

サクラ『タケシは、お義母さんと外にいます。』

サクラが子供たちを引率して入ってきて言った。

ゾーン『何が出た?』

サクラ『えっ?何もないわ。』

ローランド『何もない?どういうことだ?』ゾーンを見る。

ゾーン『なぜ、入ってきたんだ。』

サクラ『授業中に突然タケシが騒ぎだして、必死に避難するように言うのよ。でも周りを見ても何もないし、いつもと変わらないから、最初はふざけてるのかと思ったんだけど、あまりにも必死だし、それに。』

ゾーン『それに?』

サクラ『リトルも吠え出したから、念のために避難することにしたの。』

それを聞くや否や、ゾーン達が外に向かって走り出す。

サクラ『???マサムネ!』

マサムネ『分からないんだ。危険が迫ってるようなんだが、父さんだけが…いや、タケシもか…とにかく、避難しててくれ。』そう言うと遅れて外に走っていった。


ゾーンが麻希たちを見つけて『麻希!』

その声に振り向き、麻希『あら。タケシが何かくるって言うのよ。でも。』そのとき誰にも分かる振動がきた。

全員『!』

ローランド&レオンハルト【これか!タケシもゾーンと同じように俺たちには分からないレベルの異変を感じたのか】


土が舞い上がった。

何か長いものがうごめいているようだ。

マルコ『触手!』

ジャンヌ『タケシ!こっちに。』と言いかけたところをゾーンが制止した。そしてゾーンがタケシの横に行った。

ゾーン『麻希。あとは俺が見る。』

麻希はそれを聞いてタケシを残してステーションに消えていった。

タケシ『ゾーンおじさん。あれ、怪物?』

ゾーン『ああ、避難するか?それともここで見てるか?』と言いながらジャンヌに視線を送った。

タケシ『ここで見てたい。』

ジャンヌ『私のそばを離れないようにね。』

タケシ『え~。ゾーンおじさんの傍のほうがいいな。』

ジャンヌ『もう、好きになさい。』

ゾーン『心配ない。それより、ジャンヌ、あれと似たのを見たことないか。』

ジャンヌ『えっ!………あっ、以前ネモ教授を埋葬したときに襲ってきた生き物に似てる?小さいけど。』

ゾーン『そうだな。あのときは確か100m程だったか、目の前のは地上に出ている部分で10mぐらいか』

ジャンヌ『えーと、確か、あの時ノアは百何体いるとか言ってたわ。だから仲間かしら。』

ゾーン『そうかもな。』

そう話しているところに触手が伸びてきた。だが、その触手が斬られた。イゾウとマサムネによって。

イゾウ『数年前の化け物は、このあと斬れなくなったが今度はどうだ?マサムネ、斬れるだけ斬るぞ。』そう言ってマサムネと共に次から次に触手を斬っていく。

ゾーン『ノアは、“武器があれば対応できる”と言ってたな。マルコ!火力の強い武器を持ってきてくれ。俺は、こいつを地面から引っ張り出す。』

マルコ『了解。』ステーションに戻っていった。

ローランドは、ステーションの出入り口付近で成り行きを見ていた。こちらに仕掛けてくるようなら対応するつもりだった。

ゾーン『怖いか。』とタケシに聞く。

タケシ『全然。』

ゾーン『そうか。』と笑いながら言った。

ゾーンは、タイミングを計った。どの触手で力を反転させようかと思ったが、それは杞憂に終わった。数本の触手が絡み合い1本の太い触手になり、全てをなぎ倒す勢いで横方向に振り回したのだった。

ゾーン『まさか!あの時と同じか。』かつて束ねられた触手に吹き飛ばされたことがあるが、そうなるとこの生き物は仲間を襲った種類なのか。

だが、ゾーンは【パワーのある束ねられた触手なら確実に引っ張り出せる】と思った。

そしてあの時と同様にうねりながらゾーンたちに向かってきた。今度は見切らずにギリギリまでベクトルの方向を見極めた。そして左手で受け止めた瞬間に右手を触手を回転させるように添えた。それだけだ。それだけで触手の生き物が横倒しになった。

ゾーンは少し驚いた表情をしてタケシを見ていた。タケシは、横倒しになった生き物に興味津々だった。

ゾーンが触手を受け止める直前にタケシが言ったことに驚いたのだった。そのために相手の力を100%反転できなかったのだった。本来なら180°回転させて触手の方を地面に叩きつける予定だったのだが、驚いたことで気がそがれてタイミングがズレてしまい横倒しになってしまった。

ゾーン『タケシ、お前…。』と言いかけたところで

マルコ『みんな、そいつから離れろ。』と叫び声が聞こえてきた。

ゾーン、ジャンヌ、タケシが離れる。イゾウとマサムネも離脱した。

マルコ『このマルコ様が作った火炎放射器を味わえることを光栄に思え!』と持ってきた武器のスイッチをいれた。まさに火炎放射器だった。なぜか熱源系はダイブで持ってくることはできなかったのでマルコは、部品から組み立てることで自家製の火炎放射器を作っていたのだった。但し、欠点があった。使い捨てなのだ。冷却装置をうまく作れなかったので、使用すると熱に部材が耐えられないのだった。

この生き物に火系は有効だった。マルコが作った火炎放射器の威力が半端じゃなかったのもあるのだろうが、全体が燃えた。

マルコ『熱っ!』と言って火炎放射器を投げ捨てた。見るからに使用不可なくらいあちこち溶け出していた。

のたうち回る触手。そのうちの数本がみんなのところに伸びたが、イゾウが刀で切り落とした。それから、数十分が過ぎただろう。遂にその生き物は動かなくなった。

その動かなくなった物体を見て、リリー『うーん、食べれるのかしら?』

全員『えっ?』とひいてしまった。

リリー『あら?』と言って走り出した。何かを追いかけているようだったが、しばらくして戻ってきた。その手にはイゾウが斬り落とした触手があった。まだ動いていた。

ローランド『おい。』

タケシ『まだ生きてるの?』

リリー『そうよ。面白そうだから飼育してみようかしら。』

ローランド『燃やそう。マルコ。』

マルコ『もう武器はない。』

タケシ『飼ってみたい。母さん、いいでしょ。』

ジャンヌは、その触手を見て『気味悪いわ。処分したほうが良さそうよ。』

リリーがタケシに何か呟いた。

タケシ『飼いたい。飼いたい。飼いた~い。』と叫んだ。リリーの入れ知恵だろう。

キーリング『いいんじゃないかな。折角の好奇心を摘んでしまうのは可哀そうだ。』

マサムネも明らかに飼いたそうな顔をしている。

ジャンヌは、ゾーンとイゾウを見た。


賛成派:タケシ、リリー、キーリング、マサムネ

反対派:ジャンヌ、ロキ、ローランド

中立派:ゾーン、イゾウ


このまま多数決なら飼うことになるが、ゾーンとイゾウが反対すれば処分となる。

ジャンヌ『ゾーン、あなたはどう…。』と言おうとした時

イゾウ『タケシが飼いたいなら飼えばいいんじゃないか。』と賛成意見を言ってしまった。

ジャンヌ『!』イゾウを睨んだが、イゾウはタケシの名付け親だ。賛成派になるのは仕方が無かった。

ジャンヌ『分かったわ、ちゃんと管理してよね。』

タケシ『やった~!』タケシとリリーはハイタッチをした。

そうこうしているうちに、避難していた子供たちも出てきた。

燃えた巨大な生き物を見て、興味津々に大騒ぎだった。



タケシは、あの時何と言ったのだろうか。どうしてゾーンは驚いたのだろうか。

ゾーンは、タケシを初め遊ぶ子供たちを眺めていた。その顔の表情は、スッキリしたような笑顔だった。


次回は06/27 18:00 の予定


『過去の因縁~其ノ三~』 です。

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