88.潜入~マサムネとサクラ 前編~
==========第二部========
・潜入の章 :82話~
・New Face :75話~81話
・Who are you?:64話~74話
==========第一部========
・消失の章: 1話~12話
・悲哀の章:13話~26話
・裏切の章:27話~35話
・疑惑の章:36話~47話
・犠牲の章:48話~63話
マルコと共に戻ってきたマサムネたちは、事の顛末をみんなに話した。
マルコ『次は、一緒に行ってくれ。レオンハルト。』
レオンハルト『きな臭いな。罠か何かじゃないのか。』
マルコ『そうかもしれんけど、何かすごいものがありそうな予感がするぞ。』
ローランド『まあまあ、そんなに興奮するな。しっかり準備してから行けばいいだろう。例えばゾーンも連れて行くとか。俺も行こうかな。』
マルコ『行ってくれるのか?ゾーンも。』
ゾーン『そうだな。キメラとやらが他にもいるなら戦ってみたいしな。』
マサムネ『いざとなったらダイブして戻ればいいし。』
レオンハルト『そうだな。』
ゾーン『俺に逃げるという言葉は無い。戦って活路を開くだけだ。』
サクラ『男って…。』
麻希『そういうものよ。諦めなさい。幾つになっても子供なんだから。』
サクラ『そうですね。お義父さんもなんだかんだ目を輝かせてるし。』
それから2日後。
マサムネ『えっ?サクラと?』とサクラの顔を見る。
麻希『そうよ。危険度はかなり低そうだし、今度の任務の適任者でしょ。どう?』
サクラ『是非。』
そして、2219年12月福島
桜『この時代はIC必須よ。』左手のバンドのスイッチをONにした。政宗もONにした。
政宗『これで偽装ICが起動してるハズなんだが…分からないな。』
桜『レオンハルトさんを信じましょ。行くわよ。』
そしてある建物が見えてきたところで立ち止まった。
政宗『あの建物だと思うけど、今にも潰れそうな汚い建物だ。ここで合ってるよな?』
桜『まだ開発中だから儲かってないからでしょ。さあ、これを飲んで!』とカプセル型の薬を政宗に渡した。
政宗『何の薬だ。』
桜『あの会社に入るきっかけを作る薬よ。』
政宗『そうか。』と疑問を持たずに飲んだ。
桜『リリー先生特製の下剤だけどね。』と飲み込んだのを確認してから言った。
政宗『………今、なんて言った?うっ!』
桜『そんなことより、急ぐわよ。漏らしたところ見たくないし。ほら!』小走りで守衛所のところまできた。
桜『すみませ~ん。』
守衛『ん?どちら様ですか?』
桜『連れが突然お腹が痛くなったようで、トイレを貸してもらえないでしょうか?』
守衛が桜の後ろにいる政宗を見た。顔の表情や仕草から切羽詰まっているのが分かった。
守衛『関係者以外立ち入り禁止なんだが………でも、かなり緊急事態みたいだ。受付に連絡するから、あそこの扉から入ればトイレに案内してくれるだろう。』
桜『ありがとうございます。行きましょう。』
建物の入り口に向かう2人。
その姿を見ながら守衛『彼女の前で漏らすなよ。振られるぞ。』とつぶやいた。
政宗『ちょっと、効きすぎるんだけど。マジで限界だ。』
桜『もうちょっと頑張って。漏らしたら一週間口きかないからね。』
政宗は無言だった。しゃべる余裕すらなくなっていた。
扉を開けて入ると女の人が立っていた。
女性A『話は聞いております。こちらです。』と切羽詰まった政宗を急いで連れて行った。
桜は入り口で立っていたが、他の受付の女性から、
女性B『よろしかったらそちらで座って待っておられてもいいですよ。』と言われ、近くの椅子に座った。
桜【ここまでは予定通り。あの下剤の効果なら10分はトイレから出て来れないはず。】と思い、カバンからノートを取り出し、眺め出した。
15分後
政宗『助かりました。』
女性A『間に合ったみたいで良かったですね。綺麗な彼女の前で恥をかかなくてすみましたね。』
政宗『あ~、そうですね。』【腹痛元の張本人なんだけど】
桜『時間かかったね。もう、拾い食いするからよ。謎の3秒ルールもう止めてよね。』
政宗『なに?』【そんな設定?】
女性A『3秒ルールねえ。ということは自業自得ですか。若くてもウイルスには勝てませんよ。彼女に振られないように直さないと。』
政宗『そうですね。もう懲り懲りです。』
桜『もう大丈夫よね。行きましょう。ありがとうございました。』
政宗『あっ、ありがとうございました。』
そして守衛の人にもお礼を言ってその会社を後にした。
その会社の名前は、米倉製作所という。小麦粉や米粉等を製造販売している会社だ。バイオテクノロジーのおかげで量産できる量が大きくなったことで売り上げは減ったが、こだわりのある人間はいつの時代にもいるおかげでなんとか会社は存続できている状態だったのだが、それでも売り上げが落ちてきており、この状況を打破するために一か八かの博打に出たのだ。借金をし、研究設備を購入し、ある開発を進めたのだった。それが大当たりとなるのだった。それは発電胎バクテリアの実用化、のちのバクタ―セルの開発・商品化だった。
バクタ―セルの元となる汚物を餌とし電気を排出する発電胎バクテリアは、世紀の大発見だったが、取り扱いが難しく各国の研究施設で商品化ができずにいた。それを田舎の小さな企業が実用化への論文を発表し、全世界を震撼させたのだった。その企業が、米倉製作所で将来、社名変更して世界最大の企業ライズ・テクノである。
某ビジネスホテル
政宗『あの会社にそんなに凄い開発者がいるいるのか?親切な人たちだけど、パッとしなかったなあ。セキュリティーもなにもない感じだな。まあ、商品化されたあとだとこっそりと入れないくらいのセキュリティーが導入された企業になるのだろうな。今は仕方ないのか。さて、このあとどうやってコンタクトを取ろうか。顔は見せたけど。』ベッドに寝ころびながら話した。
桜『そのコンタクトのためにもう仕掛けておいたから、明日行けば何とかなると思うわ。』
政宗『何をした?』
桜『内緒。』そう言って、政宗に跨ってキスをした。
桜『せっかく、二人っきりなのよ。分かるでしょ。』ともう一度キスをした。
政宗もそれに応じたのだった。
次回は05/23 18:00 の予定
『潜入~マサムネとサクラ 中編~』 です。




