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84.潜入~マサムネとゾーン 後編~

==========第二部========

・潜入の章 :82話~

・New Face :75話~81話

・Who are you?:64話~74話


==========第一部========

・消失の章: 1話~12話

・悲哀の章:13話~26話

・裏切の章:27話~35話

・疑惑の章:36話~47話

・犠牲の章:48話~63話


前2回と同じく2人を始末して1階の広場で立ち止まる。

2階を見て、次は3階を見る。3階の通路にも数十人の囚人が見えた。おそらく手すりに摑まり2階に飛び降りたのだろう。

【俺は、何も見えてなかったのか。何人を殺すかではなく、時間まで生き残ることが重要だ。これが本当の課題なんだな。】

1階を見回し人数が比較的手薄なところに突進して行き、小太刀とアーミーナイフで3人を片付けた。周りを見なくても気配で囲まれているのが分かり、2階に瞬間移動した。前回とは違う動きをしたが、ここは前回同様に時空孔盾(小)で更に3人を片付けた。計8人。ここからだ。ここで前回やられたのだ。周りを見る。3階の左通路が手薄だ。そこに2回目の瞬間移動をした。ここで数人を片付けようと思ったのだが、身を屈めた。その空間を蹴りが割いた。マサムネが現れた瞬間に囚人が蹴りを放ったのだった。

男『もしかして超能力か何かか。面白い力を持ってるな。』

マサムネは、その男と対峙しながら周りにも気を配った。

男『新鮮なおもちゃは楽しまないとな。俺のだから手を出すなよ。』と周りの囚人たちをけん制した。

マサムネ『余裕だな。』と言ったが、こっちは心に余裕はなかった。さっきの蹴りで強いと感じたのだ。

他の場所に瞬間移動しようかと思ったが、ここは戦うことを選んだ。相手は素手なのだ。そして多分タイマンだ。

相手の男を観る。アジア系の顔つきで細身だが筋肉質だ。鍛えられた格闘家といったところだろうか。

とりあえず蹴りに注意して前に出た。相手は左足の蹴りを放った。マサムネは右腕でガードしてそのまま左ストレートを放とうとした。しかし、相手の切り替えた右足の蹴りのスピードの方が速かった。

マサムネ【左キックはフェイントか】そう思って今度は左腕でガードした。よろめき、そして左腕が動かなくなった。苦悶の表情を隠せないマサムネ。片膝をついてしまった。

男はニヤリと笑い『悪いな、超能力じゃないけど俺の右足はチタン製だ。』右足に入っているプレートのことだろうか。そう言って、マサムネの顔面に右の蹴りを放った。

マサムネ『ムエタイか。』とつぶやき、動かない左腕を右手で支えて指を開いて時空孔盾(大)を発動させ、すぐに孔を閉じた。ムエタイ男の右脚は無くなっていたが、悲鳴を上げることは無かった。息子のピンチを父親が放っておくはずがなかった。右脚が無くなったのが先か首の骨を折られたのが先かは分からないが、もう動くことは無かった。

ゾーン『約9人か。その腕ではもう続行不可能だろう。戻ろう。』そう言ってマサムネを抱えてダイブした。


マサムネ『4回目は、ちょっと無理かなあ。』と左腕を触りながら言った。

ゾーン『見せてみろ。』マサムネの左腕を触る。

ゾーン『打撲だな。ヒビまでは入ってないだろう………。』

ゾーン『さっきは、戦わずに逃げようとしているように思えたんだが、まあ最後は立ち向かっていったようだが………。』

マサムネ『えーと、このミッションは時間制限があるから時間いっぱい使うのが正解かなあと思って。』

ゾーン『なに?俺はできるだけ殺せと言ったはずだが!』

マサムネ『あれってそのままの意味?』

ゾーン『他にどんな意味があると思う?』

マサムネ『………ない………です。』

ゾーンはマサムネを一瞥して、そしてしばらく考えて『最後は俺が行く。お前は見てろ。』と言った。


4回目のファイナルチャレンジはゾーンが行った。

広場につながる通路をマサムネとは違いゾーンは歩いた。その途中でやはり男2人に出会ったが、相手が動くよりも早くゾーンはアーミーナイフで切りつけ倒した。そして再び歩いて広場に出た。

1階広場には43人いた。この辺りは変わらなかった。ゾーンは素手のまま広場の真ん中まで歩いて立ち止まった。マサムネは広場の入り口の通路で立ち止まっていた。

男『なんだお前は?新人か。ならここのルールを教えてやらないとな。』と周りに目配せをした。囚人たちがゆっくりとゾーンに近づいていき、囲まれつつあった。マサムネは2階に瞬間移動したがゾーンはどうする?

ゾーンは微動だにしなかった。ゾーンの左側の囚人が殴りに行った。ゾーンに左手が動きその囚人が倒れた。首の骨が折られたのだった。周りに動揺が走る。一瞬の出来事で見えなかったのだ。どうやったらそんなに簡単に首の骨が折れるのだ?だが凶悪な囚人たちだ。怯んだのは一瞬で左右からキックで攻撃してきた。それを両手の手刀で対応し、左側の囚人に右ストレートを心臓部部分に炸裂させた。後ろに倒れた。だが右側の囚人に対しては背後を見せた格好になり、これを好機と見たのだろう。襲い掛かった。つまりゾーンの攻撃範囲に入ってしまった。こちらはやはり首の骨を折られた。四方を囲まれても相手が思いっきり攻撃するにはある程度のスペースが必要なのだ。4,5人で同時に攻撃するとその腕や脚のモーションのスペースがないため力の無い攻撃となる。喧嘩慣れしてないならそれだけで有効だろう。だが相手はゾーンだ。そしてここにいるのは凶悪な囚人たちなのだ。お互いに攻撃のテリトリーに入れば囚人同士でぶつかり喧嘩になるだろう。だから左右もしくは前後からの攻撃しかしてこない。ゾーンもそれを分かっているから2階へ回避しなかったのだった。これがゾーンとマサムネの差、経験の差であった。

次々と囚人たちを倒していくゾーン。倒しながらゾーンは思った。【どいつもこいつもマサムネよりも強かったか】と。

そうなのだ。ここの刑務所の囚人たちは、タイマンではマサムネと同等かそれ以上の強さを持つ者しかいなかったのだ。ここにロキかレオンハルトがいれば、別の刑務所に行くことになっただろうが、脳筋のゾーンでは、そういう考えには至らなかった。

時間にして10分は経っていないだろう。1階に囚人がいなくなった。43人の死体が転がっていた。

次は2階か。いや、次の獲物が向こうからやってきた。数は16人。その中にひときわ目立つ囚人がいた。身長は2m50cmぐらいだろうか、体重は200kgを超えそうだが、全身筋肉の塊のような男がいた。その筋肉男が前に出た。

両手を前に出してきた。ゾーンはその意図をくみ取り応戦することにした。ロックアップだ。それを見たマサムネは【いくらなんでも無謀だ。あの体格差ではまずいな。それに父さんの負ける姿を見たくない。】と思い、いざとなったら行こうと左腕をさすりながら思った。

ゾーンと筋肉男ががっぷりと組み合い、力比べを始めた。ゾーンは無防備に近かったが他の囚人たちはその攻防をただ見ていた。ゾーンが徐々に圧されていた。

筋肉男『終わりだ。うおおおお。』全力で潰しにかかった。

ゾーン『そ…う…だ…な。終…わ…り…だ。』その瞬間、筋肉男が悲鳴を上げた。両腕が折られたのだった。相手が全力を出すのを狙ってベクトルの方向を90度変えたのだった。その後、右ストレートを鳩尾に当て、くの字にさせて頭が下がったところで首の骨を折った。

人間は首を触られると力が入る。ゾーンはその力のベクトルを変えて簡単に骨をへし折っていたのだ。

それを見た他の囚人たちは………いなくなった。敵わないと分かり逃げたのだった。ゾーンはそれを見てから2階と3階を見た。誰もいなかった。囚人たちは逃げるように部屋に引きこもってしまったのだった。

ゾーン『………これは予想外だ。』

マサムネ『父さんが強すぎるからだろ。押し入る?』

ゾーン『戦意喪失者と対峙してもつまらんから戻ろう。』

そしてみんなの元にダイブしたのだった。


次回は04/25の予定


『潜入~ロキ 中編~』 です。

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