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62.決着

・消失の章: 1話~12話

・悲哀の章:13話~26話

・裏切の章:27話~35話

・疑惑の章:36話~47話

・犠牲の章:48話~63話

 One for all, All for one

どのくらいの時間が過ぎただろうか。数分間か?数十分だろうか?

地上で動きがあった。なんとかディーンを含む18名は生きていた。そこにジャックの姿はなかった。至近距離で核爆発を受けたのだ。跡形もなく吹き飛んだのだろう。動ける者たちは上空を見た。

あの生き物はどうなったのだ。

視界が晴れてきた。

まだ、上空に留まっていた。だが、多数あった触手はもう数本しかなかった。正確には4本。それもボロボロになり力なく垂れ下がっている。本体は、目が合った部分は損失して穴が開いている。おそらく半分近くが損失したと思われる。本体だけで500mぐらいあったのだが、核ミサイルでも完全消失はできなかったようだ。だが、完全に沈黙して動かない。落ちて来ないのは、体の一部が時空間にあって引っ掛かっているせいだろう。タイムベルトが回復すれば時空間から押し出せばいいだろう。


『やったぞ。勝ったぞ。』誰かが叫んだ。そして歓声が上がった。

ロキやローランドも駆け付けた。

ディーン『勝ったのか?』歓声を聞いて、問いかけた。

イゾウ『神父様?目が…。』

ディーン『もう見えない。力を使い過ぎたようだ。』

イゾウ『…。』

ディーン『悲しむ必要は無い。今後は新たなリーダーの元でやっていけばいい。』

ジャンヌ『ジャック、ありがとう。そしてアレクサンドラ、ごめんなさい。』空を見上げて泣いている。

立てないゾーンにチャンが近づいていく。

チャン『お疲れ様。お互いボロボロだな。』

ゾーン『そうだな。もっと強くならないと。ジャックに顔向けできないな。』

チャン『ああ。残念だ。ゴホッ。』血を吐く。腹部から触手が出ている。

チャン『ゾ……ン。』

ゾーン『チャン!』

それを合図にあちこちで悲鳴が聞こえた。

ジャンヌ『そんな!』目を見開き驚いている。

4本の触手が8本になっていた。それの先端に貫かれた者たちが…。

損傷の酷い本体が反転して口の部分が出てきた。貫かれた者たちを口の中に持っていき、食べ始めた。

ローランド『化け物が!』

ロキ『もう一発核ミサイルがあれば…残念だ。』この世界に核ミサイルは1発しか用意してなかったのだ。元々保険として用意していただけだからだ。

ディーン『まさか、死んでなかったのか。』

イゾウ『チャンさんがやられました。他に7名。どうしたら…。』

ディーン『ベルトは。ベルトの機能は回復してないのか。』

イゾウ『……無理そうです。』

ディーン『逃げることもできないのか。回復するまで逃げ回ることはできるだろうか。』


進化クリオネは死を覚悟した。事実、死が迫っていた。もう考える力すら残っていなかった。だが、残された触手が勝手に動いたのだ。本体を再生させるには栄養補給が必須と判断したようだった。それならやることは一つ。補給のための捕獲だ。本体の死は触手の死でもある。残された時間は少ないと思ったのだろう。時空間に残っていた4本の触手も加わり全力で補給することにした。全ての触手に獲物を捕らえることができたのは運が良かった。これで少しは再生ができそうだった。


ジャンヌは両膝をついてうな垂れる。『もう無理よ。どうやって戦えばいいの。どうしたら勝てるの?』涙を流しながら言った。

この問いに答えられるのものはいない。

ゾーンは無言で立ち上がった。最後まで抗うつもりだった。

ジャンヌの肩に手を置き、ロキが『よくやった。俺が入っていったところに行くんだ。そこならきっと大丈夫だ。君を待つものがいるんだろう。生きるんだ。』

ジャンヌ『タケさん。』とつぶやく。

その言葉を聞いてロキが頷く。『俺たちが時間を稼ぐ。行くんだ。』

涙を拭き、立ち上がろうとするジャンヌ。

その時だった。

上空で大きなものがぶつかる音がした。他の者たちは茫然と見ている。ロキとジャンヌも上を向く。

あの進化クリオネの上に何かが乗っている。とても巨大なものだった。

ゾーン&ジャンヌ『ノア!』

宇宙ステーション ノアが現れてあの進化クリオネの上に乗り、押し下げようとしていた。もうすでに高度が下がり始めている。ノアは時空間にいる進化クリオネに乗っかってそのまま時空間からでてきたのだ。つまり、ようやく進化クリオネが全てをさらけ出したのだった。進化クリオネが500m級ならノアは2.5km級だった。時空間から出されたことで高度を維持することができなくなり、落ち始めた。


進化クリオネは焦っていた。自分よりも大きなものに。本能で8本の触手を絡めて引き離そうとした。重くて動かない。今度は触手に力を込めて握り潰そうとした。その力に軋むノア。残念なことにノアは攻撃手段を持っていない。

ローランド『地上に降りてくれれば勝機が見いだせるかもしれない。頼む。』

みんなの想いは、ノアの破壊とともに消えた。ノアが触手の力に負け始めた。ゾーンとジャンヌの見ている前でノアが徐々に破壊される。一つまた一つ、そして全てが砕け散る。落下が止まった。進化クリオネは空を飛べるわけではない。時空間から追い出されたので4本を脚代わりにして立ったのだ。本体はまだ300m上空で止まった。

ジャンヌ『ノア…タケさん。』ノアの破壊はタケオの死を意味した。なぜノアが来たのか分からないが、タケオが乗っていたはずだ。タケオが動けたのならこの場に駆け付けただろう。それが無いということは、動けない状態でノア自体が助けに来て、破壊されたのだ。

ロキ『あれは!』

進化クリオネが凍り始めた。本体が凍り、最後に脚代わりの4本の触手まで凍った。その寒気がここまで伝わってくる。

ジャンヌ『凍結…アイスバー…まさか!』

ロキがジャンヌを見る。彼も知っている。この力を使う者を。これでドジルを倒したのだ。

凍った4本脚が重さに耐えきれずに砕け散った。

本体が落ち始めた。

その本体も崩れ始める。

地面に落ちる前に粉々に砕け散った。

それらが生存者たちの周りを覆う。しいて言えば、ダイヤモンドダストと言えるだろう。

とても綺麗な光景だった。そして戦いの終わりを告げるものだと誰もが思った。

今度は、歓声も無い。誰もが静かにそれを見つめていた。


生存者10名


次回は11/23の予定


『残されし者たち』

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