表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/113

60.One for all

・消失の章: 1話~12話

・悲哀の章:13話~26話

・裏切の章:27話~35話

・疑惑の章:36話~47話

・犠牲の章:48話~63話

 One for all, All for one

ジャックは、みんなが”ナンバー1=ゾーン”を守っているのを見ていた。薬切れの影響で体が思うように動かなかったせいもある。仮に動いたとしてもゾーンを守る盾にもならなかっただろう。そして手に持っている薬を見た。クールタイムはまだ1時間弱ある。使わなければみんな死ぬ。それなら後遺症が残るかもしれないが使おうと決意した。その時、ジャックの頭の中に声が聞こえた。かつて、タケオの家が爆発される寸前に【窓から逃げて】と同じ声だった。

???【薬を使ってはダメよ。】

ジャック『その声はアレクサンドラか。』

アレクサンドラ【そうよ。声に出さなくても分かるわ。パスを通じて思念を通わせてるから。でも時間が限られてるわ。逃げて。】

ジャック【やっぱり、お前だったのか。みんなが戦っているのに、逃げる?そもそもどこに逃げる?タイムベルトは動かない。】

アレクサンドラ【ゾーンさんを犠牲にするのよ。そうすれば少なくとも敵意は無くなるわ。食欲はあるけど…。元はとっても弱い生物よ。本能で生きる生物だけど、別の意思を感じるの。それがなくなれば攻撃性は弱くなると思うわ。】

ジャック【敵意とはどういうことだ。】

アレクサンドラ【恨みよ。(未来が)見えたわ。核ミサイルを跳ね返しても無駄よ。再び触手に防がれる。】

ジャック【俺は…。】

アレクサンドラ【お願い、あなたを死なせたくないの。未来視であなたの迷いが分かります。未来が不安定になっているわ。】

ジャック【ゾーンが死ねばみんな助かるのか?】

アレクサンドラ【ええ。あれの攻撃が緩むはずだから逃げようと思えば逃げれるはず。】

そのとき、ゾーンが核ミサイルを迎え返し、倒れるのを見た。ゾーンはもう戦える状態ではないようだ。

ジャックの脳裏にタケオの顔が浮かぶ。ピンチを救ってくれたタケオ。彼ならどうするだろう。今までのタケオの行動を美化しているジャックは迷っていた。

アレクサンドラがもう一度お願いしようとしたその時

ジャンヌ『ジャッ~ク!』の声がジャックに聞こえた。

アレクサンドラ【ダメ~!】そしてパスが切れた。


サニー『アレクサンドラ様?』

アレクサンドラは泣いていた。『ジャック。』

アレクサンドラ『失敗しました。せっかくみんなが力を貸しくれたのに。』

アレクサンドラ『サニー。力を大幅に使い過ぎたようです。私の寿命は、あと三ヶ月ほどになりました。』

サニー『そんな!』

アレクサンドラ『サニー、ごめんなさい。そしてみんな、ごめんなさい。私のわがままで寿命が…。』

???【気にしないで。これが変化点になると思うわ。この無限ループから抜け出せるキッカケになってくれれば。】

アレクサンドラ【ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。】


ジャックは、ジャンヌの叫び声を聞いて、薬を飲んだ。残りの薬を全て。

そしてみんなを助けるために走り出した。ジャンヌのそばを通過する際に、彼女の剣を拝借し、状況を確認する。

核ミサイルは推進力がない。そして触手が動き出そうとしている。いや、もう核ミサイルを掴もうとしていた。そして、人間には到底出せないだろうスピードで掴もうとしている触手に近づき、その触手にジャンヌの剣を振り下ろす。切れない!ブレインアップした力を乗せても切れなかった。次は、蹴りを入れた。触手が吹き飛ぶ。それを見て、核ミサイルを狙う触手たちを蹴って四散させた。次は、蹴った勢いで、核ミサイルを蹴り上げた。もはや人間の動きでは無かった。触手の上を走り、核ミサイルを追いかけ、触手から守るように蹴りを入れていった。しかし、全ての薬を飲んだ代償がジャックの体を襲う。もう一度核ミサイルを蹴り上げ、追いすがる触手を蹴散らそうとしたとき、脚が折れた。ついに体が耐えきれなくなったのだ。痛みは?感じない。ジャックは構わず、折れた脚で触手を駆け上がる。そして触手の動きを見る。ジャックの目にはほとんど止まっているくらいスローに見える。よく見ると筋肉?の収縮が分かる。そして伸びた後に縮む瞬間に剣を振った。切れた。今度は剣を振りかざしながら触手を切り、撃退して核ミサイルを守った。

ジャックの活躍を見守るのは総勢18名。

ゾーンも見ていた。ただただ無言で。

チャンは、かつてジャックを馬鹿にしたのを悔いていた。

ジャンヌは、ジャックを死へ誘導したことを後悔していた?否、その責任から最後の雄姿をしっかり見ようとしていたのだ。

ジャックは、触手を次から次へと斬っていった。そして、剣がスッポ抜けた。剣を握っていた腕が限界に達したのだ。まだだ。瞬時にその剣を左手で受け止め、触手を斬っていく。斬られた触手は腱を斬られたのだろうか。思うように動けずに垂れ下がっている。動ける触手の数も少なくなってきたが、再び剣がスッポ抜けた。今度こそ剣が落ちていく。核ミサイルと敵本体までもう少し。ジャックは、残った左脚に力を入れ、思いっきり蹴り上げて核ミサイルめがけてジャンプした。左脚が砕けた。肩から核ミサイルの底部にアタックして最後の推進力を与えた。両腕両脚が砕けてもう何もできない。そして残った触手がジャックに襲い掛かった。その瞬間、閃光が走った。核ミサイルが敵本体の目玉に着弾したのだった。

爆風が残った18名を襲う。当然、放射能も。バクテリアがどこまで吸収してくれるのか。爆風でバクテリアのバリアが残っていたのだろうか。


残り??名


次回は11/09の予定


『か弱きもの』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ