6.消失④前半~日本~
STステーションのモニター室
教授『次のダイブが決まった。いつものように1時間で準備を終えて集合するように。』
4人『了解です。』
教授『ところでダイブ中は、私が世話をするのか。』二頭を見下ろしながら言った。
ナンバー2『大分お利口さんになりました。ちゃんとお留守番して、ネモ教授の言うことを聞くのよ。』ナンバー5とナンバー6に言い聞かせた。しかし、ナンバー5とナンバー6がじゃれあってナンバー4の椅子にぶつかり、ナンバー4が盛大にコケた。
教授『… … …』笑いをこらえつつ、世話は無理そうだと思った。
ナンバー4『食ってしまうぞ。』と二頭に向かって言ったが、ナンバー2に股間を蹴られて悶絶した。
2038年2月14日19:33
東京 某スカイツリー付近
消失20分前
ナンバー2が近くの店で何かを買っている。その姿は、どこにでもいる20代の女性だ。但し、目立っている。剣は背負っていない。外国人だからと言って目立っているわけではない。周りにも外国人がいる。かなりの美人だから目立つのだ。
そんな姿を見ながらナンバー4が『ナンバー2って何歳だったかな。』
ナンバー3『肉体年齢なら、22歳のはずだ。』
ナンバー4『メンバーで一番若いのに、一番昔に生まれているんだよな。よくこの技術に順応してるよな。』
ナンバー3『お前もな。時代的にナンバー2とナンバー4はよく付いてきてると思うぞ。』
買い物を終えたナンバー2が男性に話かけられている。困惑しているようだ。
ナンバー3『ナンパだな。』美人が一人でいればそうなるよな。助けようかと思ったとき、ナンバー1がすでに向かっていた。
ナンバー1『アンナ。どうした。』ナンバー2に近づき偽名を使った。
ナンバー2『あなた。なんでもないわ。ありがとう。』とっさに答えた。
ナンパ男二人は、ナンバー1を見て逃げるように去っていった。
ナンバー2『ナンバー1と夫婦ねえ。はあー。』ナンバー1を見ながら溜息をついた。
ナンバー3のところに戻り、剣を受け取り背負った瞬間にいつものナンバー2の顔つきになった。
ナンバー4は、いない。また、単独行動だろう。誰も気にしない。
消失14分前
ナンバー4は、別行動をしていた。ナンバー2をナンパした男たちの後を付いて行き、トイレに入るのを見た。
ナンバー4もトイレに入った。右手にナイフを持ちながら。
消失10分前
一組のカップルの女の子が男の子にプレゼントを渡している。男の子はまんざらでもないようだ。ナンバー2がこの光景を見ながら『この日のイベントは、いつ見ても不思議ね。私は生まれてからそういうことは知らなかったからかしら。』ナンバー2はなぜかイライラすると同時に教授にならと思い、頬を赤くした。先ほどのカップルがキスしているのを見て、『ナンバー3!ここは私に投げさせて!BHBをセットしたら頂戴!』と更にイライラして言い放った。
いつの間にか戻ってきたナンバー4が『イライラするなら俺にチョコレートをくれてもいいんだぜ。』と挑発するように言った。
ナンバー2が軽蔑の眼差しでナンバー4を睨みつける。
ナンバー4が肩をすくめたが、今は気分がいいので気にならない。
そのとき小さな女の子がナンバー2の前で転んだ。泣きそうな女の子をナンバー2はしばらく見つめたあとしゃがんで、女の子を起こしてポケットから先ほど買ったお菓子の一つを渡して微笑んだ。うまい棒と書かれてある。
女の子『お姉ちゃん、ありがとう。』
ナンバー2『できればこの場から離れて。』頭を撫でながら、なぜかフランス語で囁いた。
消失8分前
トイレの方向から悲鳴が上がった。三人は、ナンバー4の顔を見たが、ナンバー4は、ソッポを向いて『ナンバー2をナンパしたから懲らしめただけだよ。』と言った。
ナンバー1『懲らしめた?殺してはいないのか?』
ナンバー4『いや、… … … 多分死んでるかな。』
近くを巡回していたのだろう。悲鳴を聞きつけた警察官がトイレに向かった。
消失5分前
トイレから出てきた警察官が周りを見ている。
ナンバー1『警察だ。職務質問されるかもしれないぞ。まずいな。』ナンバー2を見ながら言った。
自分たちは黒服の外国人四人グループで目立つのにナンバー2は剣を背負ってる。
ナンバー1『ナンバー4、時間を稼ぐぞ。ナンバー3!時間になったら躊躇するな。いつも通り声をかけてくれればいい。ナンバー2はナンバー3のそばにいろ。』
ナンバー2とナンバー3は黙って頷いた。
警察官二人がこちらをターゲットとして歩いてくるのが分かった。ナンバー1は自ら近づいて警察官からナンバー2が見えないように立ちふさがった。
ナンバー1『ちょっと行きたい場所があるのですが、分からなくて。』流暢な日本語だ。ナンパ男に対してもそうだったが、教授が用意してくれた翻機のおかげでどの国に行っても会話ができるのだ。
警察官A『どうされましたか。日本語上手ですね。』他の警察官に目配せをする。警察官Bはナンバー2の方に行こうとした。ナンバー1は、まずいと思った。ナンバー2をターゲットにしている。常に力で解決してきたのでこういう対応は正直、苦手だ。ナンバー4に目配せする。時間をかせげればそれでいい。会話をしてれば騒ぎは大きくならないだろう。
ナンバー4は、ナンバー1の目配せを盛大に勘違いした。頷くと同時に警察官Bの首を切ろうとナイフを取り出した。
ナンバー2は、ナンバー1達を見ていた。ナンバー1は孤軍奮闘しているようだが、ナンバー4がナイフを取り出したとき、手を口に当て息を飲んだ。騒ぎがこれ以上大きくなり、他の警察官が近くにいればさすがに対処できないかもしれない。そう思ったときナンバー1が動いた。
登場人物紹介(6話まで)
・教授 :65歳 インド出身 リーダー ラマラガン元大学教授。
・ナンバー1:40代後半 190cm ロシア出身 屈強で怪力 アーミーナイフ所持。
・ナンバー2:22歳 160cm フランス出身 長髪で美人 剣を背負っている。
・ナンバー3: 165cm位 アジア系 精悍な顔つき BHBを所持。
・ナンバー4:20代後半 170cm 55kg イギリス出身? 茶髪で茶色の目 ナイフ所持。
・ナンバー5:1歳前後? カナダ出身 グリズリー。
・ナンバー6:1歳前後? カナダ出身 グリズリー。
用語
・BHB:球体型の爆弾?半径50mの全てを消失させることができる。
・DBH:?
・STステーション:5人と2匹の基地?