55.ディーンの正体
・消失の章:1~12話
消失という任務を実施する理由とは?
その任務を遂行する各メンバーはどのような人物なのか?
・悲哀の章:13話~26話
新たな仲間を探すダイブになっています。
・裏切りの章:27話~35話
ステーションがメイン(Time Keeperの襲撃)
・疑惑の章:36話~47話
ナンバー1vsディーン
タケオvsドジル
・犠牲の章:48話~63話
One for all, All for one
2043年11月1日
ラマラガン『この扉の向こうに自分がいるのか。早く驚いた顔が見たいな。しばらくここを拠点にするのはいいが、さすがに三つ子の設定は無理がないか?』
ネモ『多分、無理だろうな。まあ、出たとこ勝負だな。』そういって扉を開け部屋に入った。
この時代のラマラガン『誰…だ?私?……タイムトラベルか!成功したのか!』
ネモ『ほお!お前とは反応が違うな。面白い。』
ラマラガン『つまら…!』
ネモ『!』
この時代のラマラガン『!』
三人とも全身の皮膚に激痛が走る。
ラマラガン『これは………まさか。』
ネモ『…共振か。迂闊だった。三人揃うのは無理だったのか。』
この時代のラマラガンもようやく状況を理解した。このままではみんな死んでしまうと。そして別の自分が自分に球体を投げたのを見た。
ネモは、瞬時に一人、間引く必要があると判断した。当然それはこの時代のラマラガンを選んだ。そして開発中のBHBを投げた。
投げる直前、ラマラガン『止めろ~!』と叫び、ネモとこの時代のラマラガンの間に入った。BHBはラマラガンに当たり床に落ちて数秒後炸裂した。
ラマラガン&この時代のラマラガン『グワーッ!』すでに逃走に移ったネモは二人の悲鳴を背中に聞いた。
ネモ『すまない。』タイムマシンに乗り込み、そういうとその時代から消えた。
ディーン『その後の行動は知っての通りだ。リストの上位にあった君たち四人を仲間にして未来を変えるために大量虐殺の道を選んだ。』
ゾーン『タケオがネモのある報告書を見つけて、それに共振について書いてあったと言っていた。ネモの実体験だったのか。』
ジャンヌ『一つ矛盾を感じるんだけど、あなたはその話を二番目から聞いたと言ってたわ。何時聞いたの?BHBで死んだのでは?』
ディーン『それは…』
???『そのあとは私が話そう。』
全員『?』
ゾーン『誰だ。』
???『二番目のラマラガンだよ。ディーン、みんなに見えるようにしてくれ。』
ディーンは頭巾を取り、そして着ていた服を脱いだ。
ジャンヌ『!』思わず目を逸らし、吐いた。
ラマラガン『醜くてすまない。私が二番目のラマラガンであり、このディーンが三番目のラマラガンなのだよ。』
ディーンの胸に顔があった。なんとなくネモ=ラマラガンの面影が見れる。
ラマラガン『ネモのBHBはまだ試作品だったので消失はしなかった。その代わり、人間二人と近くの装置等を巻き込んで融合してしまったんだよ。分子の結合を切って消失させるはずが、結合の弱いものが切られ、強いものが残り、BHBの効果が切れて融合してしまった。私が稲妻を発生されることができるのは、この融合のせいだ。私怨だよ。こんな風にしたネモを許せなかったのだ。』
ディーン『まだ話せるか。無理はするな。』
ラマラガン『もう少し…。』静かになった。
ディーンは服を着て頭巾を被った。『すまない。彼はあまり話すことができないんだ。頭以外は私の体に依存しているので、あの会話だけで疲れるらしい。』
ディーン『ネモは、我々から離れた後、共振対策として薬を開発したようだ。ちなみに我々も同様の薬を開発した。この辺は考え方が同じでな。おそらくネモの方が早かったのだろう。我々が開発中に薬を飲んだのが分かった。』
ジャンヌ『どうして?』
ディーン『どうして、我々は存在してるのか。ネモに吸収されなかったのか。疑問は当然だ。我々は融合してラマラガンでありながら違う人間になってしまったのだよ。各人間が持つ固有振動数を薬で変える。上位にな。そうすることで下位の同人間は吸収というか統一されるようだ。もともとの開発は単に固有振動数を変えて自分に会っても共振しないことが目的だったのだがなぜか統一化されたのだよ。この原因はいまも不明だ。ネモが飲んだ直後だろう。私たちの意識が引っ張られるような感覚が起こった。それから推測した。ネモは他の自分を吸収することでこの現象を知ったと思う。』
ジャンヌ『事情は分かりました(本当は、何を言ってるのか分からないけど)。ネモ教授…ネモは死にました。もう私たちと敵対する理由はないということですか。』
ディーン『そうだ。君たちに我々を引っ張って行って欲しい。』
ジャンヌ『それは、あなたが最適では?』
ディーン『無理なんだ。分かるんだよ。私はあと2ヶ月ほどしか生きられない。』
Time Keeper全体に動揺が走る。
ディーン『もう一度言おう。ここにいるメンバー全員が選ばれし者たちなのだ。未来を変えろとは言わない。好きにしたらいい。だが各自行動に責任を持って歩んで欲しい。できれば新しいリーダーの元に一つになって進んでくれればうれしい。』一息入れ
ディーン『ゾーン。お前の恋人や村を襲ったのは、ネモなのだ。お前がベクトル返還の力を持つには、30歳前に恋人が死ぬことがトリガーになっている。ネモが襲撃しなくても恋人や村人が30歳前に死ぬ世界がある。そして死なない世界もある。しかし、残念ながら恋人と添い遂げても数年だけだ。恋人が亡くなるんだよ。死ぬ運命を変えることはできない。分かるな。ベクトル返還できるお前を仲間にしたかったから、襲撃しては未来へ行き、力を持ったお前に出会うまでそのダイブは繰り返されたのだろう。そして、心の一部が壊れ、その行為を忘れたのだと思う。都合のいい話だが、私には分かる。自分なのだからな。だから、すまない。』
ゾーン『…そうか。フェイクの中の真実か、なるほどな。もういい、過ぎたことだ。』
ディーン『言い忘れたことがある。例の薬だが……特にジャンヌ、君には辛い話になるが、飲んだ者は子孫を残せないんだ。正確には、薬を飲んだ者同士では子供が出来ない。私と胸のラマラガンで調査した結果だ。これは予想外だった。世界滅亡が避けられないなら、滅亡後の世界に人類を連れて行けばやり直せるのではと思ったのだが、子孫が残せないのでは一時しのぎにしかならない。そして薬を飲まなければ…デッドポイントが発生したとき助からないだろう。但し、片方が薬を飲んでいなければ、可能性はゼロではない。それもゼロでは無い程度だ。』
ジャンヌは、ショックで後半の話を聞いていなかった。タケオの子供を持てないというショックで。自然と涙が流れた。
ゾーン『ナンバー2!ジャンヌ!しっかりしろ。』
ジャンヌ『ええ、大丈夫。』
ディーン『ショックだったか。ネモはそこまで知らなかったようだな。』
ゾーン『彼女はタケオとそういう関係だから、なおさらなんだ。』
ディーン『そうだったのか。うむ、言葉が見つからないな。』
ジャンヌ『ありがとう。大丈夫です。』深呼吸をして落ち着こうとしていた。
ディーン『それで、新たなリーダーのことだが、我々の中にも候補者がいるが一長一短でな。まず、ゾーン、お前を仲間にしたかった理由は、お前自身が脅威なのだ。拒否されたときは、こちらの仲間が殺される可能性があると判断して抹殺しようと思ったのだ。すまなかった。そして、お前たちに会うまでは我々の中ではリーダー候補者は二人に絞っていたが、そのうちの一人の彼に会えないのも運命とするなら、そして今日、もう一人のほうに会って私の後任は決まった。』頭巾をしているがおそらくその目線は一人の女性のほうを向いていた。
その時、一瞬暗くなったように感じた。
全員『!』
そして誰かが叫んだ。男『なんだ、あれは!』
全員が見た。500m上空に浮かぶ巨大な目を。そして無数の触手を。
ゾーンは、触手を見て思った。3000年で対峙した食虫植物もどきを。だが大きさが段違いだ。それにあっちは植物の変異だとノアが言っていた。こちらはどう見ても動物よりだ。
謎の生物『※▽Ω◆』言葉にならない奇声を発した。
全員耳を押さえる。
ディーン『大丈夫か。』
全員が頷く。
ゾーン『来るぞ!』
無数の触手が振り下ろされた。
次回は10/05の予定
『vs触手』