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5.消失③~カナダ~

1765年10月28日22:48

カナダ森林某所。

消失10分前

ナンバー4『ここでDBHする意味あんのか?人がいないから影響がでないんじゃないのか。』

ナンバー2『教授がミスするはずないわ。これも意味のある任務よ。』

ナンバー4『それより、どうしてここで10分前にするんだよ。空気読めよ。そもそも四人で来る意味ないぞ。人はいないし。誰もいないし。ミスなんか起こらないだろ。ナンバー3一人で1分前に来て投げて終わりだろ。人がいないんだぞ。』

ナンバー2『人がいないいないばかり言わないでよ。私はこういう何か出そうな感じ、いやなのよ。』怯えながら言った。

ナンバー4『幽霊とか。幽霊とか。幽霊とか。あっ!何かいたような!』からかい気味に言った。

ナンバー2は怯えながらナンバー1にしがみついた。剣で人を斬る女の子でも、暗く静かな夜の森の中では、一人の女の子だった。20代前半の美人が怖がっているのは男なら守りたくなるだろうが、ナンバー1には無意味だった。

ナンバー1『ナンバー4。おちょくるのも大概にしろ。それに常に不測の事態を想定することは重要だ。我々は四人で一つだ。』美人に抱きつかれたが、正直邪魔だった。いざというとき動作が遅れるからだ。

ナンバー2『ごめんなさい。』ナンバー1が珍しくまともなことを言ったので少し冷静になったが、ナンバー1にしがみついたままだった。

ナンバー4は、つまらなかった。周りを見ても木ばかりだ。ナンバー3はBHBをいじくってる。ナンバー3はナンバー1にしがみついてる。することがない。殺す相手もいないのだ。暇なのでとりあえず大声でも出そうかと思ったとき。

ナンバー1『みんなはここにいろ。俺は少し遊んでくる。』ナンバー2を引き離して、遠くを見つめながら言った。精悍な顔だちに鋭い眼光だ。戦闘モードに入ってる。誰かいるのだろうか?ナンバー1が歩いて行った先に黒い塊が見えた。それは体長3mほどだろうか!熊だ。グリズリーだった。ナンバー1がグリズリーの2m程前で立ち止まりファイティングポーズを取った。腰のアーミーナイフは抜いていない。この最強の獣を相手に素手で戦おうというのか?


グリズリーは戸惑っていた。人間に出会ったのは初めてではない。どの人間も逃げた。追いかけて食べたこともある。すぐに壊れる生き物だった。だが、学習した。長い棒を持った人間は要注意だった。その棒は大きな音がして身体から血が出た。撃たれた時、怒りに我を忘れ、正気に戻った時はその人間を殺して食べていた。人間は食料だ。だが目の前の人間は自分を恐れていないようだ。警戒すべき長い棒は持っていない。だが、野生の感が、この生き物はやばい、関わってはいけない、と囁いている。逃げなければと思った。その時

ナンバー1が動いた。身を低くして正面から突っ込む。グリズリーはとっさに右手を横に振って張り飛ばそうとした。視界が回転したように感じた。いつのまにかグリズリーは人間を見上げていた。背中に地面を感じた。回転したのだ。いつのまに倒されたのだ?ナンバー1はグリズリーの右肘に右手を添えて右手首を左手でつかんでいた。そしてこう言った。

『最近は、訓練ばかりで死を意識できないから、感が鈍ってきているかと心配していたが。どうだ!我がロシア軍が独自に編み出した技は!相手の力のベクトルを利用するとお前のような巨体もひっくり返すことができる。言っても動物には理解できんだろうがな!』言い終わらないうちに熊の両目を手刀でつぶし、膝を喉に乗せて軽く押した。実戦から遠ざかっていたせいか技の仕掛けるタイミングがわずかにズレてしまったが、熊相手なら問題なかった。グリズリーは悶絶して絶命寸前だった。腰のアーミーナイフを取り出して振り下ろしてこの戦いを終了させた。これは戦いだったのだろうか?一方的な暴力ではなかったのか?そう言えばナンバー1は『遊んでくる。』と言っていた。その意味が分かった。一方的に見えたが、ナンバー1は全神経を集中させてグリズリーに挑んでいた。油断すれば一瞬で殺される相手なのだ。その死線が心地よかった。ズレた感覚の代償は、左手の痺れだった。熊の力をズレた分だけ受けてしまったのだ。遠くからその戦いを見ていたナンバー3の目が不気味な眼光をしていたが誰も気づかなかった。ライバル?の本気を見たせいか?格納庫での訓練は遊びだったのか?と思っているのだろう。

いつの間にかナンバー1の近くにナンバー4がいた。ナンバー1を心配してのことではないだろう。ナンバー1は、ナンバー4を無視した。ナンバー4もナンバー1を無視してそばを通り過ぎてグリズリーがいた場所の奥に入っていった。


ナンバー3『1分!』声がこだました。

ナンバー1がグリズリーの死体を担いだ。体重はナンバー1の3倍の約300kgはありそうだが苦も無く担いで戻ってきた。その後ろからナンバー4が何かを抱えて戻ってきた。合流後四人と一匹の死体は消えた。

その後、教授を含め五人の食事は、しばらく熊肉がメインとなった。ナンバー2はお気に召さなかったが…


カナダ森林某所半径50m消失。行方不明者なし?おそらく動物多数がいなくなったと思われる。


某ステーション?のモニター室。

教授『0.00021%。かなりの変化だ。自然破壊が要因か?それとも何か重要な因子を消失させたか?』そして立ち上がり出入口から通路を見回した。『まさかあれか?』


某ステーション?の通路。

新しいメンバーが走り回っている。

ナンバー2が、必死に追いかけてるが中々捕まらない。完全に遊ばれてる。新しいメンバーはナンバー5とナンバー6。あのときナンバー4が抱えてきたグリズリーの子供二頭だ。

教授『ナンバー2。薬は飲ませたのかな。』

ナンバー2『はい。二頭とも飲ませましたので正式にこのSTステーションで生活できます。』嬉しそうに言った。

教授は、ナンバー2の子熊の世話をしている姿を微笑ましく見ていた。

教授『これらのせいでは無いな。熊二頭でここまで変化するとは思えない。』とつぶやき自室に入っていった。


ナンバー4は、自分の部屋でクッキーを食べていた。不満があった。子熊はいずれ食べるつもりで連れてきたのにナンバー2が勘違いして、「ナンバー1が親を殺した代わりに育てようなんてナンバー4を見直したわ。でも私が育てたいの。いいでしょ♡ナンバー4。」と言われて、クッキーで手を打ってしまったのだ。頭を掻きながら天井を見上げて、ナンバー2にはロンドンで助けてもらったし、食べるのは諦めよう、と思った。

ナンバー4『しかし、あのナンバー2が子熊の母親代わりかあ…』クッキーを食べようとしたがもう空っぽだった。


登場人物紹介(5話まで)

・教授 :65歳    インド出身 リーダー ラマラガン元大学教授。

・ナンバー1:40代後半 190cm     ロシア出身 屈強で怪力 アーミーナイフ所持。

・ナンバー2:20代前半 160cm     フランス出身 長髪で美人 剣を背負っている。

・ナンバー3: 165cm位    アジア系 精悍な顔つき BHBを所持。

・ナンバー4:20代後半 170cm 55kg イギリス出身? 茶髪で茶色の目 ナイフ所持。

・ナンバー5:1歳前後? カナダ出身 グリズリー。

・ナンバー6:1歳前後? カナダ出身 グリズリー。


用語

・BHB:球体型の爆弾?半径50mの全てを消失させることができる。

・DBH:?

・STステーション:5人と2匹の基地?

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