49.再会
・消失の章:1~12話
消失という任務を実施する理由とは?
その任務を遂行する各メンバーはどのような人物なのか?
・悲哀の章:13話~26話
新たな仲間を探すダイブになっています。
・裏切りの章:27話~35話
ステーションがメイン(Time Keeperの襲撃)
・疑惑の章:36話~47話
ナンバー1vsディーン
タケオvsドジル
・犠牲の章:48話~
One for all, All for one
2609年
ディーン神父『ドジルは死んだか。』
ロキ『申し訳ありません。命令を無視しました。』
ディーン神父『タケオのことか。仕方がない。それも含めてその者の運命だ。だが、回復するのを願おう……うっ。』胸を押さえ苦しそうだ。
ロキ『神父様!』
ディーン神父『心配ない。まだ大丈夫だ。少し休むから下がっていい。』
ロキが退室すると
ディーン神父『私の後継者となると、ローランドかチャンなのだが、ローランドは裏方派だからチャンか。できればタケオが回復したら、会ってみて、それに相応しければ後継者としたいが…うまくいかないものだな。』
??『もう一人いる。そのために選んだ者だ。』部屋にはディーンしかいないが、別の声がした。
ディーン神父『そうだな。今は敵対しているが、話し合いでなんとかしないといけないな。』
??『いざとなれば私も参加しよう。』
ディーン神父『!…人前に出るのか!分かった。その時は頼む。』
ディーンは誰と話をしていたのだろうか?再び静かになった。
2051年10月
大男が倒れている。それに近づく人影。大男の腕を肩に回したところで
??『重っ。』
大男『すまない。』
??『はあ?起きてるんなら自分で歩いて。』肩に回した腕を離そうとしたが
大男『脚に力が入らないんだ。このまま頼む、麻希。』声の主は遠藤麻希だった。
麻希『10年ぶりの再会がなんでまた肩を貸すことになるのかしら?ゾーさん。アリサさんたちは?』大男はナンバー1だった。
ナンバー1『今回は、俺一人だ。』ナンバー1は状況が呑み込めなかった。ディーンの稲妻をまともに受けた?のか?そのあたりの記憶があいまいだが、なぜ麻希のところに?10年ぶりと言っていたが?
ナンバー1『ここは日本だよな。今何年かな?』
麻希『ボケたんじゃないでしょうね。どうみても日本でしょ。2051年10月の仙台よ。しっかりしなさいよ。』
それを聞いたナンバー1は、ダイブしたのか?どうやって?思い出したかのように空いている手を首に当てた。
ナンバー1『保険か。なるほど。役に立ったな。』ボソッとつぶやいた。
麻希『何?』
ナンバー1『仲間…いや、友のことだ。気にするな。』
麻希『…彼女かしら?』刺のある口調だった。
ナンバー1『男だよ。ちなみにお前と同じ日本人だ。ところで10年で大人になったな。』
麻希『ふーん。10年?白を切るつもり?1年前に会ったの、知らないと思ってるの?』
ナンバー1『気づいてたのか?』
麻希『でもおかしいのよね。1年前のことよりも10年前のほうが新しく感じるのよね。それにね、私、数カ月意識なかったのよ。おかげで仕事が無くなって仙台に戻ってきたわけ。今はまだ無職なんだけど…。』
ナンバー1は無言で聞いていた。俺たちの介入で時系列がおかしくなったようだ。百貨店で会った後に高校生の麻希に会ったのだ。意識が無かったのはそのせいかもしれない。すまないことをしたと思った。
麻希『それはそうと、あまり年を取ってないようだけど外国人だから?あと私を見て他に言うことは無いの?』
ナンバー1『麻希の家に向かってるんだよな。着いてから全て話すよ。ああ、美人になったな。』
麻希『!ストレートに言うのね。まあ、悪い気はしないわ。でも…。』家に着いてから話と言うことはあまりいい話ではなさそうだと感じ、家に着くまでは無言になった。
麻希の家に着いた。更に古くなっている。
麻希『今は一人よ。傷は?』
ナンバー1『軽度の火傷だから、軟膏でもあれば助かる。母親は?』
麻希『7年前に亡くなったわ。薬あったかしら?待ってて。』部屋を出て行った。
ナンバー1『前回もこの部屋だったな。10年か。俺にとっては数カ月しか経っていないが…麻希にはパラレルワールドが存在しないのか?3回も同じ世界に来るということがあるのか?それはどれだけの確率なんだ?』ふとある女性の言葉を思い出した。
【ゾーンさん、事実がどれだけ辛くても前に進んでください。フェイクの中の真実を見極めてください。そして自分の気持ちに素直に。】
ナンバー1『首謀者がネモだったという事実は受け止めるしかないな。だがフェイクとか真実とか言ってたが、謎解きは苦手だからな、戻ったらタケオに聞くか。えーとあとは、自分の気持ちに素直に、か。』深呼吸をして
ナンバー1『そうだな、ナンバー2やタケオを見習わないとな。ところで遅いな。』
しばらくして、ようやく麻希が戻ってきた。薬の他に、おにぎりを持ってきた。
麻希『お腹空いてるかなと思って…。』
ナンバー1『助かる。』
ナンバー1は、薬を塗り、おにぎりを食べながら、全てを打ち明けた。麻希は黙って聞いていたが、聞き終わって
麻希『そう。』と一言だけ言って黙った。その沈黙を破ったのはナンバー1だった。
ナンバー1『助けてくれたお礼に家を直そうか。』
麻希は、ナンバー1の顔をジーっと見ていた。そして下を向いて、小さな声で
麻希『3回というのは奇跡よね。それについては、ゾーさんはどう思っているの。』
ナンバー1は、そういう方面に対して鈍くはない。麻希が何を言いたいのか分かった。
ナンバー1は、麻希を抱きしめた。そして麻希の頬を撫でながら
ナンバー1『運命だと思っている。』そういうと麻希にキスをした。
翌朝
ナンバー1『麻希、俺と一緒に来ないか?』二人は布団の中にいた。
麻希『いいかもね。でも…』
ナンバー1『でも?』
麻希『今は行かないかな。もう少し今の世界で頑張りたいの。なんだか逃げるようでいやなの。』
ナンバー1『………そうか。分かった。とりあえず今日から家の修理をするから、それが終わるまでいさせてもらおうかな。』
麻希『それは、是非お願いね。かなりガタがきてるから助かるわ。お腹空いちゃったね。朝ご飯を作るわ。』
それから数日間、ナンバー1は麻希の家の修理をして過ごした。しかし、別れの時間が来る。
ナンバー1『………大体、修繕はこんなもんだろう。…だから、明日戻ろうと思う。』
麻希『うん、分かった。そろそろかなと思ってた。今夜はご馳走を作るね。何作ろうかな。』
若干、涙声だったが、ナンバー1は気づかないふりをした。
その夜、麻希を抱いたあと
ナンバー1『もう一度聞くけど、一緒に。』キスで次の言葉は遮られた。
麻希『今は、行かない。運命なら4回目も会いに来れるでしょ。もう一回抱いて。』
ナンバー1は、4回も奇跡が起きるのか不安だったが、麻希の意思は堅そうだった。
別れの朝
麻希『元気でね。そうだわ。4回目は今から1年後の私に会いに来て。その時にもう一度聞いてね。もっとも一緒に行くとは限らないけど。』笑顔だった。
ナンバー1『1年後か。分かった。』
麻希『行ってらっしゃい。』ナンバー1にキスをした。
ナンバー1『そうか。そうだな。行ってくる。』そして消えた。
麻希は、ナンバー1が消えた空間をしばらく眺めていた。
次回は8/24の予定
『決断の時』