48.喪失感
・消失の章:1~12話
消失という任務を実施する理由とは?
その任務を遂行する各メンバーはどのような人物なのか?
・悲哀の章:13話~26話
新たな仲間を探すダイブになっています。
・裏切りの章:27話~35話
ステーションがメイン(Time Keeperの襲撃)
・疑惑の章:36話~47話
ナンバー1vsディーン
タケオvsドジル
・犠牲の章:48話~
One for all, All for one
ロキは、ライフルを下げたままナンバー2たちの近くまで来て立ち止まった。
ナンバー2は、タケオを抱きかかえながら睨みつけている。その目からは涙が流れている。
ロキがライフルを地面に置き、何かを取り出した。
ロキ『これを傷口に貼った方がいい。貫通してるから前と後ろに。死なせたくなかったら、急げ!』
ナンバー2は、訳が分からないが急いでロキが渡したシートをタケオの傷口に貼った。銃創を覆うように貼り
ナンバー2『これは?』
ロキ『知らないのか。21世紀後半に作られた医療用シートなんだがな。止血効果は抜群だ。』
ナンバー2『なぜ?』助けるのかと思った。
ロキ『ディーン神父様がその男と話をしたいらしい。無傷で連れてくるようにという命令だったが、俺の直属の上司がその男に執着していてどうしても殺したかったみたいだからそれを優先させて狙撃した。たまたま狙った先に隊長がいたのが隊長の運の無さだな。まあ、神父様に逆らった代償だな。』そういうと凍った隊長を拳で叩いた。隊長が砕け散った。それを見届け
ロキ『ところで、この男は薬か何かで銃弾が見えるようにしていたようだな。すごい技術だな。』
ナンバー2『えっ?』
ロキ『知らないのか?ちなみに、目からの出血はその代償だと思うぞ。』G-Boxを拾い上げる。
ナンバー2『それは…。』
ロキ『欲しいのか。悪いがこれは回収させてもらう。もう戻って治療させたほうがいいと思うぞ。』ライフルも拾い上げ、ダイブして去ろうとした。
ロキ『話し合いに応じるなら、2610年ハワイにダイブ設定してくれればこれで誘導される。おそらく危害は加えないと思う。保証はしないがな。じゃあな。そうだ。凍らせるアイテムも凄かったぞ。』そういうとロキが消えた。それを見届け、
ナンバー2『…タケさん、戻りましょう。』意識のないタケオを連れてSTステーションに戻った。
STステーション医務室。
タケオは、いつものカプセルではなく、見たことが無いカプセルに入っている。
ナンバー2がタケオを連れてSTステーションに帰還したあと、ナンバー4に助けを求めた。ナンバー1はまだ戻っていなかったのだ。そしてナンバー4とともに医療用カプセルに入れようとしたとき
ノア『脳の肥大が見られます。過負荷によって脳が腫れているようです。このままではTB様は意識が戻らない可能性が高いと判断します。こちらのカプセルに入れてください。』そして見たことのないカプセルに入れるように言われたが、ナンバー2は、ノアがタケオを大事にしていることを知っているので迷わず指示に従った結果が、今の状態だ。
ナンバー4『ひとまず落ち着いたな。どうしてこうなったんだ。Time Keeperか?』
ナンバー2『ええ。』ドジルとのことを話した。話し合いの件だけは伏せることにした。
ナンバー4『…ちょっと頭を冷やしてくる。』怒りでおかしくなりそうだった。
ナンバー2『ナンバー1はまだ?』出て行くナンバー4に問いかけた。
ナンバー4『ああ。こんなときにいないなんて。』
ナンバー4が出て行き、ナンバー2だけになった。
ナンバー2『大丈夫よね。元気になるよね。』タケオが入っているカプセルに向かって呟いた。
ノア『………』何も言わなかったが、ノアは困惑していた。タケオの状態は酷かった。13秒を無視したのが明らかだが、そういう状況だったとナンバー2の話から推測できた。脳の機能をできるだけ停止させる必要があったのでコールドスリープカプセルに入れたが、心臓は動いている。傷を治すには細胞の動きを止めるわけにはいかず、脳の炎症を抑えるには脳機能停止レベルまで落とす必要があった。本来なら独立した医療用AIに任せるのだが、なぜかノアが直接その調整を行った。万に一つのミスがないように。なぜそうしたのか分からなかった。理由を探せば、前任者は命令だけだったが、タケオはよく話しかけてくれたから話し相手がいなくなるのを阻止するためという答えになるだろうか。答えのない問題の無限ループのような状態なのか、よくわからなかった。タケオがこの話を聞いたらきっと言っただろう『ノア、それが感情というものだ。』と。しかし、ノアがそれを理解するには導いてくれる者が眠りについているため無理だった。
あれから一週間が過ぎた。タケオはまだカプセルに入っている。ナンバー2が状態を聞いてもノアは何も答えてくれなかった。
ナンバー4『もう一週間だな。目覚めるのかな。』
ナンバー2『分からないわ。ノアはあれからダンマリしてるし。ノア、聞いてるんでしょ!』
ノア『…』
ナンバー2『もう!………フ~、一週間。ナンバー1が戻ってこない。まさかとは思うけど…。』
ナンバー4『ナンバー1に限ってそれは無いと思うぞ………多分。』
ナンバー2『タケさんがこんな状態で、ナンバー1もいない。私たちはどうすれば…。』
その言葉にナンバー4は返事ができなかった。俺たちは常に言われたことを実行していただけで今はそのリーダーがいないのだ。確かに今後はどうしたらいいのか分からなかった。
ノアは、ナンバー2の問いかけを一切無視していた。タケオの脳の状態が好転していないのだ。逆に悪化もしていない。数値は同じだった。
その夜。
ナンバー2は、覚悟を決めた。Time Keeper のところに行こう。もしかしたらタケオを回復させる手段があるかもしれない。そしてナンバー1のことを知っているかもしれない、と思ったのだ。その目には決意の光が見れた。それはかつてジャンヌダルクを名乗っていた時の目だった。裏切られたことで、指揮を執ることに躊躇していたが、ドジルとの戦いでのタケオの行動が、そのトラウマを吹っ切ることができたのだった。
次の日(タケオ昏睡8日目)
ナンバー2『ナンバー4、ちょっと出かけてくるわ。留守番をお願いね。』
ナンバー4『剣やs-BHBを持ってか。どうみても一戦交える気だな。』
ナンバー2『向こうは話し合いを望んでるらしいの。ちょっと話し合いをしに行ってくるわ。』
ナンバー4『…』
ナンバー2『これらは念のためによ。それに一人の方が警戒されないでしょ。』
ナンバー4『分かったよ。止めても行くんだろ。』
その時、
ノア『ゾーン様が戻ってきたようです。』
ナンバー2&ナンバー4『!?』二人は出入り口に走り出した。
次回は8/17の予定
『再会』