46.それぞれの思惑
・消失の章:1~12話
消失という任務を実施する理由とは?
その任務を遂行する各メンバーはどのような人物なのか?
・悲哀の章:13話~26話
新たな仲間を探すダイブになっています。
・裏切りの章:27話~35話
ステーションがメイン(Time Keeperの襲撃)
・疑惑の章:36話~47話
滅亡後の未来
ナンバー1vsディーン
タケオvsドジル
ナンバー1に近づくディーン神父。そのとき、ローランドの呻き声が聞こえた。
ディーン神父『生きていたか。』静かな声だった。ローランドが生きているということはゾーンも生きている可能性があると思った。もちろん、直撃を受けたのはゾーンだから死んでるかもしれない。しかし、チャージが2分強だったことを考えると生きている可能性がある。屈服しないのであれば排除するしかない。
ディーン神父『これは!まさか!ダイブか。意識があるのか!』倒れたナンバー1の周りの景色が少し揺らいだのを見逃さなかった。ナンバー1がダイブして逃げようとしていた。それを阻止するために稲妻を放った。しかし、遅かった。ナンバー1に当たる前にナンバー1は消えた。
ディーン神父『逃げられたか。だが、どういうことだ。あの様子だと明らかにゾーンは意識が無かったぞ。』
ディーン神父は頭巾の中で目を閉じ、数分間微動だにしなかった。そして目を開け
ディーン神父『あれは自動ダイブのようだ。おそらく意識が無くなると自動でダイブして逃げるものだな。誰が作った?ネモでは考えつかないはず。』今度はナンバー1が消えた空間を向いたまましばらく動かなくなった。そして
ディーン神父『新顔がいたと言ってたな。たしか、タケオ?だったな。面白い。すばらしい発想だ。会ってみたくなったぞ。』ローランド他二名のほうに向かおうとした時、突然片膝をついて胸を押さえ、苦しそうだった。数分後、
ディーン神父『…フ~。無理をし過ぎたか。いや、時間がないのか。』ゆっくりと立ち上がり、三名とともに消えた。
2609年旧ハワイ諸島の一つ。
ディーン神父『チャンいるか。』返事がない
ディーン神父『いないのか。…イゾウいるか。』
イゾウ『ここに。』
ディーン神父『三人を手当てする。手伝ってくれ。』
イゾウ『分かりました。』
イゾウと呼ばれた男は黙々と作業をこなした。といっても三人を医療カプセルに入れて電源をONにしただけだが。Time Breakerのそれよりも数段上の医療ポッドだった。
ディーン神父『ローランドが回復したらチャンと共に私の部屋に来るように。それまで私は休む。』
イゾウ『分かりました。』そういうと部屋を出て行った。
ディーン神父『計画を見直さないといけないな。』ベッドに横になった状態で胸を押さえながらつぶやいた。
??『…タ……』ディーン神父しかいない部屋で小さな声がし、それにディーン神父が答えているようだった。
3時間後のディーン神父の部屋。
ローランド『神父様、何でしょうか?チャンも同行しています。』
ディーン神父『入れ。』二人を招き入れた。
ローランドは何回か入っているが、チャンは初めてだった。Time Keeperのリーダーの部屋にしてはあまりにも質素だった。簡易的なベッドと小さな机と椅子があるのみだ。机の上には何らかの薬と水らしき液体の入ったコップがあるだけだ。机の引き出しには何が入っているのかは分からないが重要なものはなさそうだった。
ディーン神父『チャン。何もなくて驚いた顔をしてるな。』笑いながら聞いた。
チャン『いえ、いや、質素過ぎて。』
ディーン神父『私にはこれで十分なのだよ。ローランド、もう大丈夫か。お前が作ってくれた機会を生かせず、ゾーンに逃げられた。すまない。』
チャン『!?』驚いた顔をした。その任務は聞かされてなかったのだ。
ローランド『神父様は3分と言われたのに2分しか持たなかった私の失態です。』
ディーン神父『強かったか。』
ローランド『想像以上でした。』
ディーン神父『チャン。確かタケオという名だったな。お前たちの邪魔をしたのは。』
チャンは無言で頷く。なぜ今になってそのことを聞くのか真意が分からなかった。
ディーン神父『その男と直接話がしたい。今、ここにいる全メンバーを招集してくれ。』
チャンは無言で出て行った。
ディーン神父『まだ、完全には信用されていないな。』
ローランド『…』
ディーン神父『まあいい。時間がかかるだろう。』
30分後。
ディーン神父『緊急の要件を伝える。』車椅子に座っている。そばにはチャンが立っている。ローランドはいなかった。ディーン神父はドジルを見ながら
ディーン神父『Time Breaker にタケオという男がいる。その男を無傷で連れてきて欲しい。おそらく私の判断が正しければやつらの拠点は移動してるだろう。そして電磁波装置は聞かなくなっていると思った方がいい。G-Boxを使い、最大出力且つ人海戦術でやってほしい。念を押すが無傷で連れてくるんだ。以上だ。』
ディーン神父はチャンに車椅子を押してもらい退出した。
ドジル『ふざけるな!』
ロキ『どうする?』
ドジル『いや、そうだ。ククク、おかげで堂々とG-Box使用とあの男の探索ができるな。』
ロキ『連れてくるのか。』神父様に逆らうわけではないと思い、ホッとしたが、ドジルに胸倉を摑まれ
ドジル『俺たちが一番に見つけるんだ。だがな、交渉中にあの男は死ぬんだ。以上だ。行くぞ。』ロキを突き放した。
ドジルは、タケオに執着していた。あの任務以降、訳の分からない恐怖を植え付けたあの男を抹殺しなければとそれだけを考えていた。だから他のメンバーよりも情報を持っていた。いつの時代の人間なのか、風貌から推測される歳から、2020±10年にダイブしてくると読んだ。新メンバーなら一旦、慣れた機器を取りに戻ると判断したのだ。あとは内緒でG-Boxで誘導すればいいと思っていたところに神父様の命令で堂々とG-Boxが使えるようになったのだ。
STステーションの食堂。
三人は食事中だった。
ナンバー2『ナンバー1は何時頃戻ってくるのかしら。』
ナンバー4『分からないな。もしかしたら恋人を助けて、感動の再会をしてるかもな。会えば思い出すだろうしな。』
ナンバー2『そうね。束の間でもそういうのも大事かも。』
タケオ『暇だな。ジャンヌ、明日、前に言ってたデートしないか。二人でショッピングしたり食事したりしてたまには任務を忘れて楽しもう。』
ナンバー2『はい。喜んで。』
ナンバー4『俺は留守番だよな。』
ナンバー2&タケオ『当然。』
その日の夜。タケオの部屋。
ナンバー2『何、着ていこうかしら。あっ!剣は置いていくわ。』
タケオ『あ~。置いていってくれ。服は、何着ても様になるからなあ。』
ナンバー2『そう?』ちょっと照れてるようだ。
タケオ『俺は服が無いなあ。』
ナンバー2『そうね。着の身着のままで来たものね。このステーションにある服もセンスはイマイチ品ばかりね。うーん。この際、現地調達ということで買いましょう。選んであげる。』嬉しそうに提案した。
タケオ『ありがとう。俺、センス無いから助かるわ。』
ナンバー2『そうかも。ところでどこに行くの?』
タケオ『俺がエスコートしたいから2016年…いや、2025年にしようかな。少し先の知らない未来の日本にしよう。』
ナンバー2『分かったわ。楽しみね。シャワーしてくるね。』
ナンバー2がいなくなると
タケオ『ノア、これを打つけどどのくらい耐えれるかな。俺の計算では20秒程なんだが。』
ノア『13秒以内であれば次の日には回復すると推測します。』
タケオ『短いな。でも13秒でも、ないよりはいいな。』そう言ってこめかみに何かを打ち込んだ。
タケオ『痛っ!』こめかみをさすりながら『保険はあくまで保険。使わないほうがいいんだがな。』
次回は8/4の予定
『タケオvsドジル』