39.埋葬
・消失の章:1~12話
消失という任務を実施する理由とは?
その任務を遂行する各メンバーはどのような人物なのか?
・悲哀の章:13話~26話
新たな仲間を探すダイブになっています。
15話~18話 ナンバー4の出会いと別れ
19話 ナンバー3について
20話~22話 ナンバー1の出会いと別れ
23話~26話 ナンバー4の決断
・裏切りの章:27話~35話
ステーションがメイン。
27話~30話 少々退屈な話ですが、必要なので。
31話~35話 Time Keeperの襲撃
・疑惑の章:36話~??話(3日毎に更新:07/01,07/04,07/07…)
翌日の食堂。
タケオ『埋葬先はどこにしようか?』
ナンバー2『静かなところがいいと思ってるんだけど…。』
タケオが他の二人のほうを見ると、二人とも首を振った。
タケオ『このステーションを移動するためにダイブするから、ダイブ先を埋葬する時代にしようと思ってたんだがなあ…。なら3000年のカナダ森林はどうだろう。』
ナンバー2『カナダ森林ならナンバー5とナンバー6の生まれた場所ね。でも3000年はすごい先の時代ね。』
タケオ『うん。一つ聞くけど、みんなは人類滅亡が何年なのか知ってるのか?』
ナンバー1『いや、興味がないから聞いてない。』ナンバー1らしい返事だ。
ナンバー2『私も知らないし、人類滅亡よりも今ある機器の使い方をマスターする方が大変だったので…。』
ナンバー4『俺も興味なかったし、教授も話さなかったしな。』
みんなの興味のないという返事を聞いてタケオは溜息をついた。
タケオ『教授の残した資料によると、人類滅亡は、2400年~2500年の間らしい。100年毎にダイブして確認したみたいだ。だが、それ以上の正確な日時は調査不能と書かれていた。』
ナンバー4『中途半端な調査なんだな。トラブルでもあったのかな。』
タケオ『理由は、滅亡の瞬間にダイブした場合、巻き込まれて死ぬ可能性があるから、と書いてあった。』
それを聞いて
ナンバー1『………』無言で天井を見つめて溜息をついた。
ナンバー4『…教授。』
タケオ『ヘタレ教授だな。おっと。』教授の悪口でナンバー2が機嫌を損なわなかったかなと思った。
ナンバー2『フフ、気にしないわ。』笑顔だった。
タケオ『というわけで3000年にダイブして埋葬ついでに地球がどうなっているかも確かめようと思う。』
ナンバー2『そうね。もしかしたら人類が生き延びているかもしれないしね。』
ナンバー1『そうだな。』
タケオ『決まりだな。ダイブと埋葬の準備をして明日いや明後日決行しよう。』
埋葬ダイブ前日の研究室。
タケオは、何かを作っているようだった。ナンバー2はいない。
扉が開き、ナンバー1が入ってきた。
ナンバー1『何を作ってるんだ。』
タケオ『内緒だ。失敗するかもしれないから言わないでおく。』
ナンバー1『そうか。これは?』テーブルの上の薬を見て言った。
タケオ『改良した薬だよ。ドラッグⅡと名付けようかな。』
ナンバー1『………』無言でドラッグⅡを手に取る。ネーミングセンスは、まあまあだな。
タケオ『飲んでもいいぞ。俺は今夜飲むつもりだ。』
ナンバー1『教授よりも仕事が早いな。』そう言ってドラッグⅡを飲んだ。ナンバー1は前の薬で意識融合は終わっているので全く変化はなかった。
ナンバー1『なにも変わらないな。』
タケオ『配合を変えて波長をズラしただけだからな。タイムベルトの調整は今回のダイブが終わってからするからダイブ後二日ほど待ってくれ。』
ナンバー1『ああ。助かる。』
タケオ『よく分からんけど早く行きたいんだろ。』
ナンバー1『ああ。』裏切ったナンバー3も行けと言ってた。どんな結果だろうが今なら大丈夫だ。
タケオ『行くときに、今作ってるものを体に打っていってくれ。』
ナンバー1『何だ。』
タケオ『さっき言ったろ。失敗するかもしれないから秘密だと。』
ナンバー1『そんなものを俺に打つのか。自分では確かめないのか。』
タケオ『Mっ気はないから自分には試作品はしない。』
ナンバー1『…分かったよ。カツカレーで手を打とう。』
その後、ナンバー4にもドラッグⅡを渡した。
その夜、タケオの部屋。
ナンバー2『これがドラッグⅡね。』そう言って飲んだ。
ナンバー2『何も変わらないわね。』
タケオ『もう薬を飲んでるからな。俺は今から飲むけど、正直未練がどの程度か分からないから手を握っててくれ。』そう言って左手を出す。その手にナンバー2が手を添えた。
タケオには未練があった。それは別れた妻と子供たちにではなかった。別れた後は全く会っていないので元気にやっているだろうと思っている。だから未練は、ナンバー2に対してだった。愛した以上できるだけ長くそばに居たいと思っていたのだ。それが不安だった。だからナンバー2に手を握ってもらう理由だった。そして覚悟を決めてドラッグⅡを飲んだ。若干眩暈がしたが、それだけだった。
タケオ『意識の融合はあまりいいもんじゃないな。』とナンバー2に笑顔で話した。
ダイブ当日のメインルーム。
タケオ『あと30秒でダイブだ。』全員メインルームに居た。
タケオ『よし、そろそろだな。』STステーションが時空間から消えた。
3000年10月28日元カナダ森林の上空500m。
ナンバー4『ステーションごとのダイブはスゲー。』
タケオ『ノア、飛行モードだ。』
ノア『ありません。』
一同『えっ!』
ノア『私は宇宙で組み立てられたステーションなので飛行の必要がありません。』
タケオ『ノア…墜落するのか。』
ノア『100%墜落します。衝撃に備えてください。』
その言葉を聞いて、元々椅子に座っていたタケオはベルトをして傍にいたナンバー2をしっかりと抱きしめた。ナンバー1とナンバー4は何かに掴まろうしたとき衝撃が来た。
ナンバー2『キャーーーー。』ナンバー2が悲鳴を上げる。ナンバー1とナンバー4は衝撃で宙に浮き、体を壁等にぶつけた。しばらくして静かになった。
タケオ『無事か?』と聞いた。腕の中にいるナンバー2と目が合った。こちらは大丈夫みたいだ。
ナンバー1『ああ。なんとかな。』立ち上がった。さすがのタフネスぶりだ。
タケオ『ジャック。生きてるか。』
ナンバー4『死んでない自分を褒めたいよ。』こちらはまだ立てないようだ。
タケオ『フ~。すまん。情報不足だった。ステーションの大きさを考えて上空を指定したのがまずかった。ノア、お前の損傷はどのくらいだ。』
ノア『自己修復可能なレベルです。但し、無重力の宇宙か前の場所に行かなければ修復作業ができません。』
タケオ『そういう表現では損傷レベルが分からんぞ。ノア、仮に今宇宙に行ったら問題あるレベルの損傷なのか。』
ノア『問題ないレベルの損傷です。丈夫が取り柄のノアですから。』
ナンバー4『そんな言葉どこで覚えたんだ?』
ノア『認証されていない音声なので回答不可です。』
ナンバー4『何だと~!』
タケオ『ジャック、もういいだろ。ノア、外の状態が知りたい。大気分析は可能か。』
ノア『可能です。分析を開始します。解析終了しました。』
ナンバー2『もう終わったの?』
タケオ『結果は?』
ノア『大気中に人間に害を与えるウイルスはいません。呼吸も可能です。』
ナンバー1『埋葬はできそうだな。』
ナンバー2が頷く。
タケオ『ノア、俺たちは今から外に出る。その間にこの地球に人類がいるのか探索してくれないか。地球の中側も可能なら探索してほしい。』
ノア『時間がかかりますがよろしいですか。』
タケオ『ああ。こっちも時間がかかるから。ちなみにどのくらいかかる。』
ノア『480秒もかかります。』
一同『………』
タケオ『ノア、やってくれ。』苦笑しながら言った。
ノア『探索開始します。』
ナンバー1『行こうか。』全員頷く。
ナンバー4『これが3000年の空気かあ。』深呼吸をしてみた。
ナンバー2『なんだか空気が美味しい気がする。』
ナンバー1『この大きな木の下に埋葬しよう。』
ナンバー1とタケオが穴を掘っている。ナンバー4は少し掘っただけで音を上げたのだった。
ナンバー2『静かね。』人間がいないのは分かっているが動物もいないようだった。それなら虫はどうかしらと木々を見て回った。
ナンバー2『いない。』生き物自体がいない。人類滅亡というより生物滅亡なのかと思った。でも植物は大丈夫なのね。その時
ナンバー1『このぐらいの大きさでいいだろう。』
そしてネモ教授、ナンバー5、ナンバー6を同じところに入れて土を被せていった。もちろんナンバー2やナンバー4も土をかけた。静かにお祈りをした。周りからは何の音もしなかった。
ナンバー1(教授、俺に何かを隠そうとしていたのか。とりあえず命を救ってくれたことにはお礼を言っとくぞ。ナンバー5、ナンバー6、すまない。)
ナンバー2(ネモ教授、色々助けていただいてありがとうございます。教授の意思を継いでいきますので見守っていてください。ナンバー5、ナンバー6、守ってくれてありがとう。そして守ってあげられなくてごめんなさい。)
ナンバー4(なぜ俺が選ばれたのか、聞き損ねたけど、とりあえず頑張るよ。俺を助けて仲間にしてくれてありがとう。)
タケオ(教授、ナンバー5、ナンバー6…南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。宗教が違うと思うけど成仏してくれ。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。)
それぞれの想いを伝えることができたのだろうか。三人がまだ祈っていたのでタケオは近くの木々に近づいて、葉っぱを触ったり、幹をジーっと見ていた。
そのうち、三人の祈りが終わったタイミングでナンバー2が気づいたことを言おうとした時
ナンバー1『!』周りを見る。何もいない。だが危険が迫っている感じがする。大気が揺れている気がした。
ナンバー2『!』ナンバー1程ではないが、何かを感じ取ったようだ。『戻りましょう。嫌な予感がするわ。』
タケオがナンバー2の言葉に振り返った。
ナンバー1とナンバー2の緊張感のある態度を見てナンバー4とタケオは賛同してノアに戻った。