36.ナンバー2の気持ち
・消失の章:1~12話
消失という任務を実施する理由とは?
その任務を遂行する各メンバーはどのような人物なのか?
・悲哀の章:13話~26話
新たな仲間を探すダイブになっています。
15話~18話 ナンバー4の出会いと別れ
19話 ナンバー3について
20話~22話 ナンバー1の出会いと別れ
23話~26話 ナンバー4の決断
・裏切りの章:27話~35話
ステーションがメイン。
27話~30話 少々退屈な話ですが、必要なので。
31話~35話 Time Keeperの襲撃
・疑惑の章:36話~??話(3日毎に更新:07/01,07/04,07/07…)
Time Keeper本部。
ドジルたちは、ディーン神父と謁見していた。
仲間の肩を借りているチャンを見て
ディーン神父『チャン、歩けないのか。』
チャン『背骨を傷めたようだ。』
ディーン神父『お前ほどの男がか。油断したな。後ろを向け。』そう言って後ろを向いたチャンの背中に右手を向けた。チャンは背中に痛みが走ったが、その後歩けるようになった。
ディーン神父『これで日常生活は問題ないだろう。二週間程安静にしてろ。ドジルから話を聞かせてもらうから、他の者はさがっていいぞ。』全員の疲労困憊ぶりを見て判断した。
ディーン神父『さて、ドジル、成果を聞かせてもらおう。相当苦労したようだな。』
ドジル『ネモは頭を撃ちましたので確実に死にましたが、ステーションの破壊は失敗しました。BHB改を破壊されてしまい、また電磁波装置も破壊されて……。』そこで言葉を切った。ディーン神父から何とも言えない気配を感じた。しかしその気配が消えたので、再び話し始めた。
ドジル『情報にない新顔がいて、その男に邪魔をされて…。』神父は話を聞いていないように思えた。
ディーン神父『ネモは死んだか。そうか。』嬉しそうにつぶやいた。
ドジル『それで、その男、タケオというものについては。』
ディーン神父『放っておけ。もう休んでいいぞ。』神父にとってネモが死んだ事実で十分だった。あとは烏合の衆だ。だからタケオという名前の人間のことはどうでもよかった。
ドジル『…分かりました。』ドジルはタケオの危険性について言及したかったのだが、気力の限界を感じており、異論を唱えずに引き下がることにした。そして、ディーン神父以外その場からいなくなった。
胸に手を当てて、ディーン神父『仇は取ったぞ。』誰に言ったのだろうか。
STステーションのモニター室。
タケオは、教授が残したデータを見ていた。必要な情報や知識を持って行けば楽に過ごせると思ったからだ。
タケオ『へ~、こんなことまで設計済みなのか。なんで実用化しなかったんだろうな。製作すればナンバー2やナンバー4の役に立つのに。いや欠点があるのか。なるほどね。うん?隠しファイル?スケベ爺さんだな。大方ナンバー2の隠し撮りだろうな。ちょっと見てみるか。』
ファイルの内容を確認して
タケオ『これはみんな知ってるのか?いや隠しファイルだから知らないか。教授は死んだし知らせとくか。いやいやいや、俺は去るから関係ないな。…考えてみると俺は2016年までの出来事を知ってるんだよな。競馬の大きなレースの勝ち馬も分かってるし。やばっ、楽して大金持ち決定だな。』未来が明るくなったような気がして上機嫌だった。もうデータは必要ないと思った。そしてモニター室を出て、部屋に戻る途中でみんなになんて言おうかと思ったが、紙に“Goodby”とだけ書いて出ていけばいいだろうと思った。もう会う確率はないだろうしな。そんなことを考えながら部屋に入ると、ナンバー2がいた。
タケオ『………』なんて言えばいいのか分からなかった。タケオの目には、ナンバー2が鬼の形相をしているように見えた。俺が出て行くのを確認しに来たのか?それともまた引っ叩きに来たのか、と思い
タケオ『ごめん。遅くなったけど、今から出て行くところだ。』そう言って叩かれる前にベッドの上の荷物を取ろうとした。
その手をナンバー2が掴んだ。腕を折られるか切断されるのかと身構えたが、違った。
ナンバー2『どこに行くつもり?』
タケオ『えっ、ここにいない方がいいだろ。だから俺がいた時代よりもちょっと前に。』なぜか行き先を言ってしまった。まだ怒ってるのか?でも怒りのニュアンスと違うような。
ナンバー2『ダメ!どこにも行かないで。』目に涙を溜めている。
(あれ?怒ってないのか?)タケオには何が何だか分からなかった。
少し時間を遡って。
タケオがモニター室で物色している時間帯。
医務室にナンバー1が入ってきた。そしてナンバー2に
ナンバー1『落ち着いたか。』
ナンバー2『…』無言で頷いた。
ナンバー1『タケオがいなかったら、俺やナンバー4は死んでいた。特にナンバー4は二度助けられたことになる。ナンバー3は、チャンは、お前を連れていこうとしていたから死ぬことはなかったと思うが、それはそれで辛いことが待っていただろう。タケオに…。』その続きを言うのをナンバー2が遮った。
ナンバー2『分かってる。謝りに行くわ。でもあの言葉は許せないからビンタしたことは謝らないわ。』少し笑顔で言った。
ナンバー1『そうだな。あれはさすがにひどい言い方だったが、多分タケオはお前の気を逸らしたかったんじゃないかな。』
ナンバー2『えっ。』
ナンバー1『女が泣いているのは男としてはイヤなものなんだよ。それなら怒ってる方がまだましだ。とりあえず、さっさと謝りに行ってこい。』
ナンバー2は頷いて出て行こうとした。
ナンバー1『ナンバー2、もっと素直になれ。自分の気持ちに気付いていないのか?お前にとってタケオはどんな存在だ?』
ナンバー2『私の気持ち?存在?』
ナンバー2は自問自答しながらタケオの部屋に向かった。
そして、タケオがモニター室から戻る少し前。
ナンバー2はタケオの部屋の前で深呼吸をして『私、入るわよ。』と言って扉を開けた。だがタケオの姿はなかった。(格納庫にでも行ってるのかしら)と思い、部屋を見ると、ベッドに荷物が置いてある。そういえば部屋が片付いてスッキリしている。ナンバー2は、ハッとした。(私が、ステーションから出て行って、と言ったから出て行くつもりなんだわ)と思い、ショックを受けた。タケオがいなくなると思うと胸が締め付けられる思いだった。その時、扉が開いた。振り向くとタケオが立っていたのだ。
そして今。
ナンバー2『最低なのは私のほう。ごめんなさい。タケさんの言う通り、治療できたとしても教授の姿をした別人の可能性が高いわ。ううん、別人よね。きっと教授もそんなことを望んでいないわ。かなり強引だったけどタケさんがしたことは理解できる。だからお願い、どこにも行かないで。』目から涙が流れた。
タケオはナンバー2の顔を見ていた。よく泣いたせいか目がはれぼったくなっている。タケオは人差し指で涙を拭った。
タケオ『とりあえず落ち着こう。泣いてばかりで美人が台無しだ。』そう言ってナンバー2をベッドに座らせて、その隣に自分も座った。タケオにとってナンバー2は娘のような存在だった。家事を教えているときも花嫁修業のつもりで教えていたのだ。
ナンバー2『出て行かない?』
タケオ『ああ。』出て行けば楽な余生が待っているのに泥船に残るのかあと思ったが、その場しのぎで今はそう言うしかないなと思った。しかし、本心から言ってないのをナンバー2に見透かされたのか、
ナンバー2『私の目を見て答えて!』ナンバー2は必死だった。教授が死んで、ナンバー3が裏切って、私のせいでタケオが出て行っていなくなったら、と考えたら胸が苦しかった。
タケオはナンバー2の目を見た。この娘はどうしてここにいることになったんだろうと思った。タケオはナンバー2がジャンヌダルクということを聞いていなかったのでまだそれを知らなかった。こんな娘が俺なんかに必死になっている。どういう境遇を過ごしてきたのか想像できないが、放ってはおけないと思ってしまった。そしてタケオは決心した。
タケオ『ここにいるよ。出て行けと言われるまでは。』そう答えた。
タケオのその言葉で十分だった。タケオはいつもストレートに言う。だからはっきり言ったときは嘘ではないのだ。それをナンバー2は知っていた。そして自分がタケオに抱いている感情もはっきりとした。だからナンバー2は、目を閉じた。
タケオは困惑した。どう見ても【キスして】の合図だ。ナンバー2のことを娘のように思っているのは本当だ。しかし、襲撃時に、そのナンバー2の裸を見ており、抱っこもして、ぬくもりも感じた。キスしたら歯止めがきかないだろうな、と思った。迷っていると、タケオの両腕をつかんでいるナンバー2の手に力が入ったのを感じた。タケオは覚悟を決め、ナンバー2の唇にキスをした。離れると
ナンバー2『大好き。』次はナンバー2からキスをしてきた。
タケオはそのままナンバー2を押し倒して………。
00XX年イエス=キリスト抹殺(未公開)
1765年10月28日カナダ森林でDBH
1893年06月15日ロンドンでDBH
1999年11月13日北京天安門広場でDBH失敗
1999年12月31日フランスでDBH
2016年05月某日富山に遭難
2038年02月14日東京でDBH
2041年10月某日仙台
2044年04月01日最初のタイムトラベル
2050年08月某日東京でショッピング
2056年01月22日ロシアでDBH
2080年全人類ICチップ管理化(未公開)
2127年04月05日アフリカ大陸北部
2XXX年発電胎バクテリア発見(未公開)
2XXX年バクタ―セル製品化(未公開)
2275年KASAによる宇宙コロニー完成
2XXX年人類滅亡(未公開)