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34.誤算

・消失の章:1~12話

消失という任務を実施する理由とは?

 その任務を遂行する各メンバーはどのような人物なのか?


・悲哀の章:13話~26話

 新たな仲間を探すダイブになっています。

 15話~18話 ナンバー4の出会いと別れ

 19話    ナンバー3について

 20話~22話 ナンバー1の出会いと別れ

 23話~26話 ナンバー4の決断


・裏切りの章:27話~(3日毎に更新)

 ステーションがメイン。

 27話~30話 少々退屈な話ですが、必要なので。

 31話~??話 Time Keeperの襲撃

その沈黙を破ったのはナンバー4の一言だった。

ナンバー4『タケオさん。こいつらTime Keeperだ。あのときの男の仲間だ。』

タケオ『あのとき?あ~!お前たちが俺の家を爆破した男の仲間なのか!弁償しろ。そうだな。五千万だ。言っとくが日本円だからな。』パスタマシンを投げ捨てて詰め寄ろうとしたとき足元で、パキッと音がした。

タケオ『ん。』足元を見た。

電磁波装置の割れた音だった。チャンが投げたものをタケオが気づかずに踏んでしまったのだ。ナンバー1が立ち上がった。ナンバー4もなんとか立ち上がった。

タケオ『なんだ。立てたのかよ。心配したぞ。』

ナンバー1『なんとかな。助かったぞ。』

ナンバー4『タケオさんが足元の装置を踏んで壊したおかげで動けるようになった。』

二人はそう言っているが、立ってるのがやっとなのが分かる。

なんだか知らないが相手が動かないなら先手必勝だと思った。まずはナンバー2にちょっかいを出そうとしている男からだ。

タケオ『ナンバー2から離れろ!』と言ってチャンに向かって行った。タケオは知らなかった。この男がかつての仲間のナンバー3で、実力はナンバー1にも引けを取らず、今回襲来したTime Keeperの中で最強の男だと言うことを。

チャンは、タケオを観察していた。年齢は50代ぐらいで禿げてて太ってる。いわゆる中年太りの男だと思った。その風貌がチャンを油断させた。向かってくる姿も完全に素人だ。適当にあしらえばいいと思った。懸念点があるとすれば電磁波装置が効かなかったということだ。そのことがいつもよりわずかに反応が遅れた。それらが重なったことが原因なのだが、それ以上にタケオが手の届く距離に入った瞬間、それ以降の動作スピードが速かった。チャンが気づいたときにはタケオに掴まれ、タケオが背を向けたのを覚えているが、そのあとは背中に激痛が走った。天井が見える。俺は倒れているのか?背骨を傷めたのか動けなかった。


ロキたちは目の前で起きたことが信じられなかった。隊長に勝ったチャンを一瞬で倒してしまったのだ。

ドジルは(この小太りの男は一見、戦闘力が無いようなのだが、目の前でチャンを倒した。チャンよりも強いのか。俺が認識できないレベルの強さなのか)と思った。それが反撃できない理由だった。ジャックは論外だが、ゾーンとこのタケオという男がいれば形勢逆転されると思い始めた。


ナンバー1は、驚いていた。タケオの動きが、いつもの訓練では見せたことがないくらい早かった。そしてチャンを投げた技は、柔道の背負い投げだと思った。間の詰め方から投げ終わるまでの一連の動きに、無駄がなく流れるような動きだと思った。チャンが油断していたこともあるが、能ある鷹は爪を隠す、ということか。


ナンバー4は、自慢げだった。よくわからないがさすがはタケオさんだと思った。


タケオは、チャンをそのままにして気を失っているナンバー2を抱っこしてナンバー1たちのほうに移動した。タケオはドキドキしていて高揚もしていた。柔道の投げなんて高校の授業以来だったのだ。なんとかうまくいったが、昔は、投げた相手のことを考えて掴んだ相手の服等を引っ張って落ちた時の衝撃を和らげるようにしていたのだが、今回は相手のことを考えずに投げ落とした。床が固いこともあるから相手はかなり痛かったはずだと思った。これで一人減ったはず。


ナンバー1はタケオの活躍を見てアドレナリンが分泌されて痛みが和らいできた。チャンが動けないなら今の状態でも勝てると思った。

ナンバー2『うーん。』タケオの腕の中で目を覚ました。タケオと目が合った。

ナンバー2『…タケさん。』

タケオ『もう大丈夫だ。立てるか。』ナンバー2を下ろしたが、脚に力が入らないようで、立てなさそうだ。もう一度抱っこしなおした。

ナンバー2『ごめんなさい。教授が。』

タケオ『見た。頭を撃たれてる。』

ナンバー2『ナンバー3が裏切って…あれ?倒れてる?』ナンバー3が倒れているのを見た。

タケオ『あの男、仲間だったのか。失踪したナンバー3?ふーん。』

ナンバー2『そうよ。』ナンバー1が倒してくれたのかしらと思った。いつの間にか痛みもなくなっている。

ナンバー1『俺じゃない。』ナンバー2の視線を感じて答えた。

ナンバー4『タケオさんがナンバー3を倒した。』

ナンバー2『えっ!』タケオの顔を見上げた。

タケオは、ナンバー2を見返さずにチャンに言った。

タケオ『ナンバー3さんよ。どういういきさつでいつから裏切ったのか知らないが、タイムベルトに仕込んであった隠しファイルのカウンターは取り除いたよ。』

チャン『!…見つけたのか?』倒れたままかろうじて頭を上げて答えた。この男は何者なのかと思った。

タケオ『やっぱりお前だったのか。教授は、ハードもソフトも問題はないと言っていたが、もしかすると隠しコマンドがあるかもと思って、デバッグして調べてたんだよ。”3C“で出てきたよ。二桁で助かったよ。』

ナンバー2『それって?』ナンバー1もナンバー4もキョトンとしている。

タケオ『プログラムが弄ってあってダイブの回数であるプログラムが動くようになってた。指定されたダイブ回数になると違う座標に飛ばされるようにな。このことは教授やお前たちにも言ってない。みんなは、ナンバー3を信じてたんだろ。新参者の俺の言うことよりもナンバー3を信じるだろうしな。』

ナンバー2『そんなことは…。』

タケオ『いや、俺だったらそう思うから。俺がそう思うのに、他人になぜ新参者の方を信じろと言える?でも3Cねえ。ナンバー3の”3”とチャンの”C”。単純すぎるわ。』

ナンバー1『タケオ。つまりナンバー4が遭難したのはナンバー3が原因ということか。』

タケオ『そうだ。』


ドジル『おい、今の話が本当なら、俺たちの仲間のバイエンを殺ったのはそこの切り裂きジャックなのか。てっきりゾーンが相手だと思ったんだが。』ジャックがバイエンよりも強いのは予想外だった。それにしてもゾーンがすでにすごい殺気を放っている。あれだけ痛めつけたのに。逆にタケオという男は全く殺気がない。そういう領域に達している達人なのか。三人とも想像以上だ。いやタケオの存在自体が想定外なのだ。

ナンバー4『いや、まあ、最後は俺のナイフで死んだんだけど。タケオさんがフライパンで頭を思いっきりぶっ叩いたんだよな。』

タケオは、ちらっとナンバー4を見た。要らんことを言うなと思ったのだ。俺がターゲットになるじゃないかと。

ドジル『この男が。…なにっ!フライパン?』フライパンでバイエンが死んだのか。暗器を使う元イスラエル暗殺部隊のバイエンが。この男はどこかオカシイ。背筋を冷汗が流れる。それを振り払うかのように笑いながら言った。

ドジル『ハハハハハ。だが、この任務は成功だ。お前たちのブレインは死んだ。そして、これでお前たちも終わりだ。』そう言ってBHB改のスイッチを押し、BHB改を投げた。早くこの場を去りたかった。タケオから距離を取りたかったのだ。

ナンバー1&ナンバー4『しまった!』

ドジル『お前たち、チャンに肩を貸してやれ。』

ロキは沈黙のままチャンに肩を貸した。自分が銃で撃てばあのタケオという男は即死だろう。だが、それをしなかった。この任務についてディーン神父様からは、最優先はネモ教授の抹殺、次はゾーンをできれば殺さない。その他のメンバーの生死は問わないことだった。だが、このタケオという男は、リストに無かった。だからロキは銃を向けることをしなかったのだ。これは元殺し屋としてのプライドだった。

ドジル『解除不可のブラックホール爆弾だ。ハハハハハ。』

ナンバー1とナンバー4は、BHB改の性能を知っている。そして時空間に投げ捨てるわけにはいかないことも。少なくとも次元渦の隙間のこのステーションの場所なら時空間への影響も少ないかもしれない。そうなるとこのステーションを犠牲にするしかないと思った。

ナンバー1『俺たちも…』そのあとの言葉が出なかった。

ドジルたちが食堂から出る際に、振り返った。そして叫んだ。

ドジル『やめろ!何をする!』

タケオがBHB改に足を乗せたのだった。




そしてその足に力を入れて踏みつけた。

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