22.候補者②Part3
・消失の章:1~12話
消失という任務を実施する理由とは?
その任務を遂行する各メンバーはどのような人物なのか?
・悲哀の章:13話~25話ぐらいを予定
新たな仲間を探すダイブになっています。
15話~18話 ナンバー4の出会いと別れ
19話 ナンバー3について
20話~22話 ナンバー1の出会いと別れ
23話~ ナンバー4の決断
ナンバー2と麻希は、国分町を歩き、ショッピングや飲食を楽しんだ。チョーカーのおかげで変に目立つこともなく、ナンパされること以外は、問題は無かった。麻希はとても楽しんでいるように見えた。ナンバー2もまたいつも女一人だったので同性とのショッピングは任務を忘れてしまうほど楽しかった。
ナンバー4は、辻斬り=徳田 新一 について聞いて回った。チョーカーのおかげで美男子になっており、女子高生から声をかけられたことで、情報を仕入れやすかった。
・成績優秀で剣道も強く女生徒に人気がある
・生徒会長で先生からの信頼が厚い
・裕福な家庭、地主で親は県議会議員
・兄弟は、いない
・親戚に年の近い男子がいるかは不明(さすがに知らないようだ)
等々、嫌なうわさは無かった。
ナンバー1は、ナンバー4からの報告を黙って聞いていた。そして
ナンバー1『仲間は諦めよう。』傷口の箇所を触りながら『二日後に終わりにするぞ。』と言ったとき
麻希『食事でーす。』と言ってナンバー2とともに部屋に入ってきた。
麻希『なんとステーキです。もちろんアリサさんのおごりですけどね。ここに置いていくね。』
ナンバー2『私たちはキッチンで食べるわ。』ナンバー4とともに出て行った。
麻希『一人で寂しい?一緒に食べてあげようか。それとも食べさせて欲しい?』からかうように言ってきた。
ナンバー1『静かでいい。』
麻希『あっそう。ところで何か感想はないの?』服をみせびらかすように一回転してみせた。
ナンバー1『目を回すぞ。』
麻希『む~。しらない!』ほっぺを膨らませて出て行こうとした。
ナンバー1『まあ、似合ってるぞ。』
麻希は聞こえないふりをして引き戸を閉めた。その顔はとても嬉しそうだった。
その日の夜。
三人が話をしていた。母親と麻希は寝ている。
ナンバー1『ナンバー4には言ったが二日後にケリをつける。この親子に関わりすぎている。』
ナンバー2『そうね。なぜか感情移入してしまったわ。深く関われば不幸になるわ。それで仲間にするの。』
ナンバー1『いや。ナンバー4に調べてもらったが、俺の独断で抹殺したほうがいいと判断した。』
ナンバー4『勝てるのか?』
ナンバー1『刀の間合いが変わった理由は分からないが、そんな小細工は今度は通じない。』
次の日の朝
麻希『今日も学校休んでもいい?』
母親『休んでもいいけど今日はバイトでしょ。バイトも休む?』
麻希『そうだった。バイトはもうシフトできないし…学校行くわ。』
ナンバー2『今夜は私が夕食を作っておくから一緒に食べましょ。』
麻希『うん。』
麻希が登校するために出て行こうとしたら、ナンバー1が部屋から出てきた。
麻希『もう動いて大丈夫なの?』
ナンバー1『ああ。リハビリがてらに家の修理しようか?』室内に目をやり、そう言った。
麻希『本当に!ありがとう。結構あちこちガタがきてるの。道具とかはお母さんに聞いて。行ってきまーす。』
ナンバー1は黙って見送った。
ナンバー1とナンバー4は家の修理をしていた。夕方にダイニングからカレーのにおいがしてきた。
ナンバー4『ここでもカレーか。』苦笑した。ナンバー2が料理すると聞いて嫌な予感がしていたがやっぱりカレーだった。
夜21:00
ナンバー2『麻希ちゃん、遅くまで頑張ってるのね。』
母親『ええ、私がこんな体でなければ、あんな苦労させなかったのに。』
ナンバー2『いい娘ね。』
ナンバー1『話の途中だが、今言っておく。明日、出ていく。世話になった。』
母親『!』びっくりした顔をしたあと悲しい顔になり『そう。麻希のためにもっと居てほしいけど仕方ないわね。…その話は夕食を食べた後にしてくれませんか。きっとあの娘は食べれなくなりそうだから。』
ナンバー1『分かった。』
ナンバー2『私からするわ。』
ナンバー1『そうしてくれ。』そう言ったあと、どこか一点を見つめて動かなくなった。そして
ナンバー1『本来、今日はバイトではなかった。………』目を閉じて何かを考えてるようだ。
母親『ええ。』
ナンバー2『どうかしたの。まさか!』
ナンバー1は目を開け
ナンバー1『ちょっと出かけてくる。…いや、迎えに行ってくる。二人はここにいろ。』そういうと出て行った。バイト先は知らない。だが出会った場所に行けば奴の気配を感じるかもしれない。辻斬りを始末すれば彼女は安全だと思った。ナンバー1は急いだ。記録では女子高生の被害は無かった。だが、自分たちのせいで彼女の行動にズレが発生した。本来、今夜は出歩くことはなかったはずだ。いつもの自分なら人が一人死ぬかもしれないだけなのだと思い、予定通り明日始末するために行動するだろう。なぜか彼女を助けたいと思った。恩がある。それだけなのか?理由は帰ったら教授に聞いてみようと思った。この巡り合わせに。
某所
ここで彼女と出会った。ナンバー1は、目を閉じて周囲の気配を感じ取った。そして走り出した。彼女の気配の方へ。そして奴の気配の方へ。
麻希は、家路を急いでいた。いつもの道なのに誰かがいるような感じがした。先日、辻斬りがあった近くなので不安だが逆に同じ場所で辻斬りは無いと思い、痴漢かもと考え、立ち止まり、護身用のスタンガンをカバンから取り出し握りしめたとき胸に抱えていたカバンが落ちた。縦に二つに分かれて。服も斬られている。肌には傷がない。紙一重の腕前だ。
辻斬り『逃げるか、諦めるか、それともそれで抗うか。三択だがどれにする。』にやりと笑った。
麻希『あなたは、…仙台〇〇高校の徳田さん?どうして…。』斬られた服を押さえながら聞いた。
辻斬り『ほお~。俺のことを知っているのか。だが残念だ。お前の知っているのはもう一人の俺だ。』そう言ってゆっくりと刀を上げていった。
麻希は、逃げても殺されると思った。スタンガンで戦う?無理!諦めるしかない。涙が流れた。
辻斬り『お前もか。つまらん。』そう言って刀を振り上げた。麻希は目を閉じた。脳裏には母親の顔が浮かんだ。そしてナンバー1の顔も。だが、いつまでたっても痛みを感じない。斬られていない。おそるおそる目を開けると、辻斬りは後ろを向いている。辻斬りの向こうにナンバー1の姿を見た後、気を失った。
辻斬り『やっと会えた。探したぞ。危険を冒してここに来た甲斐がある。』
ナンバー1は麻希を見ていた。そして刀身に血がついていないのを確認し安堵した。
ナンバー1『二重人格か。もう一人のお前は、今のお前の存在を知っているのか。』
辻斬り『鋭い洞察力だ。もちろん知ってるさ。今も頭の中でうるさいが。それがどうした。』上段の構えをして言った。
ナンバー1は両手を下げた状態で立っている。
辻斬りが動いた。袈裟切りだった。動いても追尾して斬る。そして、右脇腹の怪我は治ってないと見て、そこを狙う予定だった。だから予想外だった。ナンバー1が前に出たのは。刀はナンバー1の左肩を斬って止まった。抜けない。そう思ったとき、顔面に痛みと衝撃が走った。ナンバー1の左手が辻斬りを掴んでいたので、右こぶしでなぐられたのにもかかわらず吹き飛ぶことも倒れることもできなかった。そして腹に一発。ナンバー1が手を離すと辻斬りは倒れた。肩に食い込んだ刀を抜いて辻斬りのそばに落とした。
ナンバー1『もう一人の徳田。意識をしっかり持て、いまなら打ち勝てるぞ。』
辻斬り『…痛い。助けて。俺の中の殺人鬼を殺して。この刀で俺ごと殺してほしい。』と涙を流しながらナンバー1を見た。
ナンバー1『分かった。』これが自害の理由か。自分は犯人ではないが犯人を殺すには自害しかなかったのだ。そのとき右脇腹に痛みが走った。辻斬りはにやりと笑った。刀を渡すふりをして刺したのだ。入れ替わってはいなかったのだ。
辻斬り『夜は俺の時間だ。この弱虫は出てこないさ。ハハハハハ、がっ。』
ナンバー1は、無表情で辻斬りの顔を殴りつぶした。そして刀を抜いて『今回は甘いな。』とつぶやいた。
ナンバー1は、麻希を背負い歩き出した。
しばらく歩くと
ナンバー1『起きたか。』
麻希『ありがとう。でもこういうときは、怪我は無いかと聞くんじゃない?』
ナンバー1『確認した。怪我はなかったぞ。』そういって背中から降ろした。
麻希『えっ。』自分の姿を見た。ブラが見えている。
麻希『見たの。』
ナンバー1『見た。ピンク色の可愛い柄だな。下とお揃いなんだな。』実際にはスカートの中は見ていない。そんなことは想像がつく。冗談っぽく言ったつもりだったが、麻希は泣き出した。しばらく麻希は泣いていたが、ナンバー1が何も声をかけてくれないので泣くのをやめた。
ナンバー1『行くぞ。』泣き止むまで待ってくれていたらしい。
麻希『ダイキライ。』と言って歩き出した。
遠くに家が見えた。
麻希『月が綺麗ね。』と立ち止まり空を見上げて言った。
ナンバー1『そうだな。』同様に立ち止まり空を見上げて返事した。
麻希『はあ~。』溜息をついて家に走り出した。そして家の前で待っていたナンバー2に抱きついた。
ナンバー1『たしか夏目漱石だったかな。その気持ちには応えられない。』とつぶやいて遅れて家に入っていった。教授の翻機のおかげで様々な国の本を読むことができるので時間があるときに読書をしていたので無駄に知識があった。
母親から何度もお礼を言われ、怪我の手当てをしてからカレーを食べた。そして別れのことを聞いて麻希は一晩中泣いた。
麻希の泣き声が時折聞こえる。眠れないのだろう。
辻斬りのことを聞いた後
ナンバー2『あなたのことが好きなのよ。』
ナンバー1『知ってる。それには応えられない。』
ナンバー4『キスぐらいしてやればいいんじゃないか』アレクサンドラとの経験から言っているようだ。
ナンバー1『そういう思い出は作らない。時が解決してくれる。』結局、何も行動しなかった。
別れの日。
麻希は、朝食も食べずに部屋にこもったままだった。当然、学校は休んだ。
母親だけが見送りに出た。
ナンバー2『体に障ります。休んでいてください。いろいろとありがとうございました。』
母親『麻希は、あの通りでごめんなさい。こちらこそありがとうございました。』
ナンバー1『世話になった。』
ナンバー4『ご飯うまかった。』
三人は礼をして出て行った。
そのとき二階の窓が開いて『ゾーンのばかあ~。』と麻希の大きな声が聞こえた。
見上げると麻希が笑顔で手を振って『また会えるよね。』と叫んだ。
三人も手を振った。しかし誰も頷かなかった。
しばらく歩き、周りに人がいないことを確認し、ナンバー1が『戻るぞ。』と言い三人は消えた。
STステーションの出入口。
ナンバー2『教授!ナンバー4が…』
教授は茫然としていた。二人しかいない。
ナンバー1『ナンバー4が遭難した。』
登場人物紹介(22話まで)
Time Breaker
・ネモ教授 :65歳 インド出身 リーダー 本名ラマラガン(元大学教授)。
・ナンバー1:50代前半 190cm ロシア出身 屈強怪力 本名ゾーン アーミーナイフ所持。
・ナンバー2:22歳 160cm フランス出身 長髪で美人 剣を背負っている。
・ナンバー3: 165cm位 アジア系 精悍な顔つき 行方不明。
・ナンバー4:20代後半 170cm55kg イギリス出身? 茶髪で茶色の目 ナイフ所持。
・ナンバー5:1歳前後? カナダ出身 グリズリー。
・ナンバー6:1歳前後? カナダ出身 グリズリー。
その他
・アレクサンドラ・ボーニッシュ:26歳 その人物の情報を知る能力持ち。ナンバー4と相思相愛。
・遠藤麻希:女子高生 ナンバー1を好き。
用語
・BHB:ブラックホール爆弾。半径50mの全てを消失させることができる。
・DBH:?
・STステーション:5人と2匹の基地?




