19.失踪回顧~ナンバー3~
・消失の章:1~12話
消失という任務を実施する理由とは?
その任務を遂行する各メンバーはどのような人物なのか?
・悲哀の章:13話~25話ぐらいを予定
新たな仲間を探すダイブになっています。
15話~18話 ナンバー4の出会いと別れの話です。
19話 ナンバー3について触れます。
2XXX年某所。宮殿のような建物内。
ある男『神父様、そろそろ動かれてはどうでしょうか?』
神父『私に指図するのか。ドジル。』振り向かずに聞いた。もっとも顔は頭巾で覆われていて分からなくなっている。
ドジル『いえ、申し訳ありません。』180cm、100kgの巨体が小さくなったように感じた。
神父『まあいい。お前の言う通りだ。動こう。奴らから離脱する者が出るはずだ。その者を見つけ抹殺せよ。』
ドジル『彼らから離脱者ですか。…承知しました。』
広い講堂。
数十人が集まっている。誰もが手練れと分かる。突然静かになり緊張が走る。
一人の男が台の上に上がったのだ。
ドジル『ディーン神父様よりご神託を頂いた。もうすぐ奴らから離脱するものが出る。その者を見つけ抹殺せよ。』
人々の歓声が上がった。
バイエン『そいつはあの女だったらいいのにな。』
ロキ『俺は、ロケットランチャーを退けた大男だと面白いと思うぞ。』
ドジル『あの大男は止めておけ。戦えば犬死するだけだ。そもそも我々のうちの誰が見つけれるかは分からないからな。』二人に近づいてきて言った。
ロキ『かなり強いんだな。隊長とどっちが強いんだ。』
バイエン『そりゃもちろん、隊長が。』
ドジル『あの男だ。俺では歯が立たないだろうな。』話を遮るように言った。
バイエン『そこまでかよ。ところで離脱者の世界の特定は、やはり神父様の力でも無理なのか。』
ドジル『もっと時間があれば可能かもしれないが、現時点では、精度はこれが限界らしい。それでも奴らのものよりもかなりの高精度だぞ。』
ロキ『そうだな。』
STステーションの教授の部屋。
教授は、椅子に座っていた。前回、仲間の勧誘に失敗したことで次のダイブをどうするか考えていた。いつもの任務か。候補者探しか。ナンバー1の提案を最優先しようか迷っていた。
ナンバー1の過去の清算ダイブは、おそらくナンバー1一人で行くと言うだろう。他の二人では足手まといになるかもしれない。そうなるとナンバー3のこともある。慎重になったほうがいいと思い、ナンバー3のことを思い出していた。
数カ月前。
STステーションのモニター室。
天安門ダイブ後に3回任務を行い、あることを確信してしばらく任務を中止することを話していた。
ナンバー2『私たちが不甲斐ないからですか。』悲しそうに言ってきた。
教授『そうではない。私の考えが甘かったのだ。デッドポイントの累積効果を狙ったのに、逆にそれを利用されていたのだ。』
ナンバー3『それはどういうことですか。』
教授『地球のクロスポイントのズレ修正を利用して未来改ざんを狙ったが、地球は、逆にフェイクのクロスポイント作り、我々にそのズレを修正させるように仕向けていたのが分かったのだ。今は、クロスポイントがフェイクかどうかを見極める解析が必要になった。だからしばらく中止することにした。』
ナンバー1『それなら時間を有意義に使わせてもらおう。ナンバー3、相手をしてくれ。』教授が何を言ったのかよく分からないが時間があるというのは理解できた。
ナンバー3『申し訳ないが、タイムベルトのメンテをしたい。低温対策もしたいしな。他にも考えてることがあるから教授と相談しながら開発に集中したいんだ。悪いな。』
ナンバー1『そうか。』ナンバー2とナンバー4を見たが、『一人でやるか。』とつぶやいた。
ナンバー2は、ホッとしたが、ナンバー4は無視されて悔しかった。
ナンバー4『俺を徹底的に鍛えてくれないか。』
ナンバー1『いいだろう。今から行こう。』とナンバー4を連れて行った。
だが、この期間にナンバー4に戦闘の才能がないことが分かり、ナンバー4はさすがに落ち込んだ。そんなナンバー4を見て、ナンバー1から別の可能性の提案をされ、ナンバー4がそれを求めることになるとは思わなかった。
STステーションの研究室。
教授は、ナンバー3からの改良案を聞いてそれに対してアドバイスをしながら作業を見守っていた。戦闘力もナンバー1に引けを取らず、メンテやSEとしても優れている。過去のことから正義感もメンバー中一番強いだろう。私の後継者になってくれると思っている。
ナンバー3『教授、これでどうでしょうか?』図面を差し出しながら聞いた。
教授『斬新なアイデアだが、回路が大きくなってタイムベルトには大きすぎるな。』
ナンバー3『その辺りは大丈夫かと思います。2200年以降で探せば小さい集積回路が見つかると思います。幸い、時間があります。自分一人でダイブして探してきます。万が一に備えてタイムベルトを二つ持っていけば大丈夫でしょう。』
教授『確かに、二つなら安心だろう。それにナンバー3なら謎の敵と遭遇しても戦えるだろう。』
別の日。
ナンバー3『教授、低温対策はこれでOKだと思います。次は、予備バッテリーの保管・搭載についてですが、明日ダイブして部品を探してこようと思います。』
教授『開発は助かるが、少しは休んだらどうだ。たまには、ナンバー1の相手をしてやるのも気分転換にいいのではないか。』
ナンバー3『…そうですね。次のダイブ後に一休みします。』
次の日の朝、ナンバー3は、いつものようにダイブして必要なものを探しに行った。だがいつもと違うのは、なぜかタイムベルトを一つしか持って行かなかったことだった。単独ダイブでは常にタイムベルトを二つ持って行っていたのがなぜ今回は一つだったのか。理由は分からなかった。この単独ダイブ以降、ナンバー3はSTステーションに戻ってこなかったからだ。謎の敵に殺されたのか?それとも機器の故障で戻れなくなったのか?それを知る方法は無かった。
教授は、思い出しながら、これ以上仲間を失いたくないと思った。リスク回避のために、やはり候補者探しが最優先だと思った。
登場人物紹介(19話まで)
Time Breaker
・ネモ教授 :65歳 インド出身 リーダー 本名ラマラガン(元大学教授)。
・ナンバー1:50代前半 190cm ロシア出身 屈強怪力 本名ゾーン アーミーナイフ所持。
・ナンバー2:22歳 160cm フランス出身 長髪で美人 剣を背負っている。
・ナンバー3: 165cm位 アジア系 精悍な顔つき 行方不明。
・ナンバー4:20代後半 170cm55kg イギリス出身? 茶髪で茶色の目 ナイフ所持。
・ナンバー5:1歳前後? カナダ出身 グリズリー。
・ナンバー6:1歳前後? カナダ出身 グリズリー。
その他
・アレクサンドラ・ボーニッシュ:26歳 その人物の情報を知る能力持ち。ナンバー4と相思相愛。
用語
・BHB:ブラックホール爆弾。半径50mの全てを消失させることができる。
・DBH:?
・STステーション:5人と2匹の基地?




