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15.候補者Part1

・消失の章:1~12話

消失という任務を実施する理由とは?

 その任務を遂行する各メンバーはどのような人物なのか?


・悲哀の章:13話~25話ぐらいを予定

 新たな仲間を探すダイブになっています。

 今回は、ナンバー4の出会いと別れです。


STステーションのモニター室。

教授『今は三人で任務を実行してもらっているが、やはりもう一人増やそうと思うが、どうだろうか。』

ナンバー2『それは、ナンバー3のことを…。』

教授『仕方ない。今は、ナンバー1一人とナンバー2&ナンバー4のコンビになっている。やはり安全面から最低二人で行動してほしいのだよ。』

ナンバー1『一人でも問題は無いが、そうだな、一人増やすのはいいが、高い戦闘力のある者がいいな。ナンバー4はまだあの技は使えないからな。』

ナンバー4『痛いところをついてくるな。まあ、本当のことだからな。教授、ナンバー1の条件をクリアする奴なのか?』

ナンバー2『奴ですか。女性の可能性もありますよね。』

教授『ナンバー2、候補者は残念ながら男だ。データから強いと思うが、どの程度かは分からない。だが、残虐性はある。あとは会って判断してほしい。不要なら抹殺してもいい。謎の敵のことがあるから接触した痕跡はできるだけ無くしたい。』

ナンバー1『了解だ。では、会ってみよう。』

教授『うむ。ダイブ先は、2127年のアルジェリビアだ。候補者は…。』


2127年4月5日17:00 アフリカ大陸北部アルジェリビア(サハラ砂漠)

ナンバー2『見事に砂漠ね。何にもないわね。』

この時代にはアフリカ大陸の三分の二が砂漠化している。

ナンバー4『それよりも寒いぞ。砂漠は暑いんじゃないのか。』

ナンバー1『時間帯もあるが、この時代になるとお前が知っている砂漠のイメージとはもう違う。ダイブ前に学習してないのか。寒く感じるなら精神集中でコントロールしてみろ。そのくらいなら少しはできるんだろう。』

ナンバー4『…まあな。』わずかだが、修行の成果が目に見えて分かるようになってきた。気温への対応が少し可能になってきたのだ。しかし、欲しているレベルにはまだない。先は長いと思っている。

ナンバー2『候補者の詳細な所在は不明だったわね。』教授の話では、候補者はサハラ砂漠のどこかにいるらしいとのことだった。反政府軍とのことで探索阻害に長けているらしく、場所は大まかなことしか分からなかった。

ナンバー1『北に向かおう。俺なら北に拠点を構える。』

ナンバー4『なんでだ。』

ナンバー1はナンバー4の問いには答えず、歩き出した。ナンバー2とナンバー4も後を追った。


18:30

一時間半歩き続けた。今までのナンバー4なら文句を言っていたが、無言で歩き続けている。逆にナンバー2が辛そうにしている。ナンバー4がナンバー1に一息することを提案しようと思ったとき、ナンバー1が立ち止まった。だが理由は別だった。

ナンバー1『人の気配がする。』振り返り二人を見る。ナンバー2を見て、『少し休憩してから行ってみよう。』

ナンバー2『ごめんなさい。』座り込んで謝った。

ナンバー1『気にするな。』砂漠の上をよく歩いたほうだと思っていた。ナンバー4が想像以上に成長しているのを感じて嬉しく思ったが、褒める気はなかった。


18:50

携帯用のスティック状の物を食べ、水分補給を済ませて三人は歩き出した。


18:55

明かりが見えた。キャンプのように見える。

ナンバー1『五人だ。』

ナンバー2とナンバー4は警戒している。このサハラ砂漠地帯には、反乱軍というか犯罪者が集まっているのだ。まともな人はいないはずだ。

ナンバー2『こんばんは。』他の二人だと警戒されるため最初のコンタクトはナンバー2の役目だった。男が二人、女が一人おり、火を囲んでいる。ナンバー1は五人と言っていた。おそらく隠れて様子を伺っているのだろう。

男の一人は、無言でじーっとこちらを見ている。

女性『こんばんは。ここで人に遭遇するなんて運命を感じるわね。』

別の男『目的は?どこに行く?』

女性『ここに来る人間にそんなことを聞くのかい。襲うんなら不意打ちするだろうし、それが目的でないなら良いわよ。座って温まりなよ。』

ナンバー2『ありがとう。』

ナンバー1『助かる。寒くてな。』大男が寒いと言うのでその場の緊張が和らいだ。

無言だった男(男1)『何かないのか?』

ナンバー1は無言で、その男に瓶を投げた。

男1『ウイスキーか。言ってみるもんだな。』笑顔になった。その男はすぐに蓋を開け、そのまま少し飲んだ。

男1『本物だ。久しぶりに飲んだよ。』男2に渡すとすぐに口をつけた。

男2『うまい。お前らいいやつだな。』

ナンバー2『そうかしら、それに毒や睡眠薬が入っていたらどうするのかしら?そんなことは考えなかったの?この砂漠にいるのに。』ナンバー2らしからぬ挑発だった。

女性『その時は、死ぬだけさ。ここに来た時点で覚悟しているさ。』

ナンバー2『アリサよ。人を探しているの。世界を転覆させるために仲間にしたくて。』手を差し伸べた。

ナンバー4『おい!』

女性『バネッサよ。』手を出して握手した。

ナンバー2『隠れている二人は?』

バネッサ『へえ~。サム、イエン。ばれてたよ。』笑いながら叫んだ。男が二人出てきた。五人とも30代~40代といったところか。

バネッサ『いつから知ってた?』容器を渡してきた。

ナンバー2『最初から。』ともらった容器に飲み物が入っている。飲んでみたらハーブティーだった。

ナンバー2『美味しい。』思わず本音で言ってしまった。

バネッサ『美味しいだろ。お酒なんかよりもこっちだよ。ところで誰を探してるんだい。』

ナンバー2『アレクサンドラ・ボーニッシュ。』

その名前を聞いた途端。男四人が即座に立ち上がりレーザー銃を三人に向ける。

バネッサ『どこの国の犬だ。』どうやらバネッサがリーダーのようだ。静かにそして威圧的に聞いてきた。

ナンバー2『犬ではないわ。』ナンバー1とナンバー4を手で制止しつつ答えた。

バネッサ『彼女は、この砂漠のそして我々のオアシスよ。教えるわけにはいかないわ。』

ナンバー2『それは知っているということね。見ての通り私たちは黒色。そして犬ではなく黒豹よ。』ナンバー2が立ち上がった。

それが合図だった。男たちのレーザー銃から熱線が照射された。三人のいた場所から煙が上がる。バネッサが手を上げ照射を止めさせた。三人の死体から情報を集めるためだった。しかし三人の死体はおろか姿が無かった。



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