14.ショッピング
・消失の章:1~12話
消失という任務を実施する理由とは?
その任務を遂行する各メンバーはどのような人物なのか?
・悲哀の章:13話~25話ぐらいを予定(3日毎更新予定)
新たな仲間を探すダイブになっています。
STステーションモニター室。
教授『明日のダイブ先は、2050年東京だ。』
三人『?』
教授『私の知っている時代の少し未来だ。電子部品も分かるものが多いし、ナンバー1も知っている時代だからいいだろうと思い、その年を選んだ。2100年以降だと、セキュリティーの問題で買い物が難しくなるのでな。』
ナンバー1『そうだな。2080年を過ぎると買い物には個人IDが必要だ。俺たちには無理だな。』
教授『うむ。一人だけならなんとかなるが全員のID偽造は厳しい。あとはこれを渡しておこう。』
ナンバー2『首輪?』
ナンバー4『奴隷?』
教授『私が装着してみよう。』自らの首に嵌めてスイッチを押す。
三人『!』教授が日本人になった。
ナンバー2『これは!』
教授『認識阻害チョーカーだよ。今回は日本人として認識されるように設定してある。日本はどうしても外国人がいれば目立ってしまう。任務に支障をきたすかもしれないと思って作ってみたんだよ。どうかな。』
ナンバー1『面白いな。だが、体格は変わらないんだな。』190cmの日本人だ。これはこれで目立ちそうだ。
ナンバー2『服も変わればいいのに。』ちょっと残念そうに言った
ナンバー4『中々いいな。』好青年になっていた。
教授『体格や服については考えてなかった。改良の余地ありだ。明日のダイブには間に合わないのでそのまま使用してほしい。』
2050年8月某日11:00 東京。
ナンバー4『暑い。』かなりのイケメン青年の姿だ。
教授『では、解散だ。集合時間は、三時間後の14時00分にこの場所にしよう。ナンバー1、ナンバー4それぞれ買い物を頼んだよ。』
ナンバー1『分かってる。日用品だな。あの建物に行けば揃ってるだろう。』
ナンバー4『俺は食料品担当だが、どこに行けばいいんだ?』
教授『大体、大きい建物の地下が食料品売り場になってるはずだよ。』
ナンバー4『そうか。ナンバー1と同じ建物に行けばよさそうだな。』
教授の行き先は、もちろん秋葉原だった。教授は、手あたり次第に買い物をしていた。必要かどうかは使ってみなければ分からないと思い、いろんな店で買い物をしていった。荷物は、専用のカバンに入れて一杯になればステーションに送付できるように設定してある。5つ目のカバンを送ってからようやく一息ついた。
教授『ふ~。』汗を拭いて『これだけ送ればいいだろう。時間は…。』移動時間を考えると15分ほどしかなかった。
教授『中途半端な時間が余った。もう一軒、適当に買うには丁度の時間かな。』
もう一軒でいろいろ買い漁ったあと、教授は、満足気に約束の場所に向かった。
ナンバー1は、某百貨店で日用品を買っていた。190cmの大男が大量の日用品を買い漁るので、かなり目立っていた。しかも、買ったものをどこに置いてきているのか手には持っていないのだ。何度も目撃していた店員やお客は不思議に思ったが、話かけることはなかった。ナンバー1は、見た目は大柄な日本人だが、根は元ロシア軍人だ。話しかけるなオーラを醸し出して寄り付けなくしていた。手に持っているリスト表にペンで丁寧に買ったものをチェックして忘れていないか確認していた。意外にもかなり几帳面な性格なのだ。一つのミスが死につながる任務に就いていたせいかもしれない。
ナンバー1『リスト表のものは全部買えたな。あとはこっちのリストの分か。』気が重かった。ナンバー2の必要リストだ。ナンバー2は不参加だった。
ナンバー4は、いわゆるデパ地下で食べまくっていた。初めてのデパ地下だった。圧倒されたがタダで食べれるものがあったのに驚き、歓喜した。試食と呼ばれる文化のすばらしさを堪能し、買い物は忘れてしまっていた。しかし、イケメン青年を周りの婦人たちが放っておかなかった。いつのまにか大勢の婦人に囲まれ大量の食べ物、クッキー、ケーキ、デザートを貰ってしまっていた。人生初めてのモテ期だと思った。ナイフがあれば軽く振り回すだけで数人は切れそうだと思ったが、ナイフはステーションに置いてきた。手元にある大量のお菓子を見ていてようやくリストのことを思い出した。何も買っていない。しかもリストにないお菓子ばかり手元にある。周りを見た。誘惑いっぱいの食べ物の景色だ。普段カレーばかりなのが悪いのだと思ったが、買わなければやっぱりカレーになる。でも面倒くさい。どうしようかと考え、
ナンバー4『私は会社のイベントで使用する食べ物をたくさん買いに来ています。みなさんともっとお話ししたかったのですが残念です。』と残念そうにみえない顔でおもむろにリストを眺めた。
婦人の一人『私に任せてください。』とリストを取り上げて言った。それが発端に次々と別の婦人たちがリストを持って行った。ナンバー4は、ほくそ笑んだ。そして貰ったお菓子を食べて待つことにした。
ナンバー1は、あるものを買いに来ていた。そしてその商品のコーナーをうろうろしていた。ナンバー2が個人的に買おうとしていた生理用品だった。ダイブ当日に生理痛がひどくて留守番することになったのだ。薬を飲んで行くと言っていたが、それでも辛そうだったので代わりに自分が買うことにした。昔、恋人のために買いに行ったことがあるから問題ないと言って引き受けたのはいいが、恋人でない女性のものを買うのは、想像以上に恥ずかしかった。うろうろしているナンバー1を見ていた女性客が何かを話していたが、気づいていなかった。おそらく今襲撃されたら確実に殺されるだろう。そのくらい周りのことが目に入っていなかった。その姿を見ていた一人の店員が、勇気を出して聞いたようだ。
店員『お客様、奥様のものをお探しでしょうか?どのメーカーか分かりますか。』
ナンバー1『…』無言で指差した。
店員『こちらのナプキンですか。いくつ必要でしょうか?』
ナンバー1『全部』消え入るような声で言った。
店員『恥ずかしくないですよ。奥様のために買い来られるなんて素敵な旦那様ですね。』笑顔で話してきた。
ナンバー1『ありがとう。』やはり小さい声だった。だが、その店員の顔が天使に見えた。そしてリストを渡して他に必要なものも揃えてもらった。清算を終えて、
ナンバー1『助かった。ありがとう。』店員の顔を見て言った。店員は笑顔で応えてくれた。
ナンバー2は部屋で休んでいた。薬のおかげで大分良くなっていた。この状態でダイブしても現地でダウンしていたかもしれない。その場合は、みんなに迷惑をかけたと思う。ナンバー1が代わりに買い物をしてきてくれると言ったときは恥ずかしかったが、お願いすることにした。昔の恋人で経験があると言っていた。ナンバー1は、とても強くそして優しいのね。ナンバー1が恋人だったらと考えてみたが、自分の中にそんな気持ちの欠片すらないことに気づいて苦笑した。動けるようになったから、格納庫を覗いて見ようと思った。そろそろタイムバッグが届いているはずだから。
13:48ハチ公前。
教授は、すでに着いており、ソフトクリームを食べていた。
しばらくしてナンバー1が合流した。
その後ナンバー4が走ってきた。
教授『そんなに走ってこなくてもまだ時間はある。』
ナンバー4『はあはあはあ。』汗びっしょりだった。『諸事情で走ってきた。暑い~。』婦人たちからなんとか逃げてきたのだ。
教授『二人ともソフトクリームでも食べるか。それから戻ろう。』
ナンバー4『賛成。』
教授は、ソフトクリームを買いに行った。待っている間に
ナンバー1『問題は無かったか。』
ナンバー4『なかったと言えばなかったし、あったと言えばあった。でも心配するような問題ではない。』
ナンバー1『そうか。』
教授が戻ってきた。ソフトクリームを三つ持っている。
ナンバー4『ソフトクリームを持ってダイブしても大丈夫か?』
教授『ん?持って帰らんよ。』二人にソフトクリームを渡して、残った一つを食べ始めた。
ナンバー4『ナンバー2に買ったんじゃないのかよ。』
教授『暑いからもう一つ食べたくなっただけだ。』笑っていた。
食べ終わり、帰還することにした。
平和なショッピングだった。
STステーションの食堂。
教授は、ナンバー2に怒られていた。用途不明の部品を大量に買って、格納庫内がひどい状態だからだ。教授の言い訳は全く通じなかった。後悔した。ナンバー2にアイスのお土産を買ってこなかったことに。
第2格納庫。
ナンバー1は、ナンバー2と日用品を整理しながらお礼を言われた。恥ずかしくなかったかと聞かれたが、無言で並べていた。ナンバー2のお礼の言葉よりあの店員の笑顔が脳裏に浮かんだ。しかし、もう会う機会は確率的に無いのだと思い、首を振った。
第1格納庫。
ナンバー4一人で整理していた。ナンバー2にこの格納庫で貢物のお菓子等を見つけられ、理由を問われ、適当に誤魔化したが、誤魔化しきれずに最後は根負けして正直に話したところ、全部没収されてしまった。でもナンバー2はそのお菓子を持って、この紙の通りに整理するように言ってご機嫌で出て行った。結果オーライだ。
2050年8月。
某百貨店。
ある店員が突然倒れた。ナンバー1と会話をしたあの店員だった。彼女は、原因が分からない意識不明と診断された。
登場人物紹介(13話まで)
Time Breaker
・ネモ教授 :65歳 インド出身 リーダー 本名ラマラガン(元大学教授)。
・ナンバー1:50代前半 190cm ロシア出身 屈強怪力 本名ゾーン アーミーナイフ所持。
・ナンバー2:22歳 160cm フランス出身 長髪で美人 剣を背負っている。
・ナンバー3: 165cm位 アジア系 精悍な顔つき BHB設定担当。
・ナンバー4:20代後半 170cm55kg イギリス出身? 茶髪で茶色の目 ナイフ所持。
・ナンバー5:1歳前後? カナダ出身 グリズリー。
・ナンバー6:1歳前後? カナダ出身 グリズリー。
用語
・BHB:ブラックホール爆弾。半径50mの全てを消失させることができる。
・DBH:?
・STステーション:5人と2匹の基地?




