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10.消失⑨前半~中国~

教授の様子がおかしい。何かを悩んでいるようだが誰にも話さないので分からない。

ナンバー3『教授、ベルトのメンテは終わっています。』

教授『ありがとう。次のポイント出現場所が分かり、詳細は日時を解析中だ。』やはり不安そうな顔をしている。

ナンバー2は何か言いたかったが、こんなときにかける言葉は持ち合わせていなかった。

教授『次のポイントは…。』とナンバー3を見ながら言った。


1999年11月13日07:15

北京天安門広場。

消失90分前

四人は困惑していた。消失10分前に着くはずだったのに、かなり前に着いてしまった。ナンバー1とナンバー3は到着寸前に違和感を感じたが、お互いに何も言わなかった。このとき会話をしていれば違う未来が待っていただろう。

ナンバー3は懐かしさを感じていた。時代は違うがここでカンフーを学び、教えていたのだ。あのことを知らなければ子供たちに教え続けていただろう。ミスしたおかげで時間はある。他の三人に『少し散歩をしたい』と言い、一人離れた。

ナンバー4『80年程前の景色なんだろうけど、感傷的になるもんなんだな。』

ナンバー2『彼にもいろいろあるのよ。』

ナンバー4『はいはい。俺は最後に入ったからその辺は知らないからな。』コートの内ポケットのナイフの柄を握りながら言った。今回も殺人欲があまり沸かない。俺は俺じゃないのか。自分の首を切ってみたくなったが、ナンバー2がじーっと見ている視線を感じて思いとどまった。

ナンバー1は、静かに周りを警戒していた。おそらく警戒レベルはMAXだろう。背筋がゾクゾクしている。この感覚はロシア軍で任務に就いていた時に生死に関わるときに感じていたものに近かった。


ナンバー3は、広場を懐かしく歩いて回った。もちろん自分が知っているよりも新しく、そしていずれ修復されるだろうひびもある。そのとき遠くに視線を感じたように思った。三人を振り返り、動いてないことを確認してから、視線を感じた方向に向かった。そして、ナンバー3は、誘い込まれたことに気づいた。他のメンバーの死角に入ってしまったのだ。数人の気配を感じたが殺気は無い。自分たちのことを知っているのか?なぜ?

ナンバー3『誰だ。』気配が動いた。


ナンバー1は、ナンバー3の姿が見えなくなったことに気づいた。ナンバー3は強いが嫌な予感がする。BHBを持っているのはナンバー3だ。BHBが無ければ任務が遂行できない。そう思い、追いかけようとしたとき、複数の不気味な気配を感じた。

ナンバー1『ナンバー2!ナンバー4!武器を持て!』囲まれている。見たところ、この時代の人間のようだ。ターゲットは我々のようだ。自分たちのことを知っているのか?なぜ?とナンバー3と同じことを考えた。特殊部隊の軍人だったときは、目の前の敵を倒す。ただそれだけだった。こんなことを考えるなんてな。以前の自分に戻れ!目を一瞬閉じ、目を開けて、熊の時とは違い、最初からアーミーナイフを取り出し向かっていった。

ナンバー2『ざっと20人ほどかしら。ナンバー1で10人はいけそうね。ナンバー4と私で10人ね。ナンバー3も襲撃されているかも。急ぎましょう。』剣を抜いて敵に向かった。

ナンバー4『はー?俺だけで全員まとめてやってやるよ。』ナイフを取り出し走り出した。


相手は、全員中国人だった。手に剣を持っている。動きが素人ではなかった。ナンバー1はアーミーナイフを左手に持ち替えて一人目の剣をナイフで払いのけ心臓のあたりに右手の拳をぶつけた。正拳突きのようだが。ボクシングのハートブレイクショットのように失神させるのが狙いか?違った。相手は一撃で心臓が破裂し、その場に倒れた。倒れた男を蹴り上げ、それを避けた敵にアーミーナイフを突き刺した。ナイフをそのままにして、殺した敵の剣を奪い、他の敵を斬り倒し始めた。この男は剣術も達人の域だった。戦いながら違和感を感じた。敵はかなりの戦闘スキルだが殺気がない。感情のないロボットを相手しているような感覚だった。


ナンバー2は、苦戦していた。中国の剣術の前に手も足も出ない。否、1対1ならナンバー1との訓練の成果で対処できただろう。だが敵が多すぎた。まだ一人倒しただけだ。ナンバー4をちらっと見た。共闘しようと思ったのだが、ナンバー4は右腕を斬られ血が流れ、ナイフを左手に持ち直してなんとかしようとしていた。それを見て、仲間を失いたくない。三人と教授はきっとこれからも裏切らない。だから見捨てない。そう強く思い、自分が斬られる覚悟=捨て身で剣を振って戦った。自身が斬られるのをそのままになんとか四人倒した。全身から血が流れている。斬られた背中が熱い。片膝をついた。血を流しすぎた。もう身体が動かなかった。限界だったのだ。『ネモ教授』ナンバー3はそう呟いて目を閉じた。これを敵が見逃すはずがなかった。


ナンバー4は、弱かった。いつも無抵抗の人間を殺してきただけだからだ。この前も簡単に抑え込まれた。ナンバー1に鍛えてもらっていたが、如何せん剣術はおろか格闘のセンスもなかった。当然、このレベルの敵に敵うはずがない。一人も殺せない。逆に利き腕をやられた。ナンバー2も苦戦している。そう思ったとき、ナンバー2がこちらを見て、そして自らを斬られるままに相手の懐に入り倒していった。自らの血を飛ばしながら戦うナンバー2の姿を見て初めて彼女を美しいと思った。だが彼女は片膝をついて動かなくなった。ナンバー1を見た。こちらの危機に気づいているようだが助ける余裕がなさそうだ。今、ナンバー2を助けられるのは自分だけだった。敵に突進してナンバー2を連れて足手まといの俺たちだけでもこの場からタイムワープしようと思ったが、目の前の美しいものが散るのを見たいと思ってしまった。仲間の死を。それを見ることができたら死んでもいいと思い、その瞬間を待ち、ただ見つめていた。ナンバー2の死を。


ナンバー1は、二人が苦戦しているのを見ていた。だが、助けることはできなかった。敵の数が多すぎるのだ。増援が来ていた。こいつらは仲間を殺されても表情一つ変えずに向かってくる。仲間を仲間と意識していないようだ。ただ我々を殺す!これだけで動いているようだ。脳裏に一つの可能性が浮かんだ。過去に中東で任務についていたとき、敵が同じような状態だった。確か、公式発表で、原因は、集団催眠と言っていたが、軍内では、ドラッグの一種とうわさされていた。どちらでもいいが、どちらもこの時代にはまだないはずだ。横目で見るとナンバー2が片膝をついて敵に囲まれている。ナンバー4も怪我をして動けないようだ。ナンバー2とナンバー4は見捨てるしかない。弱いものが負けるのだ。弱肉強食こそ自然の摂理なのだ。そう思ったとき、ナンバー1のいた場所で爆発が起こった。


ナンバー2はもう動けず、敵に囲まれた。ナンバー4はある欲求を満足するために動かなかった。敵がナンバー2に剣を振った。血飛沫が上がり首が飛んだ。


登場人物紹介(10話まで)

・ネモ教授 :65歳 インド出身 リーダー ラマラガン元大学教授。

・ナンバー1:40代後半 190cm  ロシア出身 屈強怪力 本名ゾーン アーミーナイフ所持。

・ナンバー2:22歳 160cm  フランス出身 長髪で美人 剣を背負っている。

・ナンバー3: 165cm位  アジア系 精悍な顔つき BHBを所持。

・ナンバー4:20代後半 170cm55kg イギリス出身? 茶髪で茶色の目 ナイフ所持。

・ナンバー5:1歳前後? カナダ出身 グリズリー。

・ナンバー6:1歳前後? カナダ出身 グリズリー。


用語

・BHB:球体型の爆弾?半径50mの全てを消失させることができる。

・DBH:?

・STステーション:5人と2匹の基地?

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