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1.消失①~フランス~

1999年12月31日

23時48分

夜中にもかかわらずここ凱旋門広場は、2000年が来る瞬間を待っている人々で混雑している。

その雑踏から少し離れた場所で5,6歳ぐらいの男の子たちがそれぞれおもちゃを持って遊んでいる。夜中の外は、いつの時代も子供たちにとっては魅了の時なのだろう。とても楽しそうだ。数m離れた場所でその子らを見ながら話をしているのは母親たちだろうか。父親らしき男たちは、お酒を飲んでいるのか上機嫌で騒いでいる。別の場所ではカップルが手を繋いで時間が来るのを待っている。カップルや夫婦が多くみられる。


23時51分

子供たちの周囲がわずかに暗くなったように感じた。そして子供たちから少し離れた場所に突然、黒い影が立っていた。子供たちを見ながら談笑していた母親たちの一人が、その影の突然の出現に対して幽霊かとびっくりしたが、暗いから歩いてきたところが見えなかったのだろうと思い込もうとした。人が大勢いる。大丈夫。そして、不安な感情を消し去るためなのか男連中からお酒をもらい一気に飲んで、また会話を再開したようだ。


23時53分

黒い影は、全身を黒色でコーディネートした人だった。黒い服、黒いズボン、黒い靴、黒色のロングコート。全員似たような恰好をしている。売れないミュージシャンだろうか?だが楽器のようなものは持っていない。但し、一人だけ背中に剣を担いでいる。かなりの美人だった。その剣を使って、ショートムービーでも撮ろうというのだろうか。

黒服のグループのうち一番大きい男は、屈強な体躯をしており、身長は190はあるだろう。凱旋門を見ている。ただならぬ雰囲気を感じる。年齢は40代後半ぐらいか。引退した元軍人か元傭兵なのかもしれない。その男の右側には、剣を担いだ女性が立っている。身長は160ぐらいで20代だろう。長髪が似合うフランス美人だ。周りを見ながら何かを警戒しているようだ。剣を抜くタイミング=アクション開始のタイミングを探っているのかもしれない。この二人によるアクションが始まるのかもしれない。大男の後ろに隠れるように別の男がいた。フランス美人より少し大きくアジア系の精悍な顔つきで、よく見ると左手にゴルフボールより若干大きく丸いものを持っている。その丸いものを右手で触り始めている。右手には火傷の痕が見える。この三人は現れてから一歩も動いていない。


23時57分

一人の男の子の視界が少し暗くなった。見上げるとそばに人が立っている。茶髪の黒服男は、男の子を見下ろした。茶髪男の茶色の瞳に赤色が映り、段々大きくなった。男は時計を見ながら

『やあ、あと3分なのに残念だったね。でも安心しな。君の家族や友人、ここの大勢の人があと4分後に逝くよ。ハハハ!もう聞こえないか。』笑いながら言った。男の右手には血の付いたナイフが握られていた。そのナイフで男の子の喉が切られ、悲鳴をあげることなく絶命したのだ。異変に気づいた母親だろうか、悲鳴を上げながら走ってきた。その子を抱えようとしたが叶わなかった。同じように喉を切られたのだ。他の大人たちがナイフの男を取り押さえようと近づいた、その時

フランス美人『何を遊んでるの。ナンバー4!』と叫んだ。

ナンバー4『もうすぐみんないなくなるんだから少し俺がもらってもいいだろう?ナンバー2。』と言い返した。

大男『計画にズレが生じるかもしれないぞ。』そう言いながら黒服の屈強な男は、ナンバー4と呼ばれる男を取り囲んでいる大人の一人の首をへし折った。

ナンバー4『ズレるんじゃなかったのか?ナンバー1』大男が瞬時に四人の大人の首をへし折るのを見て笑いながら言った。

ナンバー1『不可抗力だ。』五人目の首をへし折って言った。

ナンバー4『俺が二人でお前が五人はおかしいんじゃないか!俺もせめてあと三人は…』


2000年1月1日

0時00分00秒

殺人が起こっていたが、そのことは、2000年を迎えた喜びにかき消され大勢の人々の脳へのインプットはされなかった。多くの人々は歓喜で周りを見てなかった。カップルや夫婦はキスや抱擁して見えていない。ナンバー4がナイフを片手にキスしている一組のカップルに向かおうとしたとき


0時00分20秒

ナンバー2『時間だわ。ナンバー1、ナンバー4。お遊びは終わりよ。ナンバー3、今よ!』

もう一人の男が、持っていた小さな球体を凱旋門近くで大騒ぎしている群衆に向かって投げた。

フランス美人『任務完了よ。戻るわよ。』

ナンバー4『チッ。あと10秒あればあの二人は殺れたのに。』

一人だけ名残惜しそうだったが、黒服の四人はその場から消えた。


0時01分00秒

小さな球体が爆発したように見えた。しかし閃光は見えず音もしなかった。人の声も聞こえない。静かだ。球体が落ちたと思われる場所から半径数十m程だろうか人も建物も地面もなくなっていた。まるでえぐり取られたように。

後日、警察の調査によって、ある地点を中心に半径50mの球形状にきれいに切り取られていることが分かった。

切り取られたものはどこに行ったのか?

数百人を一瞬で消すことは可能なのか?

建物を消すことは?

爆弾なら可能だろう。だが痕跡を残さず、また地面を一瞬で50mの半球状分だけ持ち去ることは可能なのか?

答えは否だった。もちろんその場を去った四人のことを知る由もなかった。目撃者はだれもいないからだ。死体がないので全て行方不明者扱いとなった。警察は未解決事件としたが、フランス国民を初めニュースを聞いた人々は、宇宙人の仕業と思った。


凱旋門広場周辺直径100m範囲消失。行方不明者744人。


某ステーション?の一室

ナンバー2『任務完了しました。どうでしょうか?』男たちはいない。

初老の男『ご苦労。今解析中だ。問題は無かったか?』モニターを見ながら言った。

ナンバー2『ナンバー1とナンバー4がデッドポイント前に数人の人殺しを…』

初老の男『ふー』溜息をつきながら『あとで注意しておくが目をつぶっておくれ』

ナンバー2『あの場の全員が亡くなるにしてもBHBを使えば苦しまなくてもいいのに。ナイフで幼い子供を…彼らは、特にナンバー4は適任者なのでしょうか?』涙が流れていた。

初老の男『君を含め四人ともこの計画には必要だし適任者だと思っているよ。いずれ、彼らの(殺人)スキルが必要な時がくる。私のことを信じてほしい。』

ナンバー2『教授。』

初老の男=教授『解析結果が出た。0.00004%だ。ようやく動いた。8回目のダイブによるDBHでデッドポイントが証明された。感謝してるよ。ナンバー2。』

ナンバー2『いいえ。』頬を赤くして返事をした。

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