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ボーイ&ガール BG小隊  作者: ピルグリム
2/2

0話 「ドキドキの前日」

「では、夏休み前最後の帰りの会を終わります。

 皆さん、くれぐれも体調には気をつけて、宿題も忘れないようにしてください。あと危ないこともしないでくださいね。夏休み明け、皆さんと元気に会えることを楽しみにしています。委員長、挨拶をお願いします。」

「きをつけ、礼!皆さん、さようなら!」

「「さようならー!!」」


帰りの会が終わり、明日に備えて急いで帰宅しようと教室を出た。

明日から待ちに待ったブラット研修が始まるのだ。

「ねぇ用事がなければ、一緒に帰らない〜?」

「うん、いいよ。」

「やったね!チダノちゃんも早く!」

「はいはい、忘れ物してないか見てるから待ってて…。よし、帰ろうか」

声をかけてきたのは同じクラスのモトミとチダノだ。

帰る方面が一緒なので、自然と仲良くなっていたのだ。

靴を履き替え学校を出た。その帰り道

「ねぇねぇ夏休み何する?海?山?遠くへ旅行?」

私達の前に出てモトミが聞いてきた。それを聞いたチダノは呆れたように言った。

「モトミ、ユミルはアレじゃないアレ、ほらえ~とロボットの…」

「ブラット研修だね。」

「そうそうそれ。」

「あ、そっか~。残念。」

それを聞いたモトミは納得した顔すると、ふとまた悩むような顔した。

「研修って言っても何するんだろうね〜?あんまし見てないからわかんないや。」

「新しい機能や装備のテストや考案をするらしいよ。」

「ふーん?私ロボット興味ないから分かんないや。」

本当に興味なさそうな顔して呟くと、今度はニヤリと笑い

「でもいいよね~。研修に参加するだけで毎週給料が出るんでしょ〜?」

この子の興味はお金に向いたらしい。

「そういえばそんな事書いてあってね。私応募してないし、具体的な額は知らないけど、いくらなんだろ?」

「毎週固定130万円と成績によって追加報酬ありだって送られてきたよ。」

「うへ~!!とんでもない額だよ!夏休みって6週間以上あるし、最低でも700万円以上!これがあればうへへへ。」

何を妄想しているのかとろけた顔で笑うモトミを見ながらチダノは不安そうな顔で言った。

「モトミ、何考えてるの。でもさユミル。こんなこと話ちゃっていいの?確か前は詳しいことは話せないって言ってたじゃん。」

「それは大丈夫。前研修所の人が来て、親しい人や友達なら大丈夫って言ってたんだ。その内容を他の人に言ったり、インターネットに上げなければいいって。」

彼女達なら安心だと思ったのだ。

「そうなんだ。なら安心だね。私はネットしないし、モトミはそもそも接続出来るもの持ってないし。」

「皆持ってて当たり前な時代にそれはそれでどうかと思うけどね…。」

「いーだ!どうせ私は機械音痴ですよ!」

「とはいっても、他の人に言いふらす可能性あるのに、私達2人に言ってくれるのはそれだけ信頼されてるってことね」

「ユミルの大切な秘密、絶対守るから任せてよ!」

「うん、お願い。」

「その変わりと言っちゃあなんですがねぇうふふ。」

モトミがまたニヤリと笑う。

「え、何…」

「余裕があったらお土産買ってきてよ!その地方の特産品。何でもいいからさ!」

「お安い御用。わかったよ。チダノもそれでいい?」

「え、私も?うん、ありがとう。でも変な気を遣わなくていいからね?ユミルや一緒に参加する人に迷惑掛かったら嫌だから。」

「わかってる。じゃあそろそろ家だし、帰るね。」

「明日だもんね?忘れ物ないように気をつけてね。あと研修頑張ってね。」

「お土産期待してまーす!研修頑張ってねー!」

「うん、頑張ってきまーす!」

そう言うと私は玄関の戸を開けた。

「ただいま」

「あらユミルちゃん、おかえり」

エプロン姿の母が出迎えてくれた。

「もうすぐ夕食が出来るから、カバン置いてらっしゃい。明日早いし、お風呂も早めに沸かすわね。」

「うん、ありがとう。カバン置いてくるね。」

母はキッチンへ戻った。

私は自分の部屋に入り、カバンを置く。

ふと視線を移すとそこには明日の荷物が詰められたキャリーバックがあった。衣類や日用品、何かあった時用の市販薬、その他諸々が入れてある。後は夏休みの宿題を入れるだけだ。

「ユミルー。ご飯できたよー。」

ちょうど母の声が聞こえてきたので、リビングに行き、席についた。

「はーい、今日はユミルちゃんの好きなカレーよ。」

「美味しそう…頂きます!」

「夏休み中会えなくなっちゃうし、明日出発だからね。元気付けてもらわないと!」

母が作るカレーを研修前に食べれるなんて、私は幸せものだろう。

「ありがとう!すっごい美味しいよ」

「良かった良かった。食べ終わったらお風呂入ってちゃちゃっと寝なさい。準備は終わらせてるし、明日早いからね。」

「うん、そうする!」

…………

「美味しかった〜。ごちそうさまでした。」

「お粗末様でした。お風呂湧いてるからね。」

「うん、じゃあ入ってくるね」

母と共に食事を済ませて、お風呂に入った後、自分の部屋に戻り、夏休みの宿題をキャリーバックに入れて布団に入った。

母のお陰で熟睡出来そうだ。



銃声が聞こえる。爆発音が聞こえる。

ここは何処だろうか。見たことあるような、ないような。

舗装されてない道路っぽい所に、壊れた建物が周りに見える。

意識はあるけど、体は言うことを聞かない。

よく見ると今の私よりもっと小さい体だ。

私なのだろうか?それとも見知らぬ人か。

銃声が響く中、その子は花を見いていた。まるでその花だけが友達かのように。

声がした。

振り返ると大きな男の人が近寄ってきた。軍人だろうか?その後ろにはトラックが停まっていた。

同じ軍服を着た人がこの子と同じ位の子供をトラックに乗せていた。

近寄ってきた男の人がこの子を抱えようとしたとき

ズシン

大きな音と共に影が出来た。

男の人の体でよく見えないが、大きなロボットが立っていた。

ロボットはトラックに目を向け、右手の銃を撃った。

男の人は即座に私を抱えた。

大きな爆発音と共に私と男の人は倒れた。

男の人は動かない。

視線を移すとトラックは燃えていた。近くの建物にはトラックの部品とは思えない物が飛び散っていた。

ズシン…ズシン…

大きなロボットは後ろへ後ろへ1歩ずつ下がっていた。

感情などないはずなのに、その目は怯えているように見えた。

これは夢なんだろうか?よくわからない。

でも花を見ていた女の子はきっと……


「……?」

目が覚めてしまった。時計を見るとまだ3時だ。

興奮して眠れなかったのだろうか。

それに夢を見ていた気がする。

内容は忘れてしまった。気にはなるけど、忘れるほどなら大した夢でもないのだろう。

また寝よう。

そうしてもう1度私は眠りについた。

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