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雄牛丸連続殺人事件

~1日目~ 

 高校時代の友人から船の旅のチケットを貰ってくれないかと頼まれました。なんでも彼氏と向かう予定だったのですが、激務で休みが取れないという緊急事態が発生したらしいです。普通ならキャンセルして払い戻せば良いと思いましたが、キャンセル可能な期間は一週間前なのに対し、出航日がチケットを渡された翌日だったんですよね……。


 なので弟を誘って向かう事にしたのですが、弟が物凄く怯えているのは何故でしょうか?普段は遊びに誘うと私の奢りで色々食べたり、用事から帰った後に食事を振る舞うので喜ぶ筈なんですけどね……。


 ちなみに、今回乗る船の名前は雄牛丸。黄金の牛をイメージして設計された客船らしく、黄金牛の像が船に乗っかっており、色々な意味で有名らしいです。弟曰く黄金の牛部分が黒ずむぐらいの何かが蠢いていると言っていますが、気にする程の規模じゃないでしょう。


 船で旅をするなんて何年ぶりかと考えつつ、船の中にあるレストランへと向かうのでした。それにしても弟よ、いつになったら青ざめた顔を元に戻すのでしょうか?取り敢えず虚空に向けてブツブツ呟くのは他の人から変な目で見られますよと声を掛けておくのでした。


~2日目~

 船上で気持ちよい朝を迎えたのにも関わらず、弟の目は虚ろなままです。デッキの方が騒がしいですが私達は気にせずレストランへと向かい、朝食のビュッフェを楽しみました。船上で食べる焼きたてのパンやハムエッグ等は良い物だと思いつつモグモグ食べていると、弟の目も段々と良くなってきました。


 さて、船上で楽しむ事と言えばやはり釣りでしょう。雄牛丸と和風な名前なのでどこか釣りできそうな場所は無いかと船内を探してみると、何故か船の中に釣り堀がありました。デッキからでも釣りは出来ると思っていたのですが、船員の人曰く雄牛丸は大型客船の為、釣り糸が海まで垂らせないらしいので釣り堀で我慢する事にします。


 釣りをしながら聞いた話によると、元々は船内水族館を作ろうという案があったらしいですが、水槽を用意して設置した後に、水族館展開は流石に無理があるということで、食材用の生け簀として展開したらしいです。


 ただ、今回乗せられている料理人の人達は釣りが苦手らしいので調理用の魚を釣ってくれるならと釣りをしてもいい事になりました。本当は釣り上手な料理人も来る筈だったのが、出発直前に腹痛で乗れなくなったそうです。


 数時間ほど釣りを楽しんだ後、弟が私を呼びに来ました。何でも知り合いと会ったので一緒に会っておこうという事です。なので私は釣り道具を引っ提げて弟と共通の知り合いがいるという客室へと向かうのでした。



~3日目~

 弟の言う知り合いとは大学時代に一度顔を合わせた古物商の男……いえ、オネェさんの神田 若葉さんでした。彼…彼女?とは酒飲み仲間に近い関係と認識しており、昨日は彼女?の持ち込んだ酒を堪能した所で寝落ちしたのです。


 二日酔いの頭痛に苦しんでいた所、船内放送で昨日釣りをしていた生け簀の場所に呼び出されました。なんでも昨日から行方不明になっていた人物の死体が生け簀で発見されたそうです。それで料理人の人が疑われているので証言して欲しいとの事でした。まぁ、昨日は魚しか生け簀にいなかったのは事実なのでそう答えました。


 ちなみに、死体が入っていた生け簀の中身は使えなくなりました。これなら昨日もう少し釣れば良かったなぁと思うのでした。


~4日目~

 雄牛丸の黄金像部分の半分はカジノらしく、少額なら賭けてもいいかな~と1万円分のコインを交換してブラックジャックをやってみました。結果的にコインの殆どを溶かす結果になったので、残ったコインを飲み物に交換して過ごすのでした。


 娯楽室にも行ってみましたが、カジノとは違いあまり人はいませんでした。照明が壊れているのか、薄暗く周りの人の顔も微妙に分かりづらくなっています。ビリヤードに誘われてやってみたのですが、こちらもあっさりと負けました。まぁ、白玉を穴に落としたりという反則はしなかっただけマシだったでしょう。


 娯楽室から出ると空気が暖かく感じました。もしかしたら娯楽室の冷房が効きすぎていたのでしょうか?そんな事を考えつつ私はレストランに向かうのでした。


~5日目~

 物資の交換の為にとある島に停泊しました。そこで生け簀の魚の処分をしたらしいのですが、新しく生け簀に魚が来ることはありませんでした。ただ、この島は肉が美味しい島らしく熟成肉を多めに乗せて貰えたとの情報が入手できたので、私はそれを楽しみにしながらスキップをしてしまいました。


 そして停泊していた島から出航する時に泣きながら首根っこを掴まれて弟が神田さんに連れてこられました。なんでも停泊した島に隠れて船をやり過ごそうとしたらしいですが……弟よ、そんなにこの船に乗るのが嫌なんですか。お肉ですよ、明日からお肉がレストランやビュッフェに並ぶんですよ。

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