盗作教授殺人事件 その2
~6日目~
昨日の朝から案田教授の娘の彼氏、北野と連絡が取れないという事で呼び出されました。何でも案田母子が私が北野と歩いているのを見たとか騒いでいるらしいです。ただ、私のアリバイは桃山巡査部長が話してくれたので呼び出されずに済みました。
そんな訳で今日は家にある食材で焼そばを作って食べました。今回利用したタレはどちらかというと焼き肉のタレに近いタイプのタレなので少しだけお店に行ったような気分になりました。折角なのでお隣の人にもお裾分けしようかなと思ったのですが、2人とも留守だったので全部自分で食べる事にしたのでした。
~7日目~
今日は高校時代に知り合った増岡夫妻に釣りに誘われたので大学の1つ前の駅で降りてから波止場へと向かいました。すると波止場近くの砂浜で言い争う知人……案田母子と、案田教授の娘に羽交い締めにされ、案田教授の奥さんにナイフを突き立てられて人質にされている水迫さん、そして案田母子を説得しに来た安土警部と桃山巡査部長が見えました。
説得には失敗したものの、水迫さんは案田教授の娘の脚を踏みつける事で拘束を解いてから前転してそのまま逃げ出しました。ただ、ここで人質に逃げられた事に焦った案田母子に悲劇が起こります。案田教授の奥さんが持っていたナイフが案田教授の娘さんの首に突き刺さったのです。
増岡夫妻は戦々恐々的な顔をしていましたが、私はこの後安土警部が案田教授の奥さんを取り押さえるんだろうな~と思って傍観してました。というか案田母子の鼻がガーゼで止血されているので緊張感まったく感じなかったんですよね……。
それから増岡夫妻のメンタルケアをして釣りはまた後日という約束をしてから焼き肉を食べに行くのでした。現実逃避には焼き肉、これは増岡夫妻と知り合った時に彼等から聞いた言葉なので間違いないでしょう。
~8日目~
別に説明する義務は無いと思いますが、先日の借りを返す為にと桃山巡査部長に誘われたので、一部始終を見ていた増岡夫妻も誘って釣り堀へと行きました。ただ、私は釣り……釣りの後の塩焼きに意識が向いていたので、真剣に聞いていた増岡夫妻のメモを写した物を貼っておきます。
ーメモー
案田教授の死因
・元々は水迫と酒井が盗作の恨みで案田教授に恥を晒して貰おうとバナナの皮をセッティングした。生存した水迫曰く死ぬとは思わなかったし殺す気も無かったそうだ。まぁ、運が悪かったのだろう。
事件の黒幕?
・案田教授の娘の彼氏、北野は案田教授に卒論を盗作されて自殺した竹内の弟だったらしい。苗字が違うのは竹内が死亡した後に両親が離婚したから。
・案田教授達が平穏に暮らしているのを見て、幸せを壊そうと案田教授の娘に接触。好意を持たせて恋人となる。この為、北野は案田教授を殺害等で人生のどん底に墜とそうと考えていたらしい。
・しかし案田教授が他の者のイタズラで死んだ事から考えが歪み、案田教授に残された妻と娘に苦しんで貰おうと邪魔になりそうな者の殺害を唆したらしい。
事務員、酒井の殺害について
・北野に「この人を生かしておくと大変な事になる」と夫(父親)のやってきた悪事を知って精神が不安定な案田母子に囁いて北野はアリバイ作り、案田母子が殺害を実行。坂上を狙わなかったのは、彼がスポーツ系のサークルに入っている為、2人掛かりでも殺害が難しいと北野が判断したからだと考えられる。
北野のその後について
・2人を殺して精神が落ち着いてきた案田母子が人を殺害する事に疑問を持ち始めて北野に迫った際、北野から「復習目的で近付いて心変わりもしていない事」と「罪を重くするために殺人をやらせている事」を暴露されて衝動的に殺害する。殺害後山奥に遺体を遺棄したらしく、警察の調査にて発見されている。
案田母子の全身の怪我や鼻の怪我について
・案田母子曰く、弥次馬(私)に罪を被せようと襲いかかったら反撃されたらしい。一回目は綺麗に投げられて全身打撲、二回目は攻撃の手を全部払われた挙げ句鼻を突かれたらしい。
案田母子のその後について
・娘の方は既に死亡。母親は罪を認めて刑務所に入る事になる。情状酌量は認められかけたが弥次馬(私)に罪を被せようとした事等で暴言を吐いた為に無しになったそうだ。
ーメモ終わりー
増岡夫妻はため息をついて「酔拳は程々にな」と言った後、事件に巻き込まれたら相談しなさいと呆れながら肩を叩いてきました。酔拳ってなんなんですかね?と思いつつ私は釣った魚の塩焼きを堪能するのでした。