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第八十八話:楽園

 今までの人生は、何だったのか、とつくづくリュートは思う。

 

 振り返ってみれば、みるだけ、自分の人生は、実に男臭かった。周りに居たのは、男、男、これまた、男……。あのヘタレの黒羽主君を筆頭に、女たらしの巻き毛のっぽに、二重人格のチビ眼鏡。むさ苦しい筋肉のおっさんとその配下に加えて、病気すら近寄らない不潔男に、お馬鹿な駄犬、さらには、腹黒の小僧、とどめには死神に似た男色家ときた。

 だが、そんな汗くさい人生と比べて、ここの生活は、どうだ。

 

「リュート様。どうされました? そんなに空ばかり見つめて」

「ここに来てから、一歩も外に出して貰えないから、きっと退屈ですのね。あ、どうぞ、丁度お茶が入りましたわ」

「リュート様。今朝の強い風で、御羽が砂埃で汚れていらっしゃるでしょうから、羽づくろいお手伝い致しますわ。どうぞ、こちらを向いて」

 

 実に、……華やかで、(かぐわ)しい、この環境。

 周りにいるのは、ハーレムの妾達を筆頭に、紅玉騎士団の女騎士、そして、それに使える下女達。つまり、すべて、女、女、これまた、女なのだ。

 

 おしなべて、自分は女好きであるとは思えないし――、どちらかと言えば、女関係には弱い方ではあるのだが、それでも、この女だけの屋敷での生活には、心が癒される。

 なぜなら、ここには、皇宮にあった陰鬱さがない。確かに、ここの妾達は、奴隷として悲惨な運命にあったが為に、未だ、カーラの様に傷を抱えている者も少なくはない。だが、それでも女達は、なお、その顔に時折笑みを見せながら、逞しく日々の生活をこなしているのだ。ぺちゃくちゃととりとめもない会話を交わしながら、洗濯をし、料理を作り、機を織り、異民族やリンダール人を含めた子供達を共同で育てている。聞けば、リンダール人の子供が多いのは、紅玉騎士団の女騎士達の子供を預かっているかららしい。なるほど、外で仕事があれば、女騎士は子育てなどと言っていられない。こうしてハーレムの妾達に子供を預けて、いそいそと騎士の仕事に励んでいるのだろう。

 意外なのは、子育てをする有翼人の女達と、子を預ける女騎士達の間に、それなりの信頼関係が築かれていることだった。妾達は、自分の子ではない子供達の世話を率先して行うし、一方で女騎士は妾達を奴隷として蔑むことはしない。自分の子を信頼して預けることの出来る保母として、妾達を認めているのだ。

 

 ――まさか。子育てをさせるためにここに有翼人の女を飼っている、って訳じゃないよな。

 

 妾の一人に羽づくろいをして貰いながら、辿り着いたその答えを、即座にリュートは否定する。

 考えてみれば、子を預かるだけなら、有翼人でなくともいいのだ。もっと安い奴隷で事足りる。いくら処分対象だったとしても、高値のつく、有翼の女達をわざわざ飼うにはそれなりの理由が居る。だが、その訳とは、一体――。

 

「リュート様。かゆいところ、ございませんか?」

「……あ、ああ。うん。大丈夫だよ。ありがとう」

 

 あまりの気持ちよさに、思わず微睡(まどろ)みそうになったリュートの思考を、女の声が引き戻す。

 さすが、希少種として選定されただけあって、かなりの美人だ。加えて、何も言わなくても差し出される飲み物に、聞こえてくる他民族の子供達の笑い声。

 ……実に、ハーレムの主と言うに相応しい生活である。

 

 ――ああ……。僕がこんな身分にあると知ったら、あいつは何て言うだろう……。

 

 あまりとも言える厚遇に、リュートの脳裏に過ぎったのは、自分に剣の稽古をつけてくれた、女垂らしの巻き毛長身男の存在だった。

 いつかの王都の娼館で、『ハーレムじゃああ! 男の夢じゃああ!』と、三人の娼婦程度に歓喜していたあの男が。今、この自分の状況を知ったら、おそらく、嫉妬に狂って、本気で斬りかかって来るに違いない。なにしろ、三人どころか、三十人は越える妾に、姫という身分の本妻。加えて、併設された宿舎にも女騎士がごろごろ……。まさに、あの男――、レギアスにとっては、ここは理想郷だろう。だが、その実際はといえば、楽園からはほど遠い、またしても監禁の身分であり、また、捕まってしまった同胞の安否も分からないという、正直、自分の情けなさだけが身に染みる毎日なのである。

 

「こんな生活、もううんざりだ」

 

 もう、覚悟を決めねばならない、とは分かっている。

 ここまで何の情報も無いことが、エイブリーの身に何かが起きた事を明確に語っているのだ。そうなったら、もう、救出は諦めるよりない。ましてや、彼の身に降りかかった如何なる不幸をも。

 ……最悪、彼はもう死んでいる。そして、その口から、既に有翼の国の情報は漏れたと見て間違いない。

 エイブリーは先頃までリュートと共に遠征軍にいたのだ。正直、余計な事ばかりしてくれる邪魔者だったが、そんな彼とて大公という身分である。軍に関しても、それ以外の事柄に関してもかなりの事を知っているだろう。

 それが漏れた、となれば……。

 

「猶予はないな。次の進軍がある春までには、何とか手を打たないと……」

 

 ……その為には。

 

 リュートの目が、空へと、再び向く。このグラナ邸、そして、皇宮から、ずっと見続けてきた空だ。北の大陸とは違った風に加えて、頭上を飛び交う飛竜。商用から、軍用まで様々な目的で、竜が空を舞う光景は、実に圧巻と言っていい。

 その中の穀物袋を運んでいる飛竜の一団に、リュートの目が、ぴたりと留まる。

 飛竜の背に掛けられた黒地に竜牙の紋章が記された織布。――あの暗黒将軍が統べる帝国最強の独立騎士団、『暗黒騎士団』の団旗に、間違いない。

 

「あの鼻くそ将軍にも、少々痛い目見て貰わなきゃな。エイブリーが、……浮かばれん」

 

 その呟きが示すとおり、策は、ある。

 問題は、その策を実行してくれる兵隊が居ないことだ。ここに育てた有翼軍が一隊でもいてくれれば、と悔やんでも仕方がない。その人材の無さを補うために、わざわざ有翼人の繁殖施設の存在を皇帝に確認したのだから。

 

 ……とりあえずは、そこの奴隷達の解放か。

 

 その結論に達すると同時に、リュートは今まで羽づくろいをしてくれていた妾に命じて、繁殖施設の存在をよく知る人物、マダム・シェリーを呼び寄せようとした。

 だが、それも、突然飛び込んできた女の甲高い声に、遮られることになる。

 

「――あなた! あなた! 来たわよ!」

 

 無論、リュートを『あなた』と呼べるのはこの世でただ一人。忌々しい赤毛の本妻のみである。

「エリー! 何だ、いきなり、旦那様のハーレムに乗り込んでくるなんて……」

「馬鹿! そんな事言ってる場合じゃないわよ! 視察に来たのよ、元老院が! いいから、早く支度して! 打ち合わせ通りにやるのよ? お前達もいいわね?」

 告げられた招かれざる客のふいの来訪に、そう本妻が、命令を下すや否や、ハーレムの女達が一斉に動きを見せる。髪を撫でつけ、紅を差し、家事をしていた主婦から一変、堂々たる愛妾達に一瞬で変貌をしていた。これには、流石のリュートも腹を括るより他にない。

「ったく……。嫌な客が来たな。仕方ないが、やるか……」

 

 

 

 

「どうぞ、こちらへ、議長様、並びに議員様」

 

 全ての用意が調ったとして、侍女によって、元老院議長一行が通されたのは、ハーレムにある最高級の部屋だった。無論、主人である有翼の民の国の王子、リュートの為の部屋である。

 この元老院の名目上、新婚夫婦へのご機嫌伺いとされる来訪は、言わずもがな、逃げられた姫と、その忌々しい夫の現状を探る目的に他ならない。表だって事を起こす事は出来ないが、神託を推し進める元老院にとっては、夫であるリュートは目の上のたんこぶと言っていい存在だ。無論、元老院とて、リュートが望んで結婚をしたわけでない、ということは分かっている。だからこそ、こうして視察という名目で、この新婚夫婦の内情を探り、あわよくば、この無理矢理結婚させられた王子を丸め込んで、結婚を無効に……、或いは、この王子を亡き者にすれば――と、踏んでいたのだが。

 

「やあ。ようこそ、議員殿」

 

 爽やかな声が届くと共に、やって来た元老院議員一同の目が、こぼれ落ちんばかりに見開かれる。

 扉の中にあった光景。それは、実に絵になるというか、何というか。嵌りすぎていて怖いくらいの絶景だったのだ。

 

 背に輝く羽を緩やかに羽ばたかせて、侍る女、女、これまた、女。

 流石に選定された有翼人。実に美人揃いで、男としては涎が出そうな楽園なのだが。

 その中心で一際輝く白羽が、何より彼らの声を奪っていた。

 

 黄金もかくや、と言わんばかりに煌めく豪奢な金髪に、上質なエメラルドを思わせる碧の瞳。美男美女が多いとされる有翼の民の中でも、さらに際だつその美貌。加えて、生来のものだろうか、また一際の気品に満ちあふれたその佇まい。

 ……実に、ハーレムの主と言って、差し支えない堂々たる姿である。

 さらに、その傍らには、首に絡みつくようにしなだれる本妻の姿。こちらも、夫に負けず劣らずの美貌で――、加えて、情熱的な潤んだ目で夫となった男を見つめているのだから堪らない。うっとりと陶酔し、頬を桃色に染めるその新妻に、一体、どんな男がそそられぬ事などあるだろうか。

 

「あら、いらっしゃい、議員の方々。一体、どうなさいましたの? 私、丁度、この旦那様に可愛がって頂いている所でしたのに」

 

 これまた、扇情的な台詞。そして、さらに熱愛ぶりを示すように、妻から夫の頬へのキス。これには、流石の議員達も顔を赤らめて、汗を拭き拭き言葉を返すより他にない。

「い、いえ、姫様。あの……、ご夫婦仲睦まじくいらっしゃって何より……。し、心配をしておりましたが、……その、どうやら、杞憂だったようで」

「心配? 一体、私たち夫婦の何を心配するの? 私たち、神に認められた夫婦ですもの。仲が悪いわけ、ないでしょう?」

「い、いえね、少々、嫌な噂を耳にしましたのでね。何でも、王子殿に有翼の民の妾をあてがったとかで……。いくら同族とはいえ、本妻を差し置いて、妾達に溺れるようでは、神の認めた結婚相手として、流石に相応しくないのでは、と……」

 この問いに、夫に絡みつく妻は、殊更驚いたように言葉を返す。

「まあっ! 何を言ってるの、ヴァルバス議長! 私の素敵な旦那様が、そんな狭量な男だなんて! いい? この方はね、私を心より愛して下さっているの。そして、その愛の大きさは、私一人を満足させるに留まらないのよ。この方はね、ここの女全てを愛する事の出来る、お心の広い方なの。そんな素敵な旦那様を独り占めなんて、私には、とてもとても……。できうるなら、愛妾の三十人、四十人用意してあげるのが妻の役目だとは思わなくって?」

「……そ、それは、何と言いますか、実に、……ご立派な事で。は、はは……お若い王子は、お盛んでよろしいですな……。しかし、その方は、奴隷……」

「だから何っ? 愛の前には身分なんて、紙で出来た盾ほどに役に立たなくってよ。いいの、私、この方が私を愛してくれれば、それで。身分が低かろうが、稼ぎがなかろうが、神の決めたお相手ですもの。死ぬまで、他の殿方にはお仕えしませんわ、ねえ、あなた?」

 

 実に、素晴らしいまでの、茶番劇。

 この妻のあっぱれな女優ぶりに、若干、恐れおののくものの、負けていられるリュートではない。あの王都での御前会議といい、茶番劇は得意中の得意である。しっかりと、恒例の子猫の笑みをもって答えてやる。

 

「勿論だよ、エリー。ずっと恋いこがれてきた君と結ばれたのだもの。この妾達共々、一生離すものか」

「……ああっ、あなた、素敵っ!」

 

 ……『素敵』じゃないわ! と叫びたいのを、ぐっと胸の内に飲み込んで、ハーレムの主の演技は留まるところを知らなかった。本妻に加えて、若い有翼人の妾までも寝台の上へと引き寄せ、さらに優雅に微笑んでみせる。

「ねえ、議長殿。僕も、陛下には申し訳ないとは思っているんだよ? いくら、互いが望まぬ結婚だったからといっても、こうして、花嫁を寝取るだなんて……。でも、僕には、あの聖地で愛を交わしたこの姫のことがどうしても裏切れなかったんだ。分かってくれるね?」

「そうよ、議長。私とこの方は運命の赤い糸で結ばれているの。だから、もう私たちの事は放っておいてちょうだいな。お兄様にも子が出来たと言うし、私が正妃の位につかなくてもいいでしょう? ねえ、それよりも、議長、聞きまして? 大森林での暴動の話」

 

「え? ……ぼ、暴動ですか?」

 先までの甘い夫婦の会話から一変、突然の政治情勢の話題に、議長のみならず、妻の身を抱く夫の耳もそばだてられる。

「ええ、そうよ。先頃来てくれた有角の国の王子、ル・ポイキオから聞いたんだけどね、大森林での暴動は未だ広がりを見せているそうよ。何でも大森林にある総督府が襲われていて、その数の多さに、流石の帝国第三軍も手こずっているとか。確かに、あの森林は厄介だものねぇ。私も以前苦労させられたけど、地の利がある、というのは、それだけで獣人側にも有利よねぇ」

「……な、なんと。議会には、そのような報告、届いておりませぬぞ。そ、そんな……。大森林は、以前に貴女の後釜として平定にあたったガイナス将軍が、焼き散らかして、今その様なゲリラ戦を行う余裕など、あるはずがございません。姫のお母上である将軍閣下よりも、そのような書簡は一通も……」

「ええ。私の方にもお母様から何も書簡は届いてないのだけどねぇ。でも、私の結婚式に来る途中で、大森林を通ってきた有角の国の王子が言うことですもの。きっと、真実に相違ありませんわ」

 この自信たっぷりの報告に、流石の議員らも堪らなかったらしい。その額に、見て取れるほどの大粒の汗が滲み出ている。おそらく、内心でかなりの動揺があるのだろう。議員の一人が思わず、ぼそりと漏らした言葉を、夫婦は聞き逃さなかった。

 

「いや……、議長殿。まさか、また、本当に暴動が……」

 

 ……『本当に、暴動が』。

 

 その言葉が真実だとするならば、以前、皇帝の結婚式前に、大森林で起こったとされる暴動は、やはり、わざと引き起こされた虚偽の暴動だったことになる。つまり、姫と皇帝を結婚させたくない姫の母、女将軍ミーシカ・グラナをこの帝都から遠ざける目的の、元老院による(はかりごと)

 議員のその言葉に、かつての自分の読みが正しかった事を確信しながら、姫はその事をおくびにも出さず、さらに夫に甘える新妻を装う。

 

「ねえ、あなた。私、怖いわ。お母様でも押さえ込めぬ暴動なんて……。私、ずっと、ずっと、心配で……。昨日、あんなにあなたと素敵な夜を過ごして、慰めて貰っても、まだ、こうして不安なの。神が認めた結婚をしたというのに、こんな、こんな憂いがあるなんて……」

 言いながら、夫の背中を軽くつねってくるのは、おそらく、あんたもしっかり演技しなさい、という命令のつもりなのだろう。リュートにしてみれば、この押しかけ妻の言いなりになるのは些か癪ではあるが、ここは仕方ない、と諦めて、しっかりと夫の仮面を被ってやる。

「ああ、エリー。そんな顔をしないでくれ。君が、そんな風になってしまっては、僕だって、どうしたらいいか……。ねえ、元老院議員殿、あまり、僕の妻に心労をかけないでくれたまえ。母上の事が無くても、この妻は、僕がまたあなた方に連れ去られたらどうしようと、不安でいるのだから」

 牽制でもするかのように、議員達に向けて、そう懇願をする夫の腕の中で、今度は、とどめとばかりに、妻が涙混じりの迫真の演技を見せる。

 

「ねえ、議員の方々。いくら神の認めた相手と結ばれる為であったとしても、あなた方が用意した結婚式を無茶苦茶にしたのは、反省しています。ですから、その償いの意味も込めて、どうぞ、私たち紅玉騎士団に、また大森林に行かせて頂けません? ガイナス将軍は今、この帝都の守りと、次の聖地奪回の遠征でお忙しいでしょうし、暴動鎮圧の助勢にはぜひとも、今、手の空いている私たちを、お使い下さいな」

 

 これには、流石に今まで黙って妻の演技に追従していた夫も驚きを隠せなかったらしい。議員に聞こえぬ程度の声音で、妻にその真意を問う。

「おい、エリー。大森林へとか、勝手に何だ。僕はそんなこと、少しも聞いていないぞ……」

「いいから、いいから。私の旦那様に、悪いようにはしないわ。あんただって、そろそろ監禁生活は嫌でしょ? 外の世界を私が見せてあげるって言ってるの」

 

 ……外の、世界。

 

 それは、実に魅惑的な提案だった。

 今までこの国に来てから、この女、そして、皇帝の元での監禁生活。それにもううんざりしていて、自分で脱出計画を立てようと思っていた矢先に、この提案。正直、悪くない、どころか。

 

「わかった、いいだろう。だが、エイブリーは……」

「紅玉騎士団の諜報部とキリカをこの帝都に残して、引き続き救出に当たらせるわ。それなら、いいでしょ?」

「……よし、手を打とう」

 

 自分の至らなさ故に、一人皇宮に置いてきてしまった従兄弟の事は気になるものの、背に腹は代えられぬ。この、常に女騎士達の見張りが付いている監禁生活も、遠く南の地までの遠征ともなれば、どこかには隙が出来るはずである。そこを突いて、この忌々しい妻の元から逃げ出すことができれば……。

 そう読んで、リュートは承諾をしてみせたのだが、一方で、議員達も、何やら思うところがあるらしい。こそこそと、聞こえぬ程度の声音で、互いに話し合っている。

 ……おそらく、議員らにしてみれば、この予想外の本当の暴動という情報は、降って湧いた不安材料であるのだろう。何とかその真偽を確かめたいとも思うが、言われるとおり、ガイナス将軍を動かしたくても、今は動かせない。加えて、遠征という場なら、刺客を差し向けるにしても、このグラナ邸にいるより容易に、邪魔なリュートという夫を亡き者にできるやもしれない……、といったところだろう。

 そのリュートの思案通り、話し終えた議員達は、一同清々しい笑みで、夫婦へ向き直ると、気持ちよく承諾をして見せた。

 

「それは、大変良い考えですな。是非とも、姫様と、配下の紅玉騎士団には、大森林のグラナ将軍閣下への助勢をお願いすると致しましょう」

 

 

 

 

 

「あはははっ! ちょろかったわね、元老院のやつら! あっちから来てくれるなんて、遠征のお願いに行く暇が省けたわ」

 

 遠征費用や、期限等を大まかに決めた後、去っていった元老院議員らの後ろ姿に、新妻はいつもと変わらぬ嘲笑を浴びせかけていた。これには堪らず、夫がその真意を問う。

「おい。いきなり、何だ。その、大森林へ遠征とかって……。僕は、外に出られるのは歓迎だが、一体、急にどうして……」

 だが、この問いに対して、妻からは、心外だとでも言いたげな態度が返ってくる。

「あらっ! 何言ってるの? あなた、私を妻に貰ったのよ? 今、遠征中のお姑様に、ご挨拶にも行かないつもりっ?」

「……誰が、お姑様だ。僕はお前のうちの婿養子なんぞになった覚えは……」

「何言っているのよ。私と紅玉騎士団の稼ぎで喰わせて貰ってるヒモ亭主の分際でっ! ましてや、妾達まで与えてあげてるんでしょうが! ねえ、みんな?」

 

 そう、周囲に侍っていた有翼の愛妾達に、本妻が同意を求めれば。

 

「ええ、そうですわね、姫様。私も、将軍閣下へのご挨拶は必要だと思いますわ」

「旦那様、妾一同も、一度お姑様へ会われるのがよろしいかと存じます」

 

 見事なまでに、対夫への共同戦線を張り返してくる。

 

「おいおい、君たち! どうして、この女の方をそんなに持つんだ! こいつは憎むべき帝国人の姫だろうが! どうして、僕よりも……」

「いいじゃないの、あなた。心配なさらなくとも、ハーレムの女子供も、一緒に連れて行きますわよ。うふふ。大森林の中心にあるエントラの大樹は、一見の価値がありますわよ。それから、大森林エントラーダには、他にも、美味しい果実や動物たちも沢山。本妻と妾に、可愛い子供達を引き連れての楽しいハネムーンと参りましょう?」

「は、ハネムーン? お、おい、こ、子供達も連れて行くって……。このグラナ邸、空っぽになるんじゃ……」

「いいのよ。帝都はキリカに任せるわ。私たちは、……うふふ」

 

 その、意味ありげな笑いと共に、また妻のたっぷりとした唇が近づいて。

 

「素敵な新婚旅行にしましょうね、あ・な・た」

 

 有無を言わせぬキス……。

 のはずだったのだが。

 

「そう何度も何度も同じ手を食らうか、この破廉恥尻軽女が」

 

 夫婦の口と口の間を、何か白いものが遮っていた。その唇に触れるふわり、とした触感に、妻が訝しく思い、口元を見遣ると。

 

 そこにあったのは、あの北の大陸で見た雪よりも白い純白の羽だった。

 夫の背に輝く翼から、一枚だけ抜け落ちたのであろう、その羽の中心には、先のキスで付けられた口紅の跡がくっきりと残されている。

 その、白に一点の鮮やかな赤、というコントラストは、結婚式で身につけたあの血染めの白いドレスにも、どこか似て――。

 

「素敵」

 

 キスを邪魔された妻からは、そんな意外な言葉が返ってきていた。

「……お、おい、素敵ってなんだ」

「うふふ。この羽、私が貰うわね。あ、それから、他にも抜けた羽があったら、それ、全部貰うから」

「ぬ、抜けた羽だって?」

 有翼人の羽は、髪の毛と同じで、定期的に抜け替わるものである。だから、抜け落ちた羽なんぞいくらでもあるし、そんなものに価値はない、というのが有翼人の考え方だ。

 そんなものを欲しがるこの妻の真意を測りかねて、訝しげに夫が問う。

「抜けたのなら、さっき、羽づくろいしてもらった時に、何枚かあるが……。それを、一体、どうする気だ? 羽集めたって、お前が飛べる訳じゃないぞ?」

 この問いに対して、妻は、また、寝台に横たわる夫の首に、腕を絡めながら、一言、蠱惑的な台詞を返していた。

 

「決まってるでしょ? この羽集めて、私のお気に入りの羽扇にするの。あんたの真っ白な羽なら、きっとさぞかし上等な扇になるでしょうね」

 

「――お、扇? お前、人の羽、装飾具にする気か! だ、誰が、そんなものの為に羽をやるもんか!」

「駄目よ。言ったでしょ。あんたは、私の奴隷なんだから。体だって、羽一枚だって、全部私の物なの。この金の髪も、碧の目も、全部、ぜーんぶね。他の女にやったら、承知しないわよ」

 

 ……どうして。

 どうして、ここまで、傲慢な台詞が吐けるのか。

 勝手に押しかけ女房をしておいて。しかも、自ら妾を夫にあてがっておいて、だ。

 

 もうその態度にあきれ果てて、言葉もない夫に対し、妻の愛情表現は止むことは無かった。侍らせていた妾達に下がるようにと命令すると、さらに大胆に夫の翼に手を伸ばしてくる。

 

「ねえ、どうせまた生えてくるんでしょ? じゃあ、今、これ、全部(むし)っちゃっていい?」

「――ば、馬鹿! そんなことしたら、は、は、禿になるだろうが! 羽のない翼ほど有翼人の間で恥ずかしいものはないんだからなっ! や、やめろ! 馬鹿!! お、おい、君たち、この破廉恥本妻、どうにかしろ!」

 

 エイブリー救出という弱みがある手前、堂々とこの忌々しい妻を殴れぬリュートは堪らずに、妾達へと目を滑らせた。だが、主人のその懇願に対し、部屋を下がらんとしていた妾達は、臆することなく、笑顔で答える。

 

「旦那様、奥様。ご夫婦仲睦まじくて何よりです。お邪魔は致しませんわ」

「うふふ、新婚旅行のご用意なら、この妾達めに任せて下さいな。ご夫婦はご夫婦の成すべき事を、どうぞ、ごゆっくり」

 

 最年長の妾マダム・シェリーから、最年少の少女まで。

 口を揃えて、そう主人を裏切ってくる。

 

「こ、こら! お前ら同胞の男を売る気か! ぼ、僕はこんな女、ぶっ殺したいくらいに嫌いなんだ! だ、大体、エイブリーの事さえ無ければ、こんな女とっくに……」

「とっくに、殺してるって言いたいの? うふふ、どこかしら、そんな物騒な言葉を吐く悪いお口は」

 

 そう、不敵な言葉が響いた瞬間に、顎が妻の指に絡め取られていて。

 

「……駄目よ。そんなお口は……」

 赤い唇から、ちら、と濡れた舌が覗き。その、舌が言葉を紡ぐと同時に。


「うふふ。……食べて、あげる」

 

 しっかりと、くわえ込まれていた。

 熱くて。濡れていて。そして、深い、深い、女の中に。

 

 このまま、流されれば。

 多分、きっと。

 ……とろかされて、本当に。この女の中へ。何が待ち受けているかも分からない、女の深淵へと飲み込まれて。

 そこは多分、この唇よりももっと、熱くて。どろり、としていて。そして、不快だろうに。

 

 ――ぞくり。

 

 思い当たった想像の甘さ。そして、相反する嫌悪感と背徳感が、リュートの背筋を激しく駆け抜けていた。

 その刹那に。

 

「……や、やめろっ!!」

 ぱしり、と乾いた音を立てて、平手が女の頬を撲っていた。


 それによって、上気していた女の頬がさらに赤く染め上がり。快楽の為に下がっていた眉尻も、一気に、上がり――。

 待っていたのは、ただただ、火山を思わせる、妻の憤怒の表情だった。

「……よ、よくも、私の顔を……。お母様以外、誰にも殴られた事ないのに……」

 ふるふると、女の肩が、小刻みに震える。そして、反撃というには強烈すぎる、夫のみぞおちへの一撃。

 

「何よ、このお子様亭主! 出てお行きーーーっ!!」

 

 その言葉と同時に、自室からハーレムの主は、ぽい、と放り出されて。

 外で、中の様子をのぞき見していたと思われる妾達からは、冷やかな視線が浴びせかけられる。

「旦那様……。女性に対して、あの態度は……」

「うるさい! 大体、何、人の部屋覗いてるんだ、お前らは!!」

「いえね、……その、姫様があんなにお熱を上げていらっしゃるのですから、旦那様にもそろそろ頑張って欲しいな、と……」

 

 一体、何を頑張れというのか。

 相手は憎い敵国の女なのに。無理矢理夫婦にさせられただけの関係なのに。

 この女共ときたら、訳が分からなさすぎる。そして、あの、自称『妻』もだ。

 

 ――本当に、女なんて生き物は。

 

 自分には、やっぱり昔の男達に囲まれた生活が似合っている。多少、死神のような男色家に言い寄られて、気持ち悪い思いもしたものの、男達との暮らしは、実に、単純明快で良かった。

 やはり、自分に相応しいのは、あの北の国でのかつてのような生活なのだ。下らぬ冗談を言い合って笑い合い、時に、本気で殴り合って、時に、酒を酌み交わし……。

 

 と、そこまで思い馳せて、リュートは、その体をすっくと立ち上がらせていた。

 そして、尚も言いつのる妾を無視して、館の外へと歩みを進めながら、その胸に決意を新たにする。

 

 ――そうだ。僕は、帰るのだ。

 かの人々の元へ。大きな土産を持って。

 そう、約束したのだから。いつか、共に酒を酌み交わそうと、確かに、約束をしたのだから。

 そして、あの国を守って死んでいった男達が居る限り、自分は絶対に、変節など、してはならないのだから。

 

「……もう、僕は約束は破らないよ、ランドルフ。そして、みんな。何があっても、君たちのもとへ……」

 

 あの、懐かしき、風と翼の王国へ。あの紛う事なき、楽園と――。

 

 

 

 

 

 

「こ、これは、あの有翼の王国の……」

 

 その頃、新妻の命を受けて、暗黒騎士団の兵宿舎に忍び込んでいたキリカは、そこにあったものに驚愕の声を漏らしていた。彼女が、秘密裏に潜入したガイナス将軍の私室で見つけた書類――それは、紛れもない有翼の民の国、ミラ・クラース王国の重要機密と思われる情報の数々だったからだ。

 

 諜報部に探らせて、エイブリーの身柄が皇宮からガイナス将軍配下の暗黒騎士団兵舎へと移されたと聞き、諜報部と協力して乗り込んでみれば、いきなりのこの書類である。

 現在、将軍を始めとした暗黒騎士団は、紅玉騎士団諜報部が用意した宴に出席するために、この兵舎から、引き離されていた。おそらく、今頃、あのエロ将軍は、酒を注ぐ娼婦の胸ぐらでも、ご満悦でまさぐっているに違いない。

 ……ならば、エイブリー以外の情報も、と欲を出して誰も居ない将軍の私室を探ってみれば、この書類である。

 

「これがある、ということは、狐さんは喋ってしまったのね……。仕方のないコね」

 

 この書類をここで握りつぶすのは簡単だ。だが、この書類の内容をもう知ってしまったガイナス将軍を握りつぶすのは容易ではない。

「まったく、姫様の旦那様は大変ですわね……。それにしても……」

 と、キリカが酒瓶と悪臭の漂う服が散乱した将軍の部屋に、目を馳せれば。

 

「……う、うう……」

 

 部屋の奥から、くぐもった声が聞こえてきた。聞き慣れたリンダール語ではない。遠く北の大陸で聞いていたクラース語だ。

「狐さん? そこにいらっしゃるの? 私よ。キリカよ」

 声が漏れてくる壁に耳を近づけてそう問えば、壁からは、さらに明瞭なクラース語が聞こえてきた。おそらく、この壁の奥にはもう一室、隠し部屋があるのだろう。

 その読み通り、キリカが壁に掛けられた精密な織り物をめくり上げれば、そこには、人一人通れるほどの、細い隠し扉が現れた。

 周囲をもう一度見渡して、再度、誰も居ない事を確認し、キリカはその扉の中へ体を滑り込ませる。

 

 と、そこには。

 

「き、キリカお姉様……」

 

 四肢を鎖に繋がれて、信じられないといった目で、彼女を見上げる満身創痍の有翼人の姿。かつては、それなりに端正だった顔も、加えられた暴力のため、かなり腫れ上がっていた。そして、なによりも、その翼。おそらく、何度か毟られたのであろうその羽は、かつての輝きからはほど遠い、禿混じりの翼へと変貌していた。

「まあ……。可哀想に、私の可愛い狐ちゃん。さぞかし、痛かったでしょうに……」

 思わず、慈しみの気持ちからそう手を伸ばしてやれば、男からは、怯えとも取れる叫びが返ってきた。

「だ、駄目だっ! ぼ、僕なんかに、触らないでくれ、お姉様っ! ぼ、僕は……、僕は……、最低の人間なんだ……。貴女に触れて貰える価値すらない、小狡い狐なんだ……」

 その言葉の意味を、握りしめた書類から、即座にキリカは理解する。

「狐ちゃん……。貴方、……売ってしまったのね? 一番売ってはならないものを、売ってしまったのね?」

 

 そこにいたのは、かつて、望まずに奴隷として連れてこられた有翼の貴公子ではなかった。

 ぶるぶると焦点の合わない瞳に、言葉すらまともに言葉すら発することの出来ない、小さな子狐。

 生きるために、……少しでも、この体に加えられる苦痛から逃れるために、家族の暮らす巣穴の在処を猛獣に教えた、裏切り者。

 そして、肉体に加えられる苦痛よりも遙かに辛い、後悔と屈辱と懺悔の念に苛まれる、罪深き男。

 

「き、キリカお姉様……。どうして貴女が助けに来てくれたか、知らないけれど……。ぼ、僕は、もう助けられる価値なんかない人間なんだ。こんな人間、誰も救ってくれない。ましてや、愛しても貰えない人間なんだ……。こんな姿、僕は、貴女に見せたくなんか……」

 

 もう、覇気がないどころか、嫌味の一つも口にしない。

 暗い隠し部屋の片隅で、芋虫の様に蹲って、人間にすら助けを求めない、生ける屍。その目は、キリカを見ているようで、もう誰も見ていなかった。いや、キリカの後ろに、まるで不可視の存在を見ていた、とでも言おうか――。

 

 その哀れな男の啜り泣きに、女の、ぎり、とした歯噛みの音が覆い被さる。そして、それと同時に、男の頬から、ぱぁんっ、と甲高い、平手打ちの音が響いた。

 

「馬鹿言わないでっ! 私が、ここまでどれだけ危険を冒してきたと思っていますのっ! 甘ったれの売国奴が! 私に見られたくないなんて懇願する権利なんてありませんのよっ! ましてや、私の救出を断るなんてね!!」

「……き、キリカお姉様……?」

「いいから、さっさと来る! 来ないと、それ以上の拷問、余裕でして差し上げますわよ?! ええ、私の拷問も、辛いことに関しては定評がありますの。何ならその体で、お試しになるとよろしいわっ!」

 

 有無を言わせず、キリカの手が、エイブリーの首根っこをひっ掴む。そして、繋がれていた鎖を探し当てた鍵の一つで、何とかこじ開けた、――その時。

 

「よお。俺様の部屋で、待っててくれたのかい、姥桜副団長さんよ」

 

 隠し部屋後方から響く、猛獣を思わせる低い男の声。見遣れば、そこには、キリカの想像通りの。


「……ガイナス、将軍」

 へらへらと変わらず耳垢をほじり続けている、黒装束の男の姿。その背後には、彼の配下である暗黒騎士団の面々の姿も見える。

 これは、まずいことになった、と体を震わせるキリカの動揺を悟ったのであろう、将軍は余裕の笑みで耳垢をふっ、と飛ばすと、一つあっけらかんと文句を垂れて見せた。

「キリカ、用意するなら、もっとランクの高い女、用意しとけよなあ。あんな乳の垂れた婆じゃ、俺様、五分で飽きちまわあ。次は、二十代、いんや、十代の女がいいやなぁ。あ、そういえば、お前の娘ももう十五だっけか? そろそろ、だな」

 

 ……びきり。

 そう音を立てんばかりに、一瞬でキリカの額に青筋が浮かぶ。どうやら、最大の逆鱗に触れたらしい。同族の将軍相手とは思えぬような殺気を見せて、腰の剣に手を伸ばしていた。

「お黙り、ガイナス。私の娘に手を出したら、ただではおきませんわよ。私の全てを賭して、お前を切り刻んでくれますわ」

「……おお怖。子を守る雌は、ほんと、おっかねえなあ。わあったよ、乳くせえ十五のガキなんぞには手をださねえからよ。女盛りのおめえさんが俺様の相手をしてくんな」

 その言葉が、何を意味するか、分からぬキリカではない。

「お断りよ、このエロ将軍が! 私は、この狐ちゃんに少し用があっただけですわ。この子をどうこうしようなんて気はありませんの。私は、紅玉騎士団へ帰りますから――そこを、退いて」

 だが、そんなシラがこの暗黒の男に通用するはずもない。息を付かせぬ間に、腰の剣すら遠くに飛ばされ、気づけば、腕がきつく絡め取られていた。

 

「帰すわけには、いかねぇなあ。きちんと、俺様に喋って貰うまでは、な」

 

 臭い男の息が、キリカの顔に吐きかけられる。おそらく、この男は歯も磨いたことがないのだ、と思うほどに、それは不快で。

「しゃ、喋るって、何の事よ。わ、私はただ、この狐ちゃんと……」

「この狐のことなんか、どうでもいいんだわ。こいつは、単なる餌だからよ。あの金髪兄ちゃんが姫さんにこの狐の救出頼む事くらいは、わかってたしな。ま、紅玉騎士団諜報部の女、一人でも捕まえられりゃあと思っていたけど、まさか、お前が来てくれるとはなあ。好都合、好都合」


 無骨な男の指が、女の柔唇に迫る。

 それを払いのけんと、キリカも抵抗するも、すぐに細い顎が、軋みをあげて掴み取られていた。

 そして、耳元で響く、血に飢えた猛獣の舌なめずりの音。

 

「さ、しっかり吐いてくんな、副団長さん。お前さんの主である、あの雌蟷螂が、大森林でこそこそと企んでいる事をな」



最近、更新遅くてすみません。

忙しくて時間が思うように取れないのと、体調不良(胃腸炎)が原因です……。しばらく、週一くらいの更新になるかもしれませんが、ご了承下さい。

この第四部もそろそろ女将軍の登場で、中盤戦へとさしかかります。長い話ですみませんが、また読んで頂ければ幸いです。

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