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第五十三話:邂逅

「姫様ぁ。待って下さいよぉ」

 

 春を迎えた南部の空に、間延びした男の声が響き渡った。それに対して、声をかけられた人物は、その呼びかけに一切構うことなく、さらに乗っている飛竜の腹に拍車を入れて、空を勢いよく翔て行く。

 

「姫様ぁ。こっから先は危険ですってばぁ。この下の森林地帯には、ゲリラがいるんですよぉ。それに、この先の城には国王軍もですよぉ」

 速度をかなり速めたにもかかわらず、間延びした声は、変わらずに付いてくる。それに、先を行く飛竜に乗った人物は、ちっ、と一つ舌打ちをして、忌々しげに答えた。

「お黙り、ロン! 鬱陶しいから、付いて来ないで!」

 高慢な印象を受ける、若い女性の声だ。それを受けて、ロン、と呼ばれた間延びした声の男の方は、さらに、困ったように溜息をつきながらも、自分の飛竜に拍車を入れて、先を行く女の元へ近づいた。そして、尚も、その女を宥めるように、猫なで声で、語りかけ始める。

「姫様ぁ。私たちだって、好きで付いてきているんじゃ、ありませんよぉ。勝手に抜け出される貴女を見たら、そりゃ、放っておけませんって。視察に出られたいのは分かりますが、せめて、城で閣下にご挨拶されてからにしては如何ですか? ほら、そろそろキリカ殿もご到着でしょうし、紅玉騎士団の皆様と一緒に、もう一度来られたらいいじゃないですか。我ら三人では、何かあった時、姫様をお守り出来る自信がありませぇん」

「そうですよ、姫様」

「もう、ゲリラに何人もやられてるんですから」

 背後に控える竜に乗った男、三人から発せられる、情けなさを滲ませたその声に、先を行く人物が、痺れを切らしたように、ようやく、男達の方を振り返った。

 

「お黙り! お前ごときがこの私に意見するんじゃないわ、この、泣き虫ロン!!」

 

 そこに現れたのは、まるで気高い猛禽を思わせるような鋭い赤目を持った女だった。ぎら、と睨め付けるその赤目は、あたかもその双眸に、焔を宿したかの様に猛々しい。

 そして、その赤い焔の眼差しに、より一層の迫力を与えているのが、男なら、一見して、誰もが溜息をついてしまうような美貌だった。ただ、それは男心に、愛らしい、とか、守ってあげたくなる、とかそういった印象を与える類の顔ではない。つん、として、冷たく、まるで高嶺の花、とでも言うべき気高さと、そして、ひれ伏したくなるような高慢さを兼ね備えた、そんな美貌だった。中でも印象的なのが、その唇である。ぷっくりと肉厚で、艶めくその唇は、男を惹き付けて止まぬ蠱惑的な魅力があり、この唇を与えられる為ならば、どんな我が儘でも聞いてやりたい、とすら思わせる妖艶な香りを漂わせていた。それに加えて、魅力的なのが、その豊かな髪である。まるで大輪の花が咲いたかのような、見事な癖のある赤毛だ。それは、決して日に焼けて、荒んだ印象を与える物でなく、ただ、ひたすらに艶々と、そして、ゆったりと舞うように、風に靡いている。

 その圧倒的な美貌に、一瞬声を失った様子の男に、女は、さらに、その口をにや、と誘惑的に歪めて、笑ってみせた。

 

「何よ、今更、私に見とれているの? 昔は一緒に風呂にも入った仲じゃない」

 

 言われたこれまた、蠱惑的な発言に、男は、思わずその顔を朱に染めて答える。

「い、いやぁ。む、昔とはまた、違った魅力がおありですよ、姫様には。いや、本当に、お綺麗になられました」

「ふん。そんなおべっかを使うところは昔っから変わっていないのね。お前、まだ私に惚れているの? ええ? どうなの? イエスか、ノーで答えなさい」

 

 その突然の告白の強要に、ロンと呼ばれた男は、飛竜を器用に、片手で駆りながら、さらにその頬を真っ赤に染めて、もじもじと、言葉を詰まらせた。

 この男、その腕に、蒼地に太陽の刺繍が施された腕章を着けていることからも、あの蒼天騎士団の団員であることが伺えるが、その間延びした声といい、その恥ずかしげに俯く態度といい、とても頑健な騎士揃いの蒼天騎士団の団員とは思えないような、薄い印象の男だった。まるで一文字に傷が付いたかのような、典型的な糸目に、黒髪の無難な短髪。それに加えて、その体躯も特に特徴のない中肉中背。一言で言えば、……地味、とでも言うべきような男だった。とてもではないが、この猛禽のような女とは釣り合いが取れる男ではない。

 そんな明らかに格差のある女に対して、男は、おずおずとその口から自分の想いを告げて見せた。

「……い、いやぁ。ええ、まあ、今でも、お好きですよ、姫様の事は。今だって、出来れば、姫様と結婚したいなぁ、と思っているんですよ」

 

 途端に、高らかな笑い声が、南部の山に木霊した。

「あはははははっ。何、本気にしているの、ロン。ええ? 私と結婚したいですって? あはははっ、何、プロポーズまでしてるのよ。あー、本当にうけるんですけど」

 男の意を決したる告白は、冷笑と共に、にべもなく切って落とされていた。だが、その結果に、男は少しも、残念がるような様子を見せていない。うすうす、この玉砕っぷりについては、分かっていた事だったからだ。なにしろ、この姫ときたら……。

「ロン。いいこと? この私の夫になる男はね、そんじょそこらの男では駄目なの。国一つ動かすことが出来るような、そんな大きな器の男でないとね。強く、美しく、そして、聡明でなければならないの。お前じゃあね、ちょっと、見目が地味すぎるわ」

 この、清々しいまでの傲慢ぶりである。姫君、というのは、正しくこうあるべきなのだ、とでも言いたげな、見事な高飛車ぶりだった。

 

「ええ、ええ。わかりました、姫様。私のことは地味でも屑でも、何とでも仰って頂いて結構ですから、とにかく、城に戻って下さい。私、将軍に叱られます。こいつらだって、同様ですよぉ」

 言うと、糸目の男は後ろに控えて飛んでいた竜騎士二人と共に、女を諫めるように、その周囲にさらに近づく。だが、三体の竜騎士に囲まれても、女はその眉一つ動かすことはしない。ただ、しゃあしゃあと、この国に駐留している軍隊の最高司令官にあたる男に対して、文句を吐き出し始めるのみである。

「いやよ、私、サイニー苦手ですもの。あんな堅物大嫌い。それに、お前達、蒼天騎士団もね。騎士道だとか、なんだとか、馬鹿みたい」

「姫様……。そりゃ、ないんじゃないんですかねぇ。うちの将軍閣下にそんな事言ったら、大変な事になりますよ」

「あら、私は本当の事を言っているだけよ? 騎士道だとか、そんなもの欺瞞に過ぎないわ。それを、大の男達が、さもありがたがって、英雄ぶって。馬鹿じゃないの。やっていることは、戦争と侵略に変わりないのに」

 堂々と否定された自分たちの矜持に、付いてきた蒼天騎士団の二人の男達は、返す言葉もない。ただ、その中で一人、糸目の男だけが、何か諦めたように、言葉を返した。

「何を言っているんですか。この世にある全ての思想は皆、欺瞞から出来ているんですよ。宗教しかり、哲学しかり、です。そんな御託はいいですから、早く帰りましょうよぉ。情報だと、先に王都に行っていたという白羽の男が、ルークリヴィル城まで帰ってきているらしいんですから」

 

「――白羽の男?」

 

 耳ざとくその単語を聞き取った女が、詳細を話せ、とばかりに、糸目の男に反問する。

「ええ。先だって、閣下を敗走させた敵軍の男ですよ。私は、エルダーにおりましたんで、その男の事を直接見たわけではありませんが、白羽の希少種らしいですよ。しかも、輝く金髪に、碧の目を持った、目の覚めるような美男子らしいです」

 その言葉をうけて、何か、思い立ったように、隣を飛んでいる女の赤目が、きらり、と光った。そして、その目を輝かせたまま、嬉しそうな声音でさらに問う。

「この有翼の民の希少種、しかも、白羽で、金髪、碧の目ですって? ねえ、まだ、それ、若いのよね?」

「ええ。閣下の話によると、まだ十代ほどに見えたとか」

 

「――欲しい!!」

 

 突然、高らかなおねだりの台詞が、女の口から飛び出した。そして、尚も、うきうきとした調子で、そのたっぷりとした唇を震わせて、男達に言う。

「欲しい! 欲しいわ! その男! 帝都にある私のハーレムに、是非とも迎えたいわ!!」

「え? ええ? な、何言っているんですか! 相手はあの閣下を敗走させた男ですよ? そんな簡単に……」

「欲しいったら、欲しいの!! 私が高値で買ってあげるから、お前達、その男捕まえてきなさい! ああ……。あのハーレムに白羽の美形ちゃんが加わるなんて、なんて素敵な事かしら!!」

 うっとりとした様子で、そう言ってのける女に、男達は、その頭を抱えて、諦めたように溜息をつくより他にない。特に、この糸目の男は、長い付き合いになるこの女の気性を、嫌と言うほど分かっているので、もう反論のはの字すら口にしようとはしない。ただ、……そうですね、美形ちゃんを、ハーレムにですか……、あの帝都のね……、と遠い目で同意してやるのみだ。

 その言葉に、女の目が、何かに思い当たった様に、はた、とその色を変えた。先のうっとりした物からはほど遠い、何か忌々しげな眼差しだ。

 

「……ああ、帝都、と言えば、嫌なことを思い出した。あの糞ったれの元老院の爺共、よりにもよって、私にあの男の子供を産め、と言ってきやがったのよ。誰が、あんな男の子を産むものですか。忌々しいっ! あの爺共、片っ端からその首刎ねてやろうと思ったのに!」

 

 吐き捨てるようにそう言うと、女は、その気分の悪さを振り払うために、さらに高度を上げようと、駆っていた飛竜の手綱を、ぐい、と引っ張った。だが、その飛竜は、一向に、その命令に従おうとしない。ブルル、と荒々しい鼻息を吐いて、騎手の意志とは裏腹に、ゆっくりと高度を落とす態勢に入っていた。

「何よ。この飛竜! ちっとも私の言うこと聞かないじゃない! ほら、もっと、上に上がって!!」

 言いながら、さらに、女は拍車を入れるが、またも、飛竜はその命には従わない。いやいやをするように、首を振って、まるで騎手をふるい落とさんばかりに暴れ始めた。

「ちょ! この馬鹿飛竜! 言うこと聞きなさいってば!! まったく、私の愛竜のシルフィとは雲泥の差だわ、この駄竜!」

「え? 姫様、これ、いつものシルフィじゃないんですか? 一体、この飛竜、どこから……」

 今にも落竜せんばかりに暴れる竜の背に掴まる姫の様子に、狼狽えながら、ロンという男が尋ねる。

「ええ? 私のシルフィは海越えで疲れていたから、エルダー城の端にあった厩舎からこの竜、勝手に拝借してきたのよ! もう! 何で、こんなに気性が荒いのよ、この駄竜は!!」

 答えながら、必死に竜を制御せんと試みる姫君の言葉に、男は、一つ、嫌な予感を感じ取って、恐る恐るその詳細を確認した。

「も、もしかして、端の厩舎って、南の城門付近のですか?」

「ええ! そうよ! この竜だけ隔離されていたから、特別な竜かと思って、拝借してきたの!!」

 返ってきた案の定の答えに、糸目の男の顔が、さあっ、と青くなった。そして、驚愕の事実を、姫に伝える。

 

「ひ、姫様。こ、この竜、妊娠しているんですよ!! もう、産卵間近なので、あそこに隔離してあったんです!!」

 

「――えっ。じゃ、じゃあ……」

 告げられた事実に、愕然とその赤い目を瞬かせる姫の呟きに被さるように、糸目の男が叫ぶ。

 

「多分、今から、産卵ですよ!! 早く着陸して下さい!!」

 

 

 

 

 

 

「――多分、情報から、この森林付近だと思うのですが……」

 ルークリヴィル城から南に下った木々の生い茂る森の中、ナムワが、その自慢の筋肉で枝を掻き分けながら、先を進んで行く。

「気をつけられませ、リュート様。奴等、本当に何を考えているか分からぬ連中ですので。こちらの味方とは限らないですからな」

「ああ、気をつける。それにしても……」

 ナムワの後をついて進んでいたリュートの目が、何かあきれ果てたようにその背後に向いた。そこには、森の中、まるで緊張感のない男達が、数人。

 

「うっはー。サバイバルって感じじゃね?」

「うわ! あれ、なんて動物だろ? あんな動物、王都じゃ見たことないっすわ」

「たいちょー。変な虫いるよー。ボク虫きらーい。ねー、クルシェちゃん、君もイヤだよねー」

「え? え、えと、ぼ、僕は……」

 

 それは、紛れもなく、あの王都から連れてきた近衛十二塔守備隊の、リザ、アーリ、トーヤ、それにクルシェの面々であった。そのいずれもふぬけた様子の男達に、リュートから、きつい叱責の声が飛ぶ。

「お前達! 遊びに来たんじゃないぞ! やる気ないんなら、さっさと帰れ!!」

「まあまあ、隊長。んなかてー事言わねーでよー。俺らマジ、王都しか知らねんだわ」

 あの愛読書、『これであなたも貴公子! 正しいクラース語入門講座』の成果はどこへやら、リザがまたぞんざいな口調でそう話しかける。それは、隣にいるアーリも同じ事で、あの御前会議が終わって以来、またその髭も、髪も伸ばしっぱなしで、すっかり、元の木阿弥状態になっていた。

 その隊士達の様子に、また頭を抱えながらも、リュートはナムワに促されて、森を先に進んでゆく。

 

 南部の森は思っていたよりも雪解けが早かったようで、森を流れる小川も、随分その水量を増していた。そして、それに促されるかのように、木々に、目に眩しいような新芽が芽吹いている。これだけ見ると、非常に牧歌的な風景であり、とても、戦時下にある土地、とは思えぬような穏やかな光景だった。

 その南部の森を見るに付け、リュートの脳裏に、こののどかな風景とはかけ離れた、陰気な男の言葉が思い起こされた。あの、死神と揶揄されたリューデュシエン南大公の言葉である。御前会議の後、旅立つリュートに向けて、彼が語った言葉――。

 

 ――『行かれるンですね、我が南部に。お気を付けなさい。南部は、一筋縄ではいかぬ土地です。あの、侵攻を受けてから、気楽を旨としていた南部人は変わってしまいました。……何故、この南部だけ、こんな目に遭わなければならないのか。他の土地の連中は、のうのうと暮らしているのに。それが、今の南部人の、偽らざる心境です。南部人は、他の土地の人間を心底信用はしていないンです』

 

 ――『……ご忠告、感謝する。それでも、僕は赴くつもりだよ、トリスタン』

 

 ――『ああ、それでこそ、我が麗しき白羽の君です。流石は、我が心を捕らえて止まぬ、偉大なる獅子。いや、ガラにあわぬお節介をしてしまいました。貴方といると、どうも調子が狂います。ただの傍観者でいるつもりでしたのに、つい、俗世に干渉したくなってしまう』

 

 ――『それで……、これから、お前はどうするつもりだ?』

 

 ――『べつに、今までと変わりませン。いつも通り、あの劇場で、作られた美を愛でて、生きながらに死ぬことに致します。また、貴方にひれ伏すことが出来る日を願いながら……』

 

 ――『相変わらず、ド変態だな、お前は』

 

 ――『ふふ、愛しておりますよ、我が麗しき白羽の君。例え、貴方が英雄となっても、もしくは、あまりの運命の重さに、私の様な廃人になっても。いつまでも、私は貴方を愛しております。……それでは、また、お会い出来る日を願って』

 

 ――『僕は、出来ればお前に、もう会いたくはないんだがな』

 

 ――『ええ。それも、また一興。それでは、最後に、一つだけ。……南部は、『熱』にお気をつけなさい。我が生涯、ただ一人のご主人様……』

 

 

 ……熱、か。

 

 言われた、真意の分からぬ変態の言葉が、いやに耳に付いている。

 だが、いくら考えても、それが意味する所がなんなのか、分からない。そして、もう一点、気になるのが、かつて劇場であの死神が語った、ルークリヴィル城に隠されている、という秘密だ。それが、何なのか、知りたいようで、……知る必要もない、とも思う。

 何故なら、目下の目標は竜騎士の駆逐であり、その目的以外の事に裂く時間も、心もないのが現状だからだ。そして、竜騎士を駆逐することが出来たら……。

 

 と、そこまで考えて、リュートは、改めて奥まった森に、その目を馳せてみた。

 すると、この森がある山肌のあちこちに、大小の洞窟の様な穴が開いているのが、やたらと目に付いた。それを先導役のナムワに尋ねると、地図を指し示しながら、その答えを返してくる。

「この辺は、メテオラ、と言うかつての鉱山があった土地でしてな。これは全て採掘跡地なんです。この山を越えれば、鉱山町の廃墟がありますよ。今は閉山しているので、誰も住んでいないようですが」

「ふうん……」

 何か、考え込むようにその穴と、その山の向こうにあるという廃墟のある場所を、地図で見比べていると、ふと、リュートの耳に、聞き慣れない甲高い動物の鳴き声の様な物が聞こえてきた。いや、正確に言えば、聞き慣れていない、と言うわけでない。聞くことを、嫌悪する、そんな鳴き声だった。

 

「……リュート様、この鳴き声は……」

 同様にナムワもこの鳴き声が何の物なのか悟った様に、警戒を強めて、そうリュートに語りかけた。それに、リュートは深く頷いて、リザ達に即座に命令を下す。

「リザ、アーリ。武器を取って、僕に付いてこい。決して警戒は緩めるな。トーヤはここでクルシェと待っていろ。いいな」

 

「え、ええっ? たいちょー、ボクらも連れてってよ〜っ」

 トーヤが不服げにそう言うか言わないうちに、リュートは既に場を後にしていた。それに、ナムワ、リザ、アーリも続いて消えていく。ご丁寧に、……お子ちゃま達はここで待ってな、という嘲笑を残して、である。

「なーんだよ! みんなしてボクらのコト馬鹿にしちゃってさ! ね、クルシェちゃん! あったまくるよね!」

「……え? で、でも、僕は……」

「もう! そんなんだから、ダメなんだよ、クルシェちゃんは! もっと野心っていうのを抱かないと! あ、そうだ、いいコト考えた!!」

 残されたトーヤは、何か思いついたように、ポン、と手を打ち鳴らすと、さっきナムワが持っていた物と同様の地図を鞄から取りだして、それを見ながら、森を違った方向へと進んでいく。勿論、無理矢理、クルシェの腕を取って、である。そして、その手を引き引き、無謀な計画をクルシェに提案してくる。

「隊長がいないうちにさ、ボクらが、例の『南部の風』見つけちゃおうよ。そんで、奴等をちょいちょい、と、騙くらかして、仲間にしちゃうってのはどう? そしたら、きっと隊長もボクらのコト、すっげ〜って見直して……」

 そうトーヤが言い終わらないうちに、突然、クルシェを引っ張っていた腕が、ぐい、と引き戻された。とても、あの弱々しいクルシェの手とは思えぬような力だ。それに、何か嫌な予感を感じながら、トーヤは恐る恐る振り返ってみせた。

 

「……んーっ!! ……んんんっ!!」

 

 そこには、見知らぬ男数人に、羽交い締めにされて、口を塞がれているクルシェの姿。

 そのあまりにも突然の出来事に、呆気にとられるトーヤに、即座に、他の男達が襲いかかった。いずれも顔に布を巻いた、覆面の男達だ。背に羽があることから同じ、クラース人だと言うことがわかる。

「な、何だよ、お前ら! クルシェちゃんを離せ! 近衛十二塔守備隊のトーヤ君をナメるなよぉっ!!」

 そう吐き捨てながら、トーヤは咄嗟に、腰の剣に手を伸ばさんとするが、その柄に手をかけることは叶わない。何か、鈍い音と共に、自分の後頭部に衝撃が走るのを、感じた途端、彼の意識は、暗い暗い闇の中へと落ちていった。

 

 

 

 

 ――ギャア……、ギャア……。

 

 一方で、リュートはそんな背後での少年達の異変に気づくことなく、森を先に進んでいた。

 しばらくナムワらとともに、川沿いを行くと、さらにそのけたたましい声が近くなる。思っていたとおり、あの、本来ならば、この大陸で聞くはずのない、生き物の声だ。かつて、リュートの胸に、痛々しい爪痕を残した、……リンダールの飛竜の声だ。

 だが、少々様子が違うのは、その声はいつもの耳をつんざくような迫力のある咆哮ではなく、何か、苦しがっているような、そんな声だった。その声のする方向を辿りながら、先を進むと、やがて、鳴き声に混じって、誰かの話し声が聞こえてきた。案の定、この大陸で使われない言語、リンダール語である。

 

「気を付けろ、お前達。やっぱり、竜騎士だ」

 葉陰に隠れながら、様子を窺うと、そこには地にひれ伏しながら、ギャアギャアと鳴きわめいている飛竜を取り囲む騎士が四名。その中でも一番小さな体躯をしている騎士が、伏している竜の腹に手を当てて、何やら声をかけている。

「……奴等、こんな場所で何をしているんだ? ゲリラに襲われた、という訳でもなさそうだし……」

 さらに、その様子を確認せんと、お供と共に、リュートがさらに近づいた時だった。

 

 ――バキッ……。

 

 リュートの後ろに付いていたリザが、不注意で落ちていた枝を、大きく踏み鳴らしてしまった。その音に、一斉に四人の騎士達がこちらを振り向く。そして、警戒を強めながら、得物に手をかけて、分からぬ言葉で、リュートらの方に近づいてきた。

「誰だ! 『南部の風』の連中か?! 出てこい!!」

 

「ちっ……!!」

 こうなったら、もう戦闘あるのみ、とリュートは腰の剣に手をかけて、勢いよく葉陰から飛び出した。そこには、得物を構える三人の男に守られるように、伏した飛竜に縋り付く小さな体の赤毛の騎士の姿。

 その騎士と、目があった瞬間、リュートの中に、何か分からない衝撃が駆け抜けた。

 

 ――まるで、射抜かれるような、鋭い焔の瞳。

 

 かつて相対した、皇帝のそれを思わせるその瞳に見据えられた、その瞬間、確かに、リュートの心が、凍り付いたかのように、時を止めていた。

 

 それは、相手の人物も同様だったようで、リュートの碧の瞳に見据えられるやいなや、その瞳が見る間に、警戒の色から、驚愕と、そして呆然とした色へと変化を見せる。

 

 惚けた様な、というのはこう言う事なのだろうか。

 

 リュートと、赤毛の騎士の間に、奇妙な沈黙と、時間が流れる。それは、端から見れば、一瞬、とでも言えるような時間だったのであろうが、二人の間には間違いなく、それ以上の時間が流れていた。

 そして、しばし、お互いに見つめ合った後、ようやくリュートが、その口から驚いたように、言葉を絞り出す。

 

「……お、女……?」

 

 間違いなく、赤毛の騎士は、女の体をしていた。決してふくよか、とは言えないが、その丸みのある体躯に備わった艶めかしい雰囲気は、紛うことなき女の物だった。それも、とびきり上等な、女だ。その腕には、白地に紅玉と花文様の刺繍が入った腕章が輝いている。

 

「姫様! ここは我らに任せて、早うお逃げに!!」

 

 リンダールの言葉を発しながら、一人の騎士が、リュートと、赤毛の騎士の前に立ちはだかった。その手に持った槍を、ぎら、と向けられて、ようやくリュートは、惚けていた心を引き戻し、意識を手をかけたままだった剣に、集中させる。

「ナムワ、リザ、アーリ! 続け!」

「――了解!」

 

 その声と共に、リュートの剣が、騎士の槍を弾いていた。そして、返す刃で、騎士の脇腹辺りをしこたまに斬りつける。鎧があるため、致命傷にはなっていないようだが、それでも、かなりのダメージを与えたと見え、一撃で、騎士が地にもんどり打って転がった。その様子に、初めて竜騎士と相対するリザ達は、感嘆の溜息をもらしながら、自分らも負けていられぬ、と残りの騎士達へ斬りかかっていく。

 一方で、歴戦の武人であるナムワは、逃げ場を削ぐため、騎士の足である飛竜に、その自慢の槍を突き立てていた。勿論、このナムワの槍も、鍛冶屋達によって、強化済みの槍である。いとも簡単に、竜の喉笛から、ぷしゅ、と血が噴き出していた。その光景を間近で見ながら、赤毛の騎士が、伏して苦しんでいる竜を守るかのように、腰のサーベルに手をかける。そして、リュートに向けて、分からぬリンダールの言葉で、何やら発して見せた。

 

「この竜は殺させないわ! この、リンダール帝国、帝妹、エリーヤ=ミーシカ・ハーンの名にかけて!!」

 

 途端に、キンッ、という金属音と共に、リュートの剣と、赤毛の女のサーベルが交差する。女ながらに、なかなかの手練れである。だが、所詮は、竜に乗っていないただの騎士。単体で空を飛べるリュートに、敵うべくもない。

「女とて、リンダール人は容赦しないぞ!」

 とどめとばかりに、空中から、リュートの剣が女に向かって振り下ろされる。

 

「姫様! ここは私に!!」

 

 ガリガリッという嫌な金属音を響かせ、別のサーベルがリュートの剣を受け止めていた。それと、同時に、先の女の一撃とは比べ物にならぬほどの力で、リュートの剣がはじき返される。

「――ロン!!」

 そう叫ぶ女騎士の前に、細い目の黒髪の騎士が立ちふさがっていた。そして、後ろの女に向けて、先までの間延びした声とはうって変わった厳しい声で命令をする。

「行きなさい、姫様! この男、先に言っていた『白羽の男』です! とても、貴女が勝てるような相手ではない!! この竜も、我らも見捨てて、貴女だけでもエルダーに帰りなさい!!」

「そんな……、ロン!!」

「いいから!! 早く、私の竜に!!」

 そのせっぱ詰まった声に、突き動かされた様に女騎士が動いた。さっきまでこの糸目の男が乗っていた竜に跨ると、襲いかからんとしていたナムワをそのサーベルであしらって、竜に拍車を入れる。

 

「――待て! 逃がさんぞ!」

 それを阻止せんと、尚も女騎士に斬りかかるリュートの前に、再び糸目の男が現れた。

「姫様には指一本触れさせん! 覚悟!!」

 まるで必死の最後の抵抗、とばかりに、男は全力でリュートへとそのサーベルを振り下ろす。だが、その渾身の一撃も、リュートの身軽さには敵いはしない。ふわり、と舞うようにサーベルを避けられたのと同時に、男の耳に、不敵な嘲笑が届く。

 

「……ふん。地を這い蹲る蛞蝓め。武器さえ同等なら、お前達など、僕の敵ではない」

 

 その言葉と共に、糸目の男はみぞおちに、激しい衝撃を覚えていた。それと同時に、自分の意志とは関係なく、口から吐瀉物が噴出する。

「――ロン! ロン! ロンヴァルド!! しっかりしなさい!!」

 女騎士が、飛び上がらんとする竜の背で、男の名を呼んで見せるが、男は一向に答えようとはしない。ただ、みっともなく、自らが吐いた液体の上に、その顔を伏して、転がるのみである。

「ふん、大したことないな、蒼天騎士団員の癖して」

 倒れ伏した男の腕章を確認しながら、リュートが嘲笑と共に、糸目の男の頭をぐり、と踏みつける。その圧倒的な眼下の光景に、女騎士は、その身をかつてないほど、ぞくり、と竦ませた。

 

 ――逃げなければ、……本当に、殺られる……!!

 

 そう本能的に感じ取った女騎士は、即座に手綱を引き戻して、竜首を返す。勿論、南、エルダーの方向に、である。

 その逃亡の様子を即座に感じ取ったリュートが、あらかた竜と他の騎士を倒していたナムワに命令して、自らも空へと、飛び立っていく。

「逃がすな!追え!!」

 

 

「――待ちなさい!!」

 

 

 突然、一筋の矢と共に、凛とした女の声が響き渡った。

 先に対峙した赤毛の女の声ではない。もっと、落ち着いた、玲瓏な大人の女の声だ。そして、その言葉は、赤毛の女騎士同様、リュートに理解出来ぬリンダール語だった。

 眼前に掠った矢の放たれた方向を辿りながら、即座にリュートは、その声がした南の山頂付近に、目をこらす。そこには、この赤毛の女騎士よりも、さらに大きな武装飛竜に乗った女が二名。一人は、おそらく先の矢を撃ったのであろう、弓を番えた茶色のショートボブの麗人、そして、もう一人は、亜麻色の肌をした、リュートよりも遙かに背が高い、黒髪の女だ。その腕には、この赤毛の女騎士の腕同様に、紅玉の腕章がはめられていた。

「キリカ!! ジェック!!」

 その姿を認めるなり、赤毛の女が、目を輝かせてそう叫ぶ。それと同時に、現れた女騎士二名が、その竜を駆って、山頂からリュートの前まで一気にかけ下ってきた。そして、追いかけんとしていたリュートを遮るように、亜麻色の肌をした女騎士が目の前に現れる。

 その姿を認識するかしないかのその刹那、ヒュオ、と風切り音を響かせて、勢いよく、女の得物が、リュートの眉間目がけて振り下ろされた。帝国特有の戦斧。それもとびきりの超特大品である。

 

「……な、なんて、馬鹿力な女……」

 紙一重でそれを避けながら、リュートが呆れたように、そう呟く。そうしている間に、もう一人の麗人が、赤毛の女の元に、竜を寄せて、彼女を守るように、その後ろに付いた。そして、先にリュートに斧を振り下ろした女に向けて、命令を下す。

「ジェック! お遊びはそこまでよ! 今日の所は姫様の確保が最優先! さ、帰るわよ!!」

 言うと、女達は一斉にその竜首を返して、勢いよく各自の竜に鞭を入れた。けたたましい嘶きと共に、竜が、滑るように南部の空を南へと翔だしてゆく。

 こうなれば、いくらリュートと言えども、飛竜のスピードに追いつけるものではない。ただ、先の女の馬鹿力に、嫌な汗をかきつつ、消えゆく竜尾を見送るのみだ。

 


「逃がしましたな……。あの腕章、そして、女騎士。おそらく、紅玉騎士団の面々でしょう」

 同じように、歯噛みしながら、彼女らを見送っていたナムワが、そう推察を示す。

「紅玉騎士団……?」

「ええ、女だけで構成されている騎士団です。先の第一次侵攻の折にも、来ておりました。確か当時は、あの、女将軍ミーシカ・グラナが率いておったはずですが……」

 

 ……ミーシカ・グラナだって?

 

 ナムワのその言葉に、リュートは一つの事実を思い出した。確か、王都に行った時にあの鷹の大公が語った過去の話。リュートの父、ヴァレルが皇帝を捕らえて、その後、皇帝と共に捕らえていた女将軍を――。

 

 ――『故意に逃がしてしまったのだよ。帝国第三軍の長、女将軍、ミーシカ・グラナをな』

 

 ……あの、……あの、女将軍の騎士団だって? そ、それが今、またこの国に来ていると言うのか?

 

 その思い当たった事実と共に、リュートの背筋に、何かぞくり、と嫌な予感が駆け抜けた。サイニー将軍だけでも手強い、と思っていたのに、そんな援軍まで来ている。しかも、自分の父と因縁のある女の騎士団だ。

「くそっ……。蒼天騎士団だけでも、一苦労なのに、よりにもよって……」

 

「隊長! リュート隊長!!」

 

 来るべき騎士団との戦闘に向けて、嫌な予感を噛み潰すように、歯噛みしていたリュートに、下から、リザの声が投げかけられた。何か、驚いた様な声音だ。

「どうした、リザ?」

 その声に応じて、リザの元に戻ってみると、そこには既に絶命した飛竜の死体。先に、苦しがって伏していた竜に間違いない。その巨大な腹の下を指さして、リザが震える声音で、リュートに告げる。

 

「た、隊長。あ、あれ、た、卵じゃね?」

 

 そこには言うとおり、竜の死体に守られるように包まれた、大きな球体が一つ。少々、奇妙な柄が入っていて、かなり巨大だが、しかし、どこからどうみても、それは卵にしか見えなかった。

 

「ひ、飛竜の卵……?」

 

 恐る恐る、リュートがそれに触れてみる。おそらく、産んで間もないのだろう。酷く温かい。そして、その内に、確かに、生命が宿っているのを感じる。

「た、隊長。こ、これ、どうすんだよ? く、食えないだろ? な、こ、壊しちまおうぜ、こんな化け物の卵」

 震える声音でそう言うリザを尻目に、リュートはそれを恐れることなく、両手で抱きかかえて見せた。男が両手でやっと抱えられるような大きさと重さだ。そして、それを運びながら、もう一人の近衛十二塔守備隊の男、アーリを呼んでやる。

「アーリ。お前、確か動物好きだったな」

 さっきまで騎士を縛り上げていたアーリは、突然の呼び出しに何事か、と思いながら、近づいた途端、その台詞と、リュートが持っている巨大な卵に絶句する。そして、何か、嫌な予感を感じながらも、恐る恐る答える。

「え……? そ、そりゃ、好きですけどね……」

 

「お前、これ、温めろ」

 

 この破天荒な隊長に、随分慣れてきた、と思っていたのは甘かったらしい。アーリは、その髭だらけの顎が外れんばかりに驚愕するしかできない。そして、尚も、目の前の美麗な隊長は、恐ろしい要求をアーリに突きつけてきた。

 

「孵化させて、調教しろ。それで、僕の飛竜として飼え」

 

 ……いや、俺、は虫類苦手なんっすわ。もこもこ系、専門で。

 などという拒絶の台詞は、到底、この男には通じるはずもない。アーリは、伸ばしっぱなしの前髪に隠された目を、遠く、死んだ母に馳せて、小さく内心で呟くより他にない。

 

 ……母ちゃん、俺、頑張ってるよ……。てか、この人の元じゃ、頑張らざるを、得ないよ……。

 

 

「さて、卵の件はアーリに任せたとして、後はこの騎士達だな」

 言うと、リュートは、既にさっき縛り上げられていた騎士三人を、その足でこづくと、今度はナムワとリザに向けて、命令を下した。

「お前達、先にこの三人、連れて城に帰っていろ。僕はトーヤとクルシェを連れて、もう少し、この辺りを探ってみる。日没までには帰るから。それまでに、こいつら地下牢にでも繋いでおけ」

「はっ。かしこまりました」

「あいよ、隊長。そういう仕事なら、だいかんげー。あー、マジ助かった。人間相手で」

 

 ナムワと何か、ほっとしたようなリザの承諾の言葉を受けて、リュートは、即座にその羽を翻して、先に少年らを残してきた森付近へ戻った。だが、そこに、トーヤ、そして、クルシェの姿はない。何度か名を呼んでみるが、ただ、静かな川のせせらぎが返って来るのみである。

「おかしいな。あいつら、どこへ行った……? まさか、あの腹黒トーヤが、まっさらなクルシェを変な道に唆しているんじゃないだろうな。そうなったら、あのクソガキ、最前線中の最前線に投入してやるぞ」

 ぶつぶつと、腹黒少年への呪詛の言葉を吐きながら、リュートはさらに奥まった森へとその歩みを進める。

 

 ――と、その時。

 

 嫌な風を感じると共に、一瞬で、リュートはその腰の剣を引き抜いていた。

 

 そして、自らの背後に迫った人物の首に、ぴたり、とそれを突きつける。

「――何だ、お前達は」

 リュートの声が、低く、最大級の警戒を帯びているのは無理もない。彼の背後には、彼を囲むように、十人ほどの男が、剣を構えていたからだ。その背に羽のある、同じ有翼の民――。

 

 その中の一人、黒い覆面をしたリーダー格と見られる男が、リュートの見事な剣捌きに感心しつつも、口を開いた。

 

「なかなか、お強いお兄さんみたいだね。でも、おとなしくして貰えるかな? あの、坊ちゃん達、殺されたくなければね」

 

「……坊ちゃん達? クルシェと、トーヤの事か!」

「そうそう。可愛い黒羽と水色の羽の子達だよ。あの子達もそうだけど、あんたはもっと良い身なりしてるね。国王軍に付いてきた、御貴族様ってとこかな?」

 覆面から覗く鋭い目線で、リュートの事を舐めるように値踏みした後、男は、さらに驚愕の台詞をリュートに対して紡ぎ出した。

 

 

「――人質になってもらうよ。あんたなら、国王軍からいい身代金、払って貰えそうだ。この、『南部の風』の為にな」

 

 

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