誘い
最近、後輩の女子の友人ができた。
きっかけは新年度早々、道に迷っている一年生を見つけた、ということに因る。
そのときに一緒に学校にいって……とそんな感じであった。
最初は、仲の良い女子もあまりいないし、後輩の知り合いもあまりいないし、ラッキー。くらいに考えていた。
あわよくば、なんて考えて、何かのイベントにつけて、彼女を誘いだしていた。この後輩は、断るということをしらないのか、俺が誘うと、必ず決まって「了解ですっ」と言うものだから、こちらも調子づいてしまって、何気ないことにすら誘うようになった。
テスト勉強だ、夏休みだから何処かに遊びに行こうとか、暇だから何か暇潰しでもしようとか、文化祭を二人でダラダラとしたり、とか。
本当になんでもないようなことから、大切なイベントまで、後輩は俺に付き合ってくれた。
そんな状態に慣れきっていた時に、ふと思った。
なんでこの後輩は、俺からの誘いを断らないのか、と。
今更ながら不思議に思ったのだ。
もしかしたら、俺が先輩だということもあり、誘いを断りづらいのだろうか。そうなのだとしたら、それはとても申し訳ないことをしていた、と思う。これからは遠慮を覚えないといけないな、なんて考えたわけで。
それならば、早いところ聞いて、話を固めないといけないだろつと思い至ったのだった。
それとなく。何気ないつもりで、昼食時に訊ねてみた。
沢山のパンを前に、むむむ、と唸る後輩にサラッと訊く。
「なぁ、なんでお前は俺の誘いを断ったりしないんだ?」
後輩は、俺の言葉に目を丸くする。どうしたのか、と俺が訝しんでいると、途端に恥ずかしそうに顔を伏せた。
突然のことに俺はどうするべきか分からなかった。取り敢えず、何か言葉をかけねば、なんて考えながら、その言葉は見つからない。結局、おろおろとするばかりだった。
そうしているうちに、後輩は何か心境に変化でもあったのか突然、バッと顔をあげた。その頬は赤らんでいた。
後輩は口を開く。
「そ、そりゃ好きな人とは幾らでも一緒に居たいじゃないですかっ」
今度は俺が目を丸くする番だった。
最近、後輩の女子の恋人ができた。




