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プレゼント
噴水広場は、色とりどりのイルミネーションに飾られ、普段より一層ロマンチックな雰囲気を纏っていた。
そんな雰囲気の中で、君は天を見上げ、語り出す。
「私は、貴方に何だってあげることが出来る。
この噴水だってあげることはきっと出来るでしょう。
車も、家も、暖かいご飯も、お金も。
あの月の土地だってあげることが出来る。
私は貴方に何だってあげることが出来るわ。
けれど、それって誰でもあげられるものじゃない?
私じゃなくたってあげられるわよね。
それどころか、貴方が自分の手で掴むことすら出来る。
そんなものをあげたところで何の意味があるのかしら。
私は誰でもあげられるものなんて、貴方には贈らないわ。
私は私にしかあげられないものを貴方に贈りたい。
だから、ねぇ。
私の時間、私の身体、私のハジメテ、私の心。
その全てを。私だけのもの、その全てを貴方にあげるわ。
こんな聖夜にはそれぐらいのものじゃないと、ふさわしくないと思わない?
だから、ねぇ。
受け取ってくれないかしら。」
そういって、彼女が笑う。
赤と白の服がサンタのようだった。