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ミントティにスイートチョコレート。

それが私の一番のお気に入り。だけどティーナ様はミントティが苦手な様子。

美味しいのに。


「だってスースーするもん」


「それが良いんじゃありませんか」


「え~・・・」


本日晴天なり。

テラスのテーブルでティーナ様と2人でお茶を頂いています。

メリーさんも最早諦めの境地、室内の掃除をしているのに、私お茶。

いいのかなぁ。

いや良くないのはわかってるんだけど、ティーナ様のおねだりには勝てません。


今日はホットチョコレートとお茶請けに砂糖の使われていない焼き菓子という組み合わせ。

至福の時間。


「そういえば最近、リオン様いらっしゃいませんね」


「今更・・・お兄様は2週間前から遠征に行かれてるんだけど・・・言ってたよね」


「そうでしたっけ」


はて、記憶にございません。


「・・・可哀想なお兄様。大規模な魔物討伐だっていうのに・・・」


「そうなのですか?申し訳ありません、私そういうのに疎いもので」


この世界に生まれて10年、実はモンスターの類を見たことがない。

王宮に来るまでほとんど家から出たこともなかったし、王宮へは馬車だったからモンスターの姿は見ていない。

別にそういうの好きなわけじゃないから積極的に見たいとも思わないけど。


「・・・戻って来たらせめて何か声を掛けてあげてね」


「はい?」


よくわからないけど、お疲れ様的な?

それともありがとうございます?


「それはそうと・・・新の月、シュカはおうちへ帰るの?」


もうすぐ王宮へ来て1年。新の月となる。

こちらの世界にはGWやお盆がなく、社会人(というのかな?)の長期休暇と言えば新の月のみ。

要するにお正月休みである。


「そうですね・・・ルーファス様も来るだろうし、実家に戻ります」


ルーファス少年は現在魔法学校の3年生。

寮生活をしていて、春夏冬の長期休暇には会いに来ていた。

今年の春と夏は私がいなかったのでどうかわからないけど、新の月はきっと会いに来るだろうし。


「ルーファス様って?」


「私の婚約者候補の方です」


「婚約者候補!?」


「えぇ、私一応貴族ですもの。婚約者候補くらいいても不思議じゃないでしょう?」


そういう世界だと聞いているし。


「そりゃ・・・そうだけど。でも・・・候補ね。婚約者はまだいないよね?」


「えぇ、正式な婚約者はまだおりません。16歳くらいで嫁ぐようなので、婚約者もそれくらいでと言われております」


「・・・良かった」


「どうかされましたか?」


「ううん、何でもない」








「ティーナ様、リオン様がお見えですよ」


「お兄様!お帰りなさい!!」


「ただいま、ティーナ」


抱きつくティーナ様を抱きとめるリオン様。

何て微笑ましい!!

話したことも数えるほどだったという兄弟には到底見えない。

ついついうっとり見つめてしまう。


「シュカ、お茶の準備をお願いします」


「はい」


メリーさんに声を掛けられ我に返る。

お仕事、お仕事!


リオン様もいらっしゃるのでごく普通の紅茶を用意。

ティーナ様にはミルクとお砂糖を。

リオン様にはレモンを。


「シュカ、シュカも一緒にお茶にしよ?」


「畏まりました」


今日は室内のテーブルで3人席に着く。

自分の分は何も入れないでストレート。


「お帰りなさいませ、リオン様。ご無事で何よりです」


「あぁ・・・ただいま」


リオン様、何だか穏やかに微笑うようになったなぁ。

不思議ー。


「そうだ、お兄様!シュカ、婚約者候補がいるらしいですよ?」


「本当か!?」


「えぇ、本当ですが・・・そんなに驚くことですか?」


「いや・・・なんというか・・・そう、まだ10歳じゃなかったか?」


「えぇ10歳ですが」


外見は10歳だ。それは確か。

中身がちょっとおばあちゃんですけどね。

10歳で婚約者候補って普通じゃないの?

7歳のときからいたような気がするんだけど。

1人首を傾げる私。


「・・・あー俺は25だが婚約者がいないのでな」


「あぁ、ふn「いやいやいやいや」


遮られた!

そうよね、ティーナ様の前でこの発言は良くなかったわ!

あ、不能じゃなくって男色だったっけ。

どちらにせよ女から見れば似たようなものかしら?


「すべて突っ撥ねているからな」


そうですよねー、ばれると困りますもんね!

うんうんと憐れみの目で見る私に気付いたのか、リオン様の眉間に皺が寄る。


「・・・何か誤解してないか?」


「してませんよ?ただ大変そうだなぁって」


「・・・そう思うなら、シュカが俺の婚約者になってくれないか」


おっと真面目な顔になったぞ。しかしだ。


「偽装結婚というやつですね!どちらにせよお世継ぎが産めないならすぐばれますよ」


「いやそうではなく・・・俺はシュカが好きなんだ。その、本気で」


「は・・・・・」


呆ける。


「俺の婚約者になってほしい」


「まさかのロリコン!!!!!!」


「ちがっ!」


「違わないです!私10歳です!」


「うっ」


「ねーロリコンって何?」


「ティーナ様は知らなくて良いことです!!」


不能でも男色でもなくロリコンだったなんてっ!

それなら犯罪にならないように胸のない童顔な成人した女性を嫁にしろっ!!













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